MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

魂の読書(清水克衛)

『魂の読書』(清水克衛)

 「読書のすすめ」店主で、本ソムリエでも著名な著者が、読書について書いた本書。面白そうな本が多数紹介されているのも参考になります。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇読書の目的

 読書離れの本質的な原因は、ゲームやスマホのせいではない。日本人全体が「問い」という疑問を持てなくなっているのが原因。「なぜ?」という「問い」を見つけるための読書が必要。

 

〇縦糸の読書と横糸の読書

■縦糸の読書

・人間の心理を学べる読書

・直観を得るためには軸を持つこと。時間が経っても古くならない知恵のある読書しかない。哲学の本や中国の古典など、いわゆる「縦糸の読書」。 

■横糸の読書

 時代の常識的なことを知ろうとする読書

 

〇西郷ラインで人生の軸をつくる

 垂直な生き方は、「西郷ライン」できっちり学べる。西郷の根底には、「無名有力」という言葉を秘めていた。西郷が書かれた書物は一冊もない。後を継ぐ、頭山満も詩人が書かれた本はない。現代にとってありがたいのが、中村天風安岡正篤が多くの書を残したこと。

 西郷隆盛がボロボロになるまで読み込んだ、大塩平八郎陽明学者)の読書ノートとでもいうべき『洗心洞箚記』。そこから西郷ラインとして、頭山満が西郷の死後、その自宅を訪れて西郷が大事にしていたこの本を借り、これもまた肌身離さず読みこんだ。この本は、明治時代以降、佐藤一斎の『言志四録』と並んで読み継がれた、隠れたロングセラーであった。

陽明学(明の王陽明が唱えた儒学説。知行合一を説き実践を重んじた)

■言志四録(江戸時代後期の儒学者佐藤一斎著)

西郷隆盛(1828~1877 薩摩藩出身の明治維新の主導者)

頭山満(1855~1944 自由民権運動に参加し、玄洋社結成)

中村天風(1876~1968 思想家、実業家)

安岡正篤(1898~1983 陽明学者。多くの政治家を指導)

■伊與田覺(1916~ 安岡正篤に師事)

 

 縦読みという発想は、とても参考になりました。時代を超えて繋がってきた思想を順を追って読み解いていくことは、まさに歴史を読み解くこと。現代に至る時間の流れを感じられそうです。西郷ラインでは、安岡正篤さんの著書しか読んでいなかったので、前後を読んで流れを追ってみたいと思います。

魂の読書

魂の読書

 

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