『ミライの授業』(瀧本哲史)
本書は、京大准教授の著者が全国の中学生向けに行っている、未来を考える授業を書籍化したものです。講義タイトルは「未来をつくる5つの法則」。次の法則の「?」に入るキーワードが、講義に対する興味を掻き立てます。
・法則1:世界を変える旅は「?」からはじまる
・法則2:冒険には「?」が必要だ
・法則3:一行の「?」が世界を変える
・法則4:すべての冒険には「?」がいる
・法則5:ミライは「?」の向こうにある
(印象に残ったところ‥本書より)
〇ガイダンス
・ニュートンから学ぶべきこと
①中学時代の成績なんて、ほとんど関係ない
②たとえ不純な動機であっても、本気で勉強すれば成績は伸びる
③数学は哲学とは別の角度から心理を探求する学問である
④どんなに苦しい環境に追い込まれても、たった一人になっても世界をひっくり返すことはできる
・「学問の目標は、地位や名声を得ることでも、威張ることでも、誰かを言い負かすことでもない。本当の目標は、人類の未来を変えるような発明と発見にある」(フランシス・ベーコン)。そこで、ベーコンが主張したのが、「観察と実験」の大切さ。
・フランシス・ベーコンの考える4つの「思い込み」
①人間の体や脳の仕組みなどからくる「人間の思い込み」
②自分の考えはすべて正しいと勘違いしてしまう「個人の思い込み」
③周りの評判や噂話を鵜のみにする「言葉の思い込み」
④偉い人や有名な人のいうことを信じてしまう「権威の思い込み」
〇世界を変える旅は「違和感」から始まる
・小さな違和感を大切にする。違和感をスルーせず、自分の中で大切に育てる。その小さな違和感こそが、未来に繋がる冒険の扉。
・世の中に溢れる常識、権威、限界、習慣など、さまざまな「当たり前」に疑いの目を向けること。大人たちがスルーしている疑問を自分の頭で考えること。それが「知」の第一歩。変革者たちは、自分の中に芽生えた小さな違和感を掘り下げ、常識を疑い、ウソを見破ることから冒険をスタートさせた。
・まったく新しい課題に取り組むとき、考えても考えても答えが見つからないとき、そんなときには、目の前にある「事実」を拾っていこう。
〇冒険には「地図」が必要だ
・冒険家にとって地図の正確さはそれほど大切な要素ではない。細かいところは間違っていても凡その全体像がつかめること。大まかな行き先が分かることが大切。
・仮説は「空白地帯」を狙って立てる。そして、仮説は時代や状況の変化に応じて柔軟に修正していく。
〇一行の「ルール」が世界を変える
・自分が絶対に守りたいルールは何か。そのルールをかたちにするには、どんな手段があるのか。自分の思いを目に見える「かたち」にしよう。
〇すべての冒険には「影の主役」がいる
・未来をつくる物語の主人公は、一人ではない。影のヒーロー、影のヒロインという道もある。
〇ミライは「逆風」の向こうにある
・世界を変えてきた変革者たちは、小さな違和感を大切に育て、自分だけの「賛成する人がほとんどいない、大切な真実」を持っていた。逆風が吹き荒れても、周囲の大人たちがこぞって反対してきても、怒られ、笑われ、バカにされてもそこで挫けてはいけない。あなただけの「ミライ」は、逆風の向こうに待っている。
世界の偉人たちの逸話をもとにした分かりやすいメッセージ。大人も参考になる中味。日々の生活の中に、大事なことを忘れてしまいそうなときに、スッと入ってくる一冊です。