『今日から使える心理学』(渋谷昌三)
本書は、心の解明に役立つ科学的な考え方や研究方法を、身近な例を取り上げながら、授業形式で具体的にわかりやすく説明されています。各テーマの挿絵もわかりやすく、学びのとっかかりとして、入りやすい一冊でした。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇他人に左右される
・サクラの人数が増えるほど、その行動につられてしまう人も増える。特に、サクラが3人いると、被験者の同調率が急増する。
・一緒に作業する人数が増えるほど、個人は力をセーブする(手を抜く)⇒「みんなで一緒に仕事をしよう!」は、効率が悪い。
〇自己肯定感を高めるポイント
①達成体験:自分で行動し、何かを成し遂げたと思うこと。
②代理体験:他人の成功を見て自分もできると感じる。
③言語的説得:他人から「君ならできる」と言われること。
④生理的情緒的高揚:苦手なことを克服できた経験。
〇相手への評価に対し、相手がどんな印象を持つか
好かれる順は次のとおり。
①否定的な評価から肯定的な評価に変化した場合
②常に肯定的な評価の場合
③常に否定的な評価の場合
④肯定的な評価から否定的な評価に変化した場合
〇大事な話は食事中に
飲食しているときのほうが、相手の説得を受け入れやすくなる(=ランチョンテクニック)。米国のエグゼクティブは、朝食を取りながら会議や打ち合わせをする「パワーブレックファスト」もよく行われる。
〇信じれば夢は叶う(ピグマリオン効果)
信じれば現実になる(教師期待効果)。次のような実験がされた。
①ランダムに選んだ小学生数人に「この子たちには優れた能力がある」と教師に告げる
②教師はそれを信じ、①で指名された子について特に学習環境を整えるなどの配慮をする
③その結果、約1年後には、①で指名された子は他の子よりも実際に成績がアップしていた
〇ラザルスの8つのコーピング
自分でできるストレスへの対処法
①ストレスに正面から取り組み、状況を変化させるために積極的に行動する
②ストレスをつくる状況から距離を置き、ストレスを最小限に抑える
③ストレス状況に対する自分の感情や行動をコントロールする
④ストレス解消のために、情報収集やカウンセリングなどの支援を求める
⑤ストレス状況における自分の責任を認識し、物事を調整していく
⑥ストレスを感じる状況から逃避する
⑦ストレスを解消するために考える努力をする
⑧ストレスを感じる環境を変え、自分を成長させようとする
他にも心理学をかなり広く浅く取り上げています。
基礎心理学として、発達心理学、社会心理学、認知心理学、学習心理学、知覚心理学、人格心理学、異常心理学、言語心理学、数理心理学、生体心理学など。
応用心理学として、犯罪心理学、臨床心理学、組織心理学、スポーツ心理学、教育心理学、災害心理学、経済心理学、恋愛心理学など。
あれこれ手を付ける前に、自分は何を学びたいのか、まずそこを考えなければという思いになりました。