『片付ける勇気』(佐原美和、監修:岩井俊憲)
本書は、アドラー心理学を学んだ整理収納アドバイザーである著者が「片付け×アドラー心理学」で、片付けについてまとめられています。ちょうど私もアドラー心理学に基づくコーチングを学んでいるところで、「1日5分間断捨離」という課題を与えられていることから、本書の趣旨とピッタリとはまりました。片付かない原因ではなく、片付ける目的へ目を向けた、一味違う断捨離本です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇心の整理
「2年間使っていない服は手放しましょう」「使っていないものは手放しましょう」と言われても、実際に行動に移すことができるのは、ほんのわずかな人だけ。それは心の整理ができていないから。片付けに最も必要なのは、収納術の知識やテクニックではない。
〇心の整理をするための5つのポイント
①片付かない原因を探すのではなく、片付ける目的と目標を決める。
②後片付けの習慣を身につけるには、ゆるいルールで3週間継続する。
③自分の人生にプラスになると思う物だけを残し、そうでないものは手放す。
④「どうなれば最高か」を考えると、「どうすればよいか」が見えてくる。
⑤片付けてくれないなら、相手に定位置と片付けるタイミングを決めてもらう。
〇目的論
「原因」があってそうしているのではなく、「目的」がそうさせている。今、こうしている状態は、実は、自分にとって都合がよい。「物が多いことが自分のためになる」という判断をしたことになる。
〇意味づけ
「かわいそうに思えて捨てられない」と言えば自分も周囲も納得する。片付けられないことに対して言い訳ができて都合がよい。経験の中から目的に合うものを見つけ出すことを「意味づけ」という。やる気がでないのは、ただの言い訳でしかなく、本当は片付けがしたくないのだ、ということに気付くことが大切。
〇認知論
事実を客観的に把握するのは不可能。同じ物事や出来事に対して抱く感情や反応は人によって違う。「どうして散らかっていても平気なの?」と、自分以外の人に憤っても仕方のないこと。
〇後片付けと整理
・後片付け:使ったものを「あらかじめ決められた場所=定位置」へ戻すこと
・整理:乱れた状態にある物を整えることで、ムダな物、不要な物を取り除くこと。
⇒片付けができない人は、後片付けと整理を混同していることが多い。
〇後片付け
・後片付けをするのが面倒だと感じるのは、「使った後を片付ける」と考えているからで、そういう人は、「使う時の前準備」だと認識すればよい。
・後片付けは自分のためにしていると思いがちだが、共に過ごす他の人のためでもある。
〇定位置
・定位置に戻すことだけに集中し、スッキリ感を味わうことができれば、片付けは心地よいものとなる。
・定位置は1カ所とする。2カ所以上のスペースに決めると探す手間がかかる。
・定位置を決めておけば、今日一日分の後片付けの手間はそれほどかからない。
〇目的と目標
・目的:何のために整理をするのか、なぜ整理するのか、といった、整理する動機の部分。
・目標:どんな部屋にしたいのか、どういう部屋だと嬉しいのか、といった理想の部分。
⇒整理をするときも、要らない物ではなく、「要る物」にアンテナを立てていると、物に対する情報をキャッチしやすくなる。
〇課題の分離
自分が大切に手元に残したいと思う物を、他人の価値観に合わせて手放す必要はない。思いでのものとしての「役割」を果たしているなら、所有することでぷらすになるはず。
このほかに、物別整理法や所別整理法の具体的な整理のコツがまとめられています。本書冒頭にあるように、整理のコツは知識やテクニックではなく心の整理。つまり考え方次第で結果が大きく変わるということです。捨てることそのものではなく、そのあとどういう部屋、暮らし、自分のスタイルになったらいいのか?「未来プラス」を考えながら1日5分断捨離生活に入りたいと思います。