『服は、あなた。』(政近準子)
パーソナルスタイリストとして、これまで2万人ものスタイリングを通して、迷っている人、悩んでいる人に、服から人生を切り拓く手助けをされてきた著者。「服には、どう生きていきたいのか、その人自身があらわれている」という経験から、単なる服選びということではなく、服を通して考え方、行動、そして人生を変化させていく視点が盛り込まれた一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇一事が万事
服選びにすら妥協しているようでは、人生の前進は困難。毎日ちゃんと考えて、「選び、使い切る」こと。
〇センスは自然の中で養われる
人は思い出話をするときに、その日の服装以上に天気や気候、景色などを覚えている。服を考える上でも、自然を意識してみるとよい。ハッと息をのむほどの景色があり、それを写真におさめるとき、その心惹かれた自然の中に佇む自分の服装はどうかと考え選ぶ習慣をつけると、センスはグッとアップする。
〇嫉妬
着る人に嫉妬してしまう服に出会えた時はチャンス。嫉妬を通して、自分の根底にある素直な「着たい」という感情に気づき、思い切って挑戦してみると、自分に足りない何かに気がつける。それと同時にすでに持っている自分の強みにも気づくことができる。
〇良質な人間関係
次買う服は、どこで誰と何をするために着るのか、その行動自体に意味があるのかを考えて探してみるといい。心から認め合える仲間を作り、自己満足だけではなく、人のためにどう着るかを考えて買った服は、そんなに簡単に捨てられるものにはならない。
〇見た目と中身
服装は内面のあらわれ。性格の特徴をバランスよく表現すれば、相手もあなたがどういう人かイメージがつかみやすく、距離感がわかり、「気が合いそうだな」という指標になる。基本が分かれば、戦略として、あえてギャップをつくることでチャンスが巡ることも大いにある。個性とは、自分をしっかり持ち、他者に強要しないけれども目にとまってしまう「個」。それを立たせるには、それぞれの違いを生かすこと。
〇仕事
鏡に映る自分を見て、「何かしっくりこない」と違和感を抱く時は、仕事で行き詰まりを感じ始めているとき。仕事も服装も今までやってきたことだけを続けていては進歩がない。
〇ひと手間
服を買いに行く前にはまずアイロンを買って、部屋にいつでもアイロンがけできるスペースを確保する。ひと手間かけることが日々のルーティンに入っていれば、それが日常となり、行動も「シャン」とする。
〇体型コンプレックス
コンプレックスを見つけ始めるときりがありませんが知的に味方につけることができれば、思いのほか、自分らしさが開花する。コンプレックスは自分が輝くヒント。長所と短所は紙一重なので、知的装力を上げる一つの練習として、短所を良い言葉に変えていってみる。
〇立体的な体づくり
服をきれいに着たいなら、からだに立体感が出るように筋トレをすることがおすすめ。なぜなら洋服は平面ではなく立体でできているから。
〇針金ハンガーとビニールボックスを今すぐやめる
針金ハンガーに引っかかった服を見るたびに「服が痛いと泣いている」と感じる。ビニールボックスに無造作に突っ込まれた服たちは居心地悪さに悲鳴をあげているように見える。単なる「もの」として扱わず、選択に責任を持つこと。まずは、ハンガー1本からスタートしてみる。
主として女性向けに書かれていますが、男性が読んでも気づきが多く、十分に楽しめる内容でした。自分の服の選び方を改めて考えてみると、好みや思考パターンが顕著であることに気付きます。生活の基本要素である「衣・食・住」、毎日向き合う「衣」について、たまにはじっくり考えてみるのも良いなと思いました。