『WORK SHIFT』(リンダ・グラットン)(〇)
昨年のベストセラー『LIFE SHIFT』の著者が2012年に出版した本書。『LIFE SHIFT』が100年時代の生き方について書かれているのに対し、こちらは、100年時代の働き方について焦点が当てられています。テクノロジーが進化する環境変化の中で、どのように働き方をシフトさせていくべきか。考えさせられることが多い良書です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇3つのシフト
①ゼネラリストからスペシャリストへ
②孤独に競い合う生き方から、協力し合う生き方へ
③大量消費志向のライフスタイルから、意義と経験を重んじるバランスのとれたライフスタイルへ
〇向こう数十年の世界を形づくる5つの要因
①テクノロジーの進化
②グローバル化の進展
③人口構成の変化と長寿化
④社会の変化
⑤エネルギー・環境問題の深刻化
〇時間に追われる弊害
・あまりに多忙な日々を送るようになると、一つの物事に集中して取り組むことが難しくなり、じっくり観察して学習する能力が損なわれる。仕事の作業の手を休めて、自分より高度な技能の持ち主の振る舞いを観察する時間も無くなる。
・遊び心や創造性を発揮したり、気まぐれに身を任せたりする機会がなくなる。結果をすぐに欲しがり、短期間で手っ取り早く学習しようという発想にどうしても陥る。未来の世界で創造性を発揮するうえで最良の方法は間違いなく、仕事と遊びの境界線を曖昧にすること。
〇時間に追われない未来を迎えるために
①<第1のシフト>で目指すのは、専門技能の習熟に土台を置くキャリアを意識的に築くこと
②<第2のシフト>で目指すのは、自分を中心に据えつつも、他の人たちと強い関わりを保った働き方を見出すこと
③<第3のシフト>で目指すのは、消費をひたすらに追及する人生を脱却し、情熱的に何かを生み出す人生に転換すること
〇働き方の未来を切り開く3つのタイプの人的ネットワーク
①ポッセ(同じ志を持つ仲間)
いざというときに頼りになり、長期にわたって互恵的な関係を築ける少人数のグループのこと
多様性に富んだ大人数ネットワークのこと。
③自己再生のコミュニティ
頻繁に会い、一緒に笑い、食事をともにすることにより、リラックスし、リフレッシュできる人たちのこと
〇<第一のシフト>ゼネラリストから連続スペシャリストへ
①専門技能の連続習得
未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、浅い知識や技能ではなく、高度な専門知識と技能を身につけるその後も必要に応じて、他の分野の専門知識と技能の習得を続ける。
②セルフマーケティング
自分の能力を取引相手に納得させる材料を確立する。グローバルな人材市場の一員となり、そこから脱却しないために、そういう努力が欠かせない。
〇<第二のシフト>孤独な競争から協力して起こすイノベーションへ
①ポッセの存在
・比較的少人数グループで声を掛ければすぐに力になってくれる面々
・以前一緒に活動したことがあり、信頼している人たち
・充実したポッセを築きたければ、他の人と協力する技能に磨きをかけること
・新しい場所に出かけ新しい人と知り合う
・人との付き合いの面でカメレオン人間になる(それぞれのグループで求められる資質に合わせて自分の振る舞いを修正する)
・プッシュばかりでなくプルを心がける。
③自己再生コミュニティ(住む場所と仕事を選ぶ)
・住む場所を選択する観点‥知的興奮を味わえ創造性が刺激される、自分らしく生き自分を自由に表現し個性を育める、他の人と知り合い友達になりやすい、地元に誇りを抱きやすい
〇<第三のシフト>大量消費から情熱を傾けられる経験へ
自分の選択について意識的に考え始めると、次の3つの問いを検討するようになる。
①インターネットなどのテクノロジー、ものごとが起きるスピード、グローバル化の進展状況に関してどのような変化が訪れ、それが仕事の世界にどういう影響を及ぼすのか。
②特に「漫然と迎える未来」のシナリオが現実化した場合に、どのような未来がやってくるのか
③仕事に関する選択肢を行うにあたり、自分がどういう困難とジレンマに直面しているのかという問い
あっという間に線引き箇所が多数になるほど、気になるところが多い内容です。専門性、ネットワーク、生き方(価値観)。終わりがない、永遠のテーマではありますが、過去を省みれば、徐々に自分の中にできてきている感覚もあります。環境変化に意識を向け、自分の考え方や力量や行動を考え続ける意識があれば、知らず知らずのうちに良い方向へ進んでいるのではないかと楽観的に考えていますが、実のところがどうなのか、自分では気づきにくいテーマですね。
ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
- 作者: リンダグラットン
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/09/28
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