『幸せになる勇気』(岸見一郎、古賀史健)<2回目>
『嫌われる勇気』と合わせて通読。本書もヒットしましたね。先に『嫌われる勇気』を読んでから本書に入ったほうがすんなりと読めると思います。アドラー心理学の考え方を青年と哲人の対話により、イメージしやすく伝えているという点でヒットしたことがわかります。私は、アドラー心理学はスッと入らなかったほうですが、関連図書やセミナー受講と合わせて、繰り返し読むことによって、ようやく言いたいことが腑に落ちてきました。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇人はみな、無力な状態から脱し、より向上していきたいという欲求、つまり「優越性の追求」を抱えて生きる存在。
〇教育とは、「介入」ではなく、自立に向けた「援助」。
〇行動目標
①自立すること
②社会と調和して暮らせること
〇行動を支える心理面の目標
①わたしには能力がある、という意識
②人々はわたしの仲間である、という意識
〇尊敬
・目の前の他者を変えようとも操作しようともしない。何かの条件を付けるのではなく、「ありのままのその人」を認める。これに勝る尊敬はない。誰かから「ありのままの自分」を認められたなら、その人は大きな勇気を得るだろう。尊敬とは、いわば「勇気づけ」の原点でもある。
・他者の関心ごとに関心を寄せる。
〇使用の心理学
・人間は誰もが「わたし」という物語の編纂者であり、その過去は「いまのわたし」の正当性を証明すべく、自由自在に書き換えられていく。
・過去が「いま」を決めるのではない。あなたの「いま」が過去を決めている。
〇自立
・相談者を「依存」と「無責任」の地位に置かないことに最新の注意を払う。相談者に「先生のおかげで治りました」と言わせるカウンセリングは何も解決していない。言葉を返せば、これは「わたし一人では何もできない」という意味。
・自立とは「自己中心性からの脱却」
〇共同体感覚
・全ての人には共同体感覚が内在し、それは人間のアイデンティティと深く結びついている。
・共同体感覚は「身につける」ものではなく、己の内から「掘り起こす」ものであり、だからこそ「感覚」として共有できる。
〇承認には終わりがない。
〇個性
「人と違うこと」に価値を置くのではなく、「わたしであること」に価値を置く。それが本当の個性。
〇愛
・「私の幸せ」を求めるのでもなく、「あなたの幸せ」を願うのでもない。不可分なる「私たちの幸せ」を築き上げること。
・愛は利己と利他の両方を兼ね備えるのではなく、どちらも避ける。
・「わたし」だった人生の主語は、「わたしたち」に変わる。
・幸福なる生を手に入れるために、「わたし」は消えてなくなるべき。
・たった二人から始まった「わたしたち」は、やがて共同体全体に、そして人類全体までその範囲を広げていく。
・われわれは、他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放される。他者を愛することによってのみ、自立を成しえる。そして他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどり着く。
〇これはこれでおもしろい、青年名(迷)言集
・「先生も魂の奥底に漂っているのはおぞましい不道徳の腐臭なのです」
・「右から左に穴だらけの虚言を並べ立てて、それで煙に巻いたつもりか。望むところだ、穴という穴をほじくり返してやる!!」
・「いい加減にしろ、この鉄面皮め!」
・「こ、この忌々しい毒虫め!」
・「軽口を叩くな、このサディストめ!」
・「冗談じゃない!そうやって人の心を操っているつもりか、この偽君子め!」
・「何が常識へのアンチテーゼだ!そんな思想など、汚水をすするドブネズミにでも食わせておくがいい!!」
最近流行り?のアドラー本ですが、承認を求める(他者の意に沿うように行動する)のではなく、自分らしく生きる。共同体の中で貢献感が持て、相手に信頼を置いた人間関係を構築していくこと。相手に合わせていくということではないから「勇気」は必要だけれど、それが人生の「幸せ」に繋がる。『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』、この2冊を通じて、そんな印象が残りました。