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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

カルロス・ゴーンの経営論(公益財団法人 日産財団)

カルロス・ゴーンの経営論』(公益財団法人 日産財団)(〇)

 本書は、公益財団法人日産財団が主催する「GRLP」(global resilient leadership program/逆風下の変革リーダーシップ養成講座)の成果に基づいて執筆されたもので、カルロス・ゴーン氏への質疑応答と学者の理論的解説で構成されています。質疑の中で、カルロス・ゴーン氏のリーダーシップに関する考え方がストレートに表現されているのが魅力の一冊です。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇グローバル・リーダーの要件

・社外:複数の言語を話し多くの国に住んだことがある。

・社内:従業員に対して心をオープンにしており、知りたい・学びたいという意欲に溢れ、ダイバーシティは強みであると考えているような人物。自国だけでなく世界が重要な市場だと思っている。

 

〇グローバル・リーダーになるには

 自分から様々な文化や市場に接することができる仕事を求める。マネジメントとは、脳で知りながら、同時に心で理解し、勘を働かせるもの。そのために経験が必要。経験を得るには、その環境に身を置かなければならない。

 

〇「ノー」と言えること

 リーダーとは、誰もが「イエス」と言っている中でも、ちゃんと立ち上がって「ノー」と言える人。「ノー」というからには別の方向を示し、最終的には勝利するのがリーダー。

 

〇リーダーとして認められる条件

①人々とのつながりをもって魅力的でいる

②常に良い結果を出し続ける

 

〇完璧なリーダーと思われるようなリーダー

 問題の影響が生じる前に、その問題の存在を既に意識し、失敗が起こる前にその芽を摘み取っている。

 

〇人の心を動かす

 格好いいスーツを着て正しく振舞えたからではない。結果が出せたから。結果を出せば周囲の人たちの自分に向けられた懐疑や批判の心は、支持や協力の心へと変わっていく。

 

〇厳しい決断をするとき

「信念を持つ」「その決断をもとに周囲の人を納得させ実行させる」「期待できる成果をあらかじめ明確に用意しておく」

 

〇コミュニケーション

 心の繋がりがある集団で、人々に奉仕できる人こそがリーダーシップを持っている。対話、相互作用、ギブ&テイクといった相互的な関係の中で発揮されるものがリーダーシップ。話の精度を高め、一文ずつを短いものにすることなど、コミュニケーション能力を高める方法を考えて取り組んだ。

 

〇計画

 失敗も受け入れる覚悟をしたうえで、「この会社にとってこれは絶対に必要だ」と思うことを実行する決定を下していかなければならない。計画に関わる人たち、そして自分自身について「このぐらいはどうにか超えられるだろう」という、限界に極めて近い目標はどのれべるかを見極めて、そのレベルの目標を設定すべき。

 

〇仕事に対するモチベーション

・自分自身が何かに貢献できていると実感できているとき

・自分自身が学んでいると思えるとき

 

ルノー日産自動車シナジー

シナジーを実現させるものは、「決定」ではなく「実行」。従業員たちに実行してもらうには、彼らにやる気がなければならない。モチベーションがなければならない。従業員を「失職するのではないか」と怖がらせたり、チームを「今後どうなってしまうだろう」と不安にさせてはならない。

日産自動車の社員は日産自動車のために働くのであって、ルノーのために働いてはいない。誇りを持って、自分が属している企業のため、ブランドのため、国のために働いている。だから日産自動車のために努力をしている。同じことがルノーの従業員にも言える。自分たちとは異なるよその人たちのために仕事をするというのはお互い嫌。もしも、2つの企業が合併するのであれば、どちらの従業員にとっても「お互いにとって良いことだからぜひ合併しましょう」「そうしましょう」と言えるものでなければならない。

 

〇学ぶこと

 学ぶことの本質は、「心構えとしてこうあるべきだ」ということを知るということではない。「やってみた感覚としてこうあるべきだ」ということを知ること。

 

〇日本人がリーダーになるうえでの課題

 日本には、みんなの意見を大事にしようとする分化がある。しかしそれはリーダーが意思決定を下すうえでは考え直さなければならない。日本人には相手に対する厳しい評価を本人に伝えるのを避けようとする傾向もある。リーダーのマネジメントのあり方からすれば、是正すべき。

 厳しい評価を伝えることで、相手は気分を害するかもしれない。しかし、リーダーは相手の気分がどうなるかではなく、成功するにはどうすべきかに力を注ぐべき。相手に厳しい評価を伝えないまま、後になって問題が健在かするよりも、相手に厳しい評価を明確に伝えて、もっとできるはずだと促す方が、ずっと良いこと。

 

〇成功している人と失敗している人の違い

 物事がうまくいかなくなっていることに反応できるかどうか。成功している人たちはうまくいかなくなっていることに対して敏感。そして速やかに反応する。そのため、大きな失敗をしない。

 失敗している人は、物事がうまくいかなくなっていることに反応しようとしない。その兆しが出てきても、従来のやり方を続けてしまい、「時すでに遅し」といった状況に陥る。

 

 先月の日経新聞私の履歴書」で取り上げられたカルロス・ゴーン氏。グロービス経営大学院では、ストラテジック・リオーガニゼーション(SRO)DAY3のケースの主人公。90年代後半、来日当初、抵抗や懐疑の中で改革を進められた姿が印象的です。そうした背景があるからこそ、なおさら一言一言に説得力があります。

カルロス・ゴーンの経営論 グローバル・リーダーシップ講座

カルロス・ゴーンの経営論 グローバル・リーダーシップ講座

 

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