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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

修身講義録(森信三)

『修身講義録』(森信三)(〇)

 さすが名著と評判の高い本書。学びも線引きの数も膨大です。昭和12~13年、13~14年まで2年間、師範学校(教師養成機関)の生徒向けの講義録がまとめられています。人を教える立場になる教師のたまごの方々へ、どのような教えがなされたのか。現代にも通じる人間力を磨く題材が詰め込まれています。濃い内容が500ページ強もあり、読み手の力も試される良書だと思います。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇「人身うけがたし」

 自分がこの世の中へ人間として生まれてきたことに対して、何ら感謝の念がないということは、つまり自らの生活に対する真剣さが薄らいできた何よりの証拠。自分が自分に与えられている、この根本的な恩恵を当然と思っている間は、それを生かすことはできない。

 

〇「四十にして仕う」(『礼記』)

 人間の活動を大体60歳頃までと考えると、そのうち20歳までは志を立てる時代。以後の20年は準備期。この準備のいかんが、その人の後半生の活動を左右する。40代と50代という、人間の仕上げ期の活動は、それまでの前半生において準備したところを、国家社会に貢献すべき時期。したがって、40歳までの準備が手薄だと、40歳以後60歳までの活動も、勢い、薄弱とならざるを得ない。

 

〇根本眼目

 総じて物事というものは、その根本眼目を明らかにしない限り、いかに骨折ってみても、結局真の効果は挙がらないもの。根本眼目を誤ると、効果がないばかりか、せっかくの努力もかえって自他を傷つける結果にもなる。それどころか真の眼目を誤ると努力が続かない。物事の持続が困難だというのは、結局は真の目標をはっきりと掴んでいないから。つまり最後の目標さえ真にはっきりつかんでいたならば、途中でやめようにもやめられないはず。

 

〇人生の時間感覚

 人生をマラソンと考えている間は、まだ心に緩みが出る。人生が、50mの短距離競争だと分かってくると、人間も凄みが加わってくる。

 

〇謙虚

 そもそも謙虚ということは、人間の自覚から生まれる徳。謙虚という徳は、相手に対する自分の分際というものを考えて、相手と自分との真の相違にしたがってわが身を省み、差し出たるところのないようにと、わが身を処することをいう。謙虚は、目上の人とか、同輩に対して必要なばかりでなく、むしろそれらの場合以上に、目下の人に対する場合に必要な徳目だともいえる。

 

〇長所と短所

 知識とか技能というような外面的な事柄については、一般的には短所を補うというよりも、むしろ長所を伸ばす方がよくはないかと考える。自分の性格というような内面的な問題になると、長所を伸ばそうとするよりも、むしろまず欠点を矯正することから始めるのがよくはないかと考える。

 知識や技能の場合は、欠点を補うという努力は、そのわりに効果が少ないが、これに反して長所のほうは、わずかの努力でも大いに伸びるもの。

 知識や技能の場合には、長所と短所とする方面が違うのが普通。性格というような内面的な事柄になると、その趣は一変して、長所がすなわち短所ともいえる趣がある。精神上の問題においては、長所というものも、一歩調子に乗って度を過ごすと、たちまちにして欠点となる。逆に自分の欠点を反省して、これを除くという努力が実はそのまま長所を伸ばすことになる。

 

〇国民教育の眼目

 真の教育というものは、単に教科書を型どおりに授けるだけにとどまらないで、すすんで相手の眠っている魂を揺り動かし、これを呼び醒ますところまで行かねばならない。相手の魂をその根本から揺り動かして目を覚まさすためには、どうしてもまず教師その人に、それだけの信念の力がなければならない。まず教師自身が、全力を挙げて自分の道を歩まねばならない。

 

 線引きしたうちの、ごく一部しかご紹介できませんが、人の人生に多大な影響を与える教師の育成に向き合う著者の姿勢が随所に感じられました。人生を60年くらいの期間で捉えていたこの時期と、80~90歳くらいで考える現代においては、「何歳までにどういう状態になっているのか」という生き方に対する時間感覚もかなり異なり、著者40歳を回ったところ、生徒10代(今でいう高校生くらい)。自分もゆっくりはしていられないとネジが巻かれます。

修身教授録 (致知選書)

修身教授録 (致知選書)

 

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