MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

フロー体験入門(M.チクセントミハイ)

『フロー体験入門』(M.チクセントミハイ

 「フロー状態に入った」「ゾーンに入った」・・。何かに熱中している時、すさまじい集中力を発揮しているとき、このような体験をすることがあります。このフロー状態を体験する人々がどのようにしてそうなるかについての最高の知識を提供する一冊です。どうすれば自分を変えられるかというよりも、自分の生活を変えるために何ができるかについて書かれています。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇フロー状態

・目標が明確で、迅速なフィードバックがあり、そしてスキルとチャレンジのバランスが取れたぎりぎりのところで活動している時、我々の意識は変わり始める。そこでは、集中が焦点を結び、散漫さは消滅し、時の経過と自我と自我の感覚を失う。その代わり、われわれは行動をコントロールできているという感覚を得、世界に全面的に一体化していると感じる。この体験の特別な状態が「フロー」。

・目標がスキルより高い時はストレスや不安を感じ、また、チャレンジがスキルに対してあまりにも低すぎる時には退屈を感じる。多くの人々にとって平均的な一日は、交互にやってくるストレスと退屈の連続である。

 

〇フロー体験

・フローは一般的に、自分の好きなことをしている時に報告される。ガーデニング、音楽鑑賞、ボウリング、ごちそうを作っている時など。それはまたドライブや友人と話している時、仕事中にも起こる。

・テレビを見たりくつろいだりというような、受身的レジャー活動をしている時には、フローはほとんど報告されない。

・しかし、適切な要素が存在するならば、どんな活動でもフローをもたらすことができるので、明確な目標、迅速なフィードバック、活動の機会とバランスのとれたスキルを持ち、さらにフローの残りの条件が日常生活の恒常的な一部となるようにしてお行くことで、毎日の生活の質を高めることは可能。

 

〇環境条件

 大切なのは外因的条件ではなく、外因的条件をどうするかである。毎日の生活が素晴らしいものになるかどうかは、結局のところ、何をするかではなく、どのようにするかにかかっている。重要なのは日常的な環境~場所、人、活動、一日のうちの時間帯~がわれわれに及ぼす影響について考慮すること。

 

〇仕事のフローに関するインタビュー

・「アイデアを得ようとしなきゃいけない、興味があるんだから・・私のようなものはそうするのが好きなんだ。アイデアを思いつくのは面白いし、だれもそれを望まなくても、気にしない。何か奇妙で変わったことを思いつくのはただ楽しい」

・「私はじっと腰掛けて、今、人生で何をしようとしているのかと、自問したことはない。したいことをしながら前へ進んだだけ」

・「仕事が自分にぴったりだと感じ、時間の感覚を忘れ、完全にうっとりして、していることに完全に没頭します・・。何かに働きかけ、うまく働いている時、言っていること以外の言い方はないように感じる」

 

〇レジャーとフロー

・フローを生み出すどの体験も、楽しめるようになる前に、最初に注意力の投資が必要。自由に使用できる「活性化エネルギー」が必要となる。

・本をよく読めば読むほど、より多くのフローを体験する一方、テレビを見ることについては、逆の傾向が報告された。最も多くのフロー体験は、多くの本を読み、ほとんどテレビを見ない人によって報告された。

 

〇人間関係とフロー

・人々が報告する最もポジティブな体験は、ふつう、友人と一緒にいる体験。これは特に若者に当てはまるが、人生の後期においても当てはまる。人々は概して友人と一緒にいると、何をしているかに関係なく、より幸福でモチベーションがある。

・友人は感情的・知的スキルを磨きながら、一生の間、潜在的に無限の刺激を提供する。

・複雑な家族の中で育つと、子供はスキルを発達させ、チャレンジを認識する機会を持つ。そして、フローとして生活を体験するための準備がより進む。

 

 正直、理解の難しい分野でした。自分の経験を思い出しながら、もう少し関連図書を読み進めてみないと実感をもった気づきの領域に達しないような気がします。フロー体験を多くされている方にとっては、感じることも多いのではないかなと思います。逆に言えば、本書からの気づきが多いということは、数多くのフロー体験を知らず知らずのうちに経験しているということかもしれません。

フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

 

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