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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

定本危機管理(佐々淳行)

『定本危機管理』(佐々淳行

 危機管理の権威、佐々淳行さんが2014年にまとめらた危機管理に関するノウハウ本です。これまでに出版された著書のエッセンスもまとめられており、危機管理とリーダーの役割について、要点がつかみやすい内容となっております。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇「まさか」ではなく「もしかしたら」

 傍らから嫌がられ敬遠されようとも、勇気を出して各々の担当分野において、普通の人よりは一歩でも半歩でも先のことを考え、将来起こるかもしれない不足の事態に対する準備をしておくべき。 

 

〇情報関心

 情報に強い関心と共有を抱く「インフォメーション・ハングリー」の態度が求められる。そのためには、「何を知りたいか」という職務上の情報関心をはっきりさせておかないと部下は情報選択の基準が分からなくなる。トップは宿命的に孤独であり、頼れるものは自分だけで、日頃からの情報蓄積とそれに基づく自分の見識と判断力がものをいう。

 

〇報告の優先順位

①What(何が)

②Who(誰が)

③When(いつ)

④Where(どこで)

 Why(なぜ)とHow(どのように)は後でよい。

 

〇ダメ押し報告

 「ご承知と思いますが、念のため」という「ダメ押し」報告をしてくる人は、トップを始め全体のことを思って、情報報告漏れの有無を点検しようとしている危機管理の玄人である場合が多いから、「ああそんなことはもう聞いている」と不機嫌になってはいけない。

 

〇危機への備え(後藤田五訓)

①省益を忘れ、国益を想え

 自分が担当する狭い範囲だけではなく、視野を広げて行動せよ。

②悪い本当の事実を報告せよ

 状況を踏まえて次から次へと適切な命令を出すには、聞きたくないような本当の事実を把握することが何よりも必要。

③勇気をもって意見具申せよ

 異なる観点からの意見や、部下からの前向きな意見は謙虚に耳を傾けるべきだし、上下問わず積極的に意見具申すべき。

④自分の仕事ではないと言うなかれ

 部下が誰も行動せずに状況が悪化していくことを防ぐためのもの。

⑤決定が下ったら従い、命令は実行せよ

 いったん決まったことは、たとえ不満があろうとも、従うということを組織に徹底させること。

 

〇危機の心構え「最善はないが、最悪はありうる」

 危機管理の採点法は減点法。危機管理に最善(best)はない。常に事前(second best)しかありえない。

 

〇戦略と戦術の組み合わせ

◎「首尾一貫とした確固たる戦略方針」と「柔軟な戦術」の組み合わせ

×「優柔不断の戦略思想」と「朝令暮改の戦略方針」

×××「戦略の不存在」と「硬直した戦術」

 

〇交渉

 日本人同士の国内における交渉は、「Yes,but」でも差し支えないが、欧米人の交渉は「No,but」。ギブ&テイクの歩み寄りによって、双方が少しでも受益者になり得る合意点を見出し妥協を成立させるのが交渉パターン。

 

〇リーダーの4つの義務

①自分以上のものを愛する力を持ち、自分の利益以上の者のために行動する力

②我々意識

③難局対処の行動力

④危機管理・危機対応能力

 

〇率先垂範

フォロー・ミー魂(我に続け)

・平時は紳士、有事は武人

・上司は常に見られている(端正な姿勢、表情の統制)

・自分の顔に責任を持つ

・5分前精神

・身だしなみは清楚で

 

〇リーダーの必要条件

・部下をしのぐ能力(何でもいいから衆に秀でたものを身につけておくこと)

・自分より優れた部下を使いこなす

・根アカ

 

〇第一線視察 リーダーの心得「べからず」集

①本部との連絡を絶つべからず

②現場で具体的指示すべからず

③個々の事象にとらわれるべからず

④VIP扱いを受けるべからず

⑤現場に物的負担をかけるべからず

⑥現場に長いすべからず

⑦激励・賞賛の手間を惜しむべからず

 

〇決断力

 決断力は一朝一夕で培われるものではなく、自然に湧いてくるものでもない。努力して自得しなければならないもの。自分なりの解決策を考え、上司の決断ぶりを見習い、あるいは批判をして、自分の「決断」の練習をすることである。

 

 そのほか、実務的にかなり細かいところまで記載されています。長年の現場感覚からまとめられていますので、個別具体的でイメージが湧きやすい内容でした。普段から危機に備えるのは、言うは易し、行うは難しということをあらためて感じます。

定本 危機管理 ―我が経験とノウハウ―

定本 危機管理 ―我が経験とノウハウ―

 

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