『道は開ける』(D・カーネギー)(〇)<2回目>
『人を動かす』と並ぶ名著です。本書は、悩みを克服した実証記録、悩みを取り除く処方箋。「悩み」の実態とその克服法がまとめられています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。今日一日の区切りで生きよう。
〇ウィルス・H・キャリアの公式
①「起こり得る最悪の事態とは何か」を自問すること。
②やむを得ない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をすること。
③それから落ち着いて最悪の事態を好転させるよう努力すること。
〇悩みに対する戦略を知らないものは若死する。
〇悩みの分析と解消法
①私は何を悩んでいるか?
②それに対して私は何ができるか?
③私はどういうことを実行しようとしているか?
④私はそれをいつから実行しようとしているか?
〇悩みの習慣を断ち切る
①忙しい状態でいること。悩みを抱えた人間は、絶望感に打ち負けないために、身を粉何して活動しなければならない。
②気にする必要もなく、忘れてもよい小事で心を乱してはならない。「小事にこだわるには人生はあまりにも短い」。
③「記録を調べてみよう」。そして、こう自問する。「平均値の法則によると、不安の種になっていることがらが実際に起こる確率はどのくらいだろうか?」
④避けられない運命には調子を合わせよう。
⑤一度立ち止まって次の3つの問いを考える
・現在、自分が悩んでいることは実際にどの程度重要性があるのか?
・この悩みに対する「ストップ・ロス・オーダー」をどの時点で出して、それを忘れるべきだろうか?
・この呼子笛に対して正確にはいくら支払えばよいのか?すでに実質価値以上に払い過ぎていないだろうか?
・おがくずを挽こうとするな。
〇平和と幸福をもたらす精神的態度を身につける
①快活に考え行動すれば自然に愉快になる。
②仕返しをしてはならない。敵を傷つけるよりも自分を傷つける結果となるから。嫌いな人について考えたりして、一分たりとも時間を無駄にしないこと。
③幸福を見つける唯一の方法は、感謝を期待することではなく、与える喜びのために与えることである。
④厄介ごとを数え上げるな。恵まれているものを数えてみよう。
⑤他人の真似をするな。自己を発見し、自己に徹しよう。
⑥運命がレモンをくれたら、それでレモネードをつくる努力をしよう。
⑦他人に興味を持つことによって自分自身を忘れよう。毎日、誰かの顔に喜びの微笑みが浮かぶような善行を心がけよう。
〇不当な非難に悩みそうになったときに
①不当な非難は、しばしば擬装された賛辞であることを忘れてはならない。死んだ犬を蹴飛ばすものはいないことを思い出そう。
②最善を尽くそう。そのあとは古傘をかざして、非難の雨が首筋から背中へ流れ落ちるのを防げばよい。
③自分の犯した愚行を記録しておいて自分自身を批判しよう。私たちは完全無欠を望めないのだから、偏見がなく、有益で、建設的な批判を進んで求めよう。
〇疲労と悩みを予防する勤務中の4つの習慣
①当面の問題に関係のある書類以外は全部机上から片付けよう。
②重要性に応じて物事を処理すること
③問題に直面したとき、決断に必要な事実を握っているのだったら、即刻その場で解決すること。決断を延期してはならない。
④組織化、代理化、管理化することを学ぼう。
〇不眠について
睡眠不足で死んだ者はいないことを思い出そう。不眠症について悩むことが、睡眠不足以上に有害なのだ。
『人を動かす』を読んだらぜひ本書へ。人とのかかわりをどう改善するかという『人を動かす』に対し、悩みに直面した自分の心をどう整えるかという『道は開ける』。どちらも、悩みが尽きないテーマですが、数多くの事例に触れることで、考えるきっかけになります。1948年の発行から半世紀以上経っても色褪せない名著です。