『本当の仕事』(榎本英剛)
「そもそも仕事とは何なのか」。この基本的かつ根本的な問いに対して、一旦立ち止まって、自分と仕事との関係について見直すきっかけにすることを目的に書かれています。「どんな仕事をするか」や「その仕事をどうやってやるか」といった仕事の目に見える部分ではなく、「仕事をどうとらえるか」や「なぜ仕事をするのか」といった目に見えない部分について着目し、分かっちゃいるけど理想論だけでは生きていけないという日常感覚に一考の示唆があると感じました。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇仕事観
仕事観とは一つの物語。「見えない物語」であり、見えないがゆえに、その人が知らないうちにその人の人生を支配し、左右してしまうほどの強烈な力を備えている。
〇4つのメガネ
①仕事とは、「生計を立てるための手段」である。
②仕事とは、「やりたくないことをやる」ことである。
③仕事とは、「既存の職業に自分を合わせる」ことである。
④仕事とは、「同時に一つしか持てない」ものである。
〇存在意義:なぜ「お金のため」と言い訳しながら働くのか
・時代は、「モノの時代」から精神的な豊かさを第一に求める「ココロの時代」にシフトしつつあり、「仕事観」も変える必要がある。
・人が精神的な豊かさを実感するうえで欠かせないのが「存在意義」。
・人はみな、それぞれ固有の存在意義を持っている。
・ココロの時代において、仕事は「自らの存在意義を探求し、それを表現すること」だというとらえ方が必要になる。
・存在意義は、他者や世の中との関係性の中で初めて見いだせるもの。
・仕事を「収入を伴う職や職業」という形で捉えると、大きな外敵変化によってそれを突然失うリスクがある。
・存在意義は、自らの成長や気づきが深まるにつれて深化する。
・「存在意義を探求する=内なる仕事」と「存在意義を表現する=外なる仕事」という両輪をバランスよく回すことで、その人が本来持っている可能性が最大限発揮される。
〇純粋意欲:なぜ「やりたいこと」を仕事にしないのか
・存在意義を探求するうえで、最大のヒントとなるのは、「なぜだかわからないけど、これをやりたい」という純粋意欲。
・純粋意欲は、小さなものから大きなものまで、どこかで繋がっており、小さなものにフタをすると大きなものにもフタをすることになる。
・ココロの時代においては、仕事とは「やりたいことをやること」だというとらえ方が必要になる。
・世の中に問題があるからこそ、その問題を解決したいという純粋意欲が芽生え、その純粋意欲から天職が生まれることがある。
・純粋意欲は世の中のニーズを映し出す鏡であり、それに従うことがその人が果たすべき事業=転職に繋がる。
〇天職創造:どうすれば「やりたいこと」で生計が立てられるか
・ココロの時代においては、仕事とは「自分に合わせるもの」、「仕事は複数持ってもいい」というとらえ方が必要になる。
・自分の純粋意欲に従って心からやりたい仕事をやろうとしたとき、それを実現するのに必要なお金などの資源は自然と集まってくる。
・「どんな仕事をするか」よりも「なぜその仕事をするか」のほうが、その人の「本当の仕事」をよく表している。
・存在意義に基づいた一貫性のある仕事のポートフォリオを持つことで、その人が人生で一番伝えたいメッセージが伝わる。
〇共鳴行動:天職を創造するために、まずどこから始めるか
・夢や理想に向かって一歩を踏み出そうとしたとき、必ずと言っていいほど頭の中に流れる否定的なメッセージを「悪魔のささやき」として客体化することで、自分の中の恐れと距離を置くことができる。
・誰かが純粋意欲を口にすると、「共鳴」が起こって、あたかもそこに磁力が働いているかのように、それを後押しするような情報やアイデアが集まってくる。
・①自らの純粋意欲に気付き、②その純粋意欲を人に話し、③そこで起こった共鳴を見極め、④その共鳴を指針として行動を起こすという「天地創造の4ステップ」を繰り返すことで天職は進化していく。
生計を立てるための仕事、やりたいことを実現するための仕事、仕事のとらえ方は様々。生計が立ち、経験も積めるようになったら天職を探すもまたよし。65歳までどころか、80歳近くまで働かないといけない時代がやって来そうな中、やりたいことを見据えていずれは天職へと向かっていくには、やはり、自分の意欲に気付き、発信して、行動していくことが必要だと改めて感じました。