MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

歩き続ければ、大丈夫。(佐藤芳之)

『歩き続ければ、大丈夫。』(佐藤芳之)

 本書は、アフリカでナッツ・カンパニーを立ち上げ、70歳を超えた現在も新ビジネスに挑戦し続ける日本人起業家の自叙伝です。

 20代でアフリカ大陸へ。ガーナ大学を修了後、ケニアで様々なビジネスを試み、35歳で立ち上げたナッツ・カンパニー。を世界5大マカダミアナッツ・カンパニーとして、社員数4,000人、契約農家5万軒、農場の敷地面積は東京ドーム780個分まで拡大し、ケニアで25万人の生活にかかわるにまで成長させた著者からのメッセージです。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇起業にあたって

 どういうビジネスが成功するか、どういう目標なら実現可能性があるか。一つの基準は「やるほうとしては100%、客観的に見て50%の見込みがある」。その基準をクリアしていれば、迷わずやったほうがよい。みんなが納得するような根拠などなくてよい。自分の心に正直に問いかけて、「できる」と感じられるかどうか。それが100%の基準。ただし、夢は膨らませ過ぎないこと。実現できる可能性がゼロの夢を追いかけていては人生を無駄にする。

 

〇根拠のない自信

 つらい時、どん底にいる時ほど明るく生きる。「根拠のない自信」がパワーを発揮するのはまさにそういう時。

 

〇本気の顏

 「まだ本気を出していないかもしれない」と感じている人がいたら、仕事中どんな顔をしているか、勇気を出して鏡を見てみましょう。「顏」は、人の「本気度」を測るとても分かりやすい基準。「本気である」とは「楽しい」こと。

 

〇五感

 五感を通して起こるビリビリとしびれるような感動。人の一生を決めていくのは、言葉や信念よりも、案外そういう感動ではないかと思います。理屈で納得して動いていくことも時には必要なのかもしれません。でも、そこから生まれるエネルギーの大きさは、心が震えるような感動とは比べものになりません。見て、触れて、聞いて、五感から引き起こされる感動には、どんなことがあっても前進していけるようなとてつもないエネルギーがある。ここまで走り抜けてきて、自分を駆り立てたエンジンはそこにあったような気がします。

 

〇合言葉は「フット・ファースト」

 「ヘッド・ファースト」で考え始めるから足がすくんでしまう。とにかく走り続けていれば、しかるべきタイミングでしかるべき人が現われて力になってくれる。一旦走り出せば、偶然の方から歩み寄ってくれる。ケニア・ナッツをそれなりに大きくできたのも「つくれば、人はやってくる」と信じていたから。実際に目に見えるものがつくられて動き始めるまで人は信用しない。逆に言えば、動き始めれば信用してくれる。

 

〇身軽さ

 仕事を辞めて1~3カ月しかもたないとしたら身軽とは言えない。できるだけミニマムに暮らすこと。本当にやりたいことをやり遂げるためには、「身軽」はとても大事な要素。

 

〇6割人生

 「いつでも6割」は生きる知恵。情熱を保ち、新しいことにチャレンジし続けるには、「いつでも6割」がちょうど良い。満ち足りることのないアンバランスさこそ、生きるエネルギー源になる。

 

〇失敗

 何かやれば9割はうまくいかないのだから、失敗して当たり前。そう言われると失敗が怖くなくなる。実際には、成功する確率なんてわずかで大抵の人はほぼ確実に失敗する。「自分だけが・・」とひるむ必要もなくなる。失敗が一つもないということは、何もやらなかったということ。「成功の反対は、失敗ではなく、何もやらないこと」。

 

〇共感

 仕事にしても、やはり共感。相互理解でビジネスはできない。相手の心を理解しようなんて最初から考えない。一緒に稼いだらきちんと分ける。仕事をしたら、毎月きちんと給料を払う。それでいい。今になってみると、アフリカで起業して「共感」のコミュニケーション術を身につけたことは、それ以外の地域で仕事をしていくうえでプラスになったと思う。

 

〇言葉は風

 アフリカには「言葉は風」という文化がある。昨日した約束なんて、風に乗ってキリマンジャロの向こうに消えてしまったよ、という具合。もちろん嘘をついているわけではなくて、言葉を発したときは本当に思っている。でも次の日にはコロッと気が変わるかもしれない。朝令暮改で結構。

 

〇やると決めたら迷わず言葉にする

 そうすれば、もう実現するしかなくなる。

 

 困難はいろいろ。成功したから振り返って言えることも多々あるでしょう。この中で特に大事だなと思ったのは、「身軽さ」。そもそもリスクを取れるかどうかは、「何とかなるだろう」と思えることであり、身軽さなしにはなしえない。本質的なものだけ身にまとって、常にミニマムに暮らす姿勢の大切さに学びがありました。

歩き続ければ、大丈夫。---アフリカで25万人の生活を変えた日本人起業家からの手紙
 

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