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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

日本サッカーの未来地図(宮本恒靖)

『日本サッカーの未来地図』(宮本恒靖

 元サッカー日本代表の著者が現役引退後に「FIFAマスター」という、FIFAIOCをはじめとするスポーツ機関を支えていく人材の育成を目的として2000年から開設されたスポーツ学の大学院に入学し、イギリス・イタリア・スイスでスポーツの歴史、経営、法律を学ぶ体験記です。倍率も高く合格するだけでも大変なところに、3カ国を転居しながら英語で専門知識を学ぶという、現役生活とは全く異なる環境にチャレンジされる背景にある、日本サッカーに対する想いが伝わってくる、MBA生にも共感できる内容です。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇歴史を学ぶ~イギリス~

産業革命により資本主義が発展。労働者にも余暇を楽しむ時間ができたことでフットボールが広まる。混在していたルールを確立していくことで、手を使うラグビーと、手を使わないサッカーにフットボールが分かれていった。サッカーは労働者階級中心なので、悪く言えばプレーする方も観るほうもちょっと品がない。でもそれがサッカーの魅力にもなって、大衆の爆発的人気を呼ぶこととなった。

・イギリスの上流階級が好むクリケット。何が凄いかって、まず会員にならなければ試合を観戦できない。会員登録のウェイティングは何と19年。世界でクリケットが広まっているのは、かつてはイギリスが盟主国だったところばかり。クリケットでイギリスに勝つことが最大のモチベーションになって広まった。

 

〇サッカークラブのブランディング

 彼ら(マンチェスターシティ)はまずサポーターを大事にする。シーズンチケットを10年以上購入するとスタジアムの壁のネームプレートに自分の名前が刻まれる。一番お金を出すVIPにもてなしを尽くすというスタンス。シティもサロンは定期的に内装を変えている。強調しておきたいのは、VIPや長期的なファンになってもらえるよう、クラブ自体が「道」をつくって積極的に仕掛けていること。チケットは子供の値段を安くしていて、対戦相手によっても値段が違う。客席の位置で12段階、対戦相手で3段階に分かれている。無料まで含めると券種が200種類ぐらいあることも驚きだが、子供料金がJリーグと比べてもかなり安い。ここには子供たちに将来のカスタマーになってもらいたいとの戦略が隠されている。

 

〇経営を学ぶ~イタリア~

・ユースチームからトップチームに昇格したクラブ生え抜きの選手は、バランスシートに載せない(そもそも金額がついていない)。一方で契約違約金(移籍金)を払って獲得した選手は記録される(移籍金÷契約年数で償却)。

・ファイナンシャル・フェアプレー(赤字が続くとライセンスが下りない)は、財政の健全化を図ることによって、クラブを守る、ひいては欧州のクラブによるサッカーの長期に渡る持続可能性を守る意味がある。

・収入モデルはドイツのブンデスリーガ。チケット収入、スポンサー収入、放映権料収入、マーチャンダイジング収入と程度の差はあれ、収入が四等分されていて財政基盤のバランスがとても良い。ドイツ以外のリーグは実にアンバランスで、テレビ放映権料の比率が高い。

 

〇法律を学ぶ~スイス~

 なぜ最後に法律を学ぶのか。マーチャンダイジング側の人は、資金調達→宣伝活動→権利保護という流れで見るが、法律担当者は、権利保護→宣伝活動→資金調達と、まず権利保護が真っ先に来ないと話がスタートしない。過去に、オリンピックは資金調達に苦しんできた歴史がある。転機になったのは1984年のロサンゼルスオリンピック。これまで600社以上あったスポンサーを一気に30社ほどに絞り、限定して権利を与えたことによって逆に莫大な資金調達が可能になった。ライツオーナーは誰なのか、権利はどこにあるのか、そこが極めて重要。

 

  MBAと同じく、学びの先には、「何かを変えたい」「こうしたい」という想いがあり、著者の思いを知ることや海外での勉学生活の様子を知ることにも興味を惹かれる内容でした。

日本サッカーの未来地図

日本サッカーの未来地図

 

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