『人は誰もが「多重人格」』(田坂広志)(〇)<2回目>
あるお友達にお薦めしたくて、その前に読み直してみました。やはり良書です。「多重人格」というと「病」のことをイメージしてしまいますが、本書は自分の中にある様々な人格を自覚し、置かれた状況や場面にどの人格で処するかを意識的に判断し瞬時に人格の切り替えることにより、才能を育てようとする視点で「多重人格」について語られています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇「才能」の本質は「人格」
人は誰もが、心の中に「幾つもの人格」を持った「多重人格」。
しかし、通常は仕事や生活の状況や場面に合わせて、その「多重人格」の中から、ある人格を選び、働き、生活している。
しかし、自分の中に隠れている「幾つもの人格」に気が付き、それらに光を当て、意識的に育て、状況や場面に応じて適切な人格で処することを覚えるならば、自然に「幾つもの才能」が開花していく。
それゆえ、自分の中に眠る「幾つもの才能」を開花させたいと思うならば、自分が意識していなかった「幾つもの人格」に気が付き、その「多重人格のマネジメント」を行うことが不可欠。
「多重人格のマネジメント」を行うことによって、「多様な才能」が開花していく。
〇深い思想
「深み」とは、自身の内に「幾つもの人格」を育てており、場面や状況に応じて、様々な人格が適切な形で出てくる。その人間としての奥行のようなもの。本当に深い思想を持った人物はやはり多重人格。「思想」とは、現実の人生の中で、人間関係の中で、組織の中で、社会の中で、それを「生きる」ために、目の前の現実と格闘をしたとき、はじめて「生きた思想」になり「真の思想」になる。
〇「多重人格」から「深層意識」のマネジメントへ
「多重人格のマネジメント」とは、ある意味でわれわれの中に隠れている「様々な人格」や「様々な才能」を開花させるために、その開花を妨げ、抑圧している「深層意識」に働きかける技法、いわば「深層意識のマネジメント」でもある。
〇人格の切り替え
「人格を切り替えた」という意味は、自分の中の「様々な人格」の中から、職場などの状況において「表に出す人格」を適切に選ぶようにしたという意味。
〇人格を演じることは、人格を育てること
「ある人格を演じるということ」と「ある人格を育てる」ということは、同じこと。ある人格を気持ちを込めて「演じて」いると、その人格が、自然に育ってくる。我々は「様々な人格」を育てることができるのであり、我々の中には、可能性として「すべての人格」が隠れている。
〇表層人格
表層人格とは、ある状況では隠れているが、他の状況ではすでに表に出ている人格。
■「表層人格」を開花させる4つの技法
①自分が、いまの仕事に「どのような人格」で取り組んでいるかを、自己観察する
②自分が、仕事以外の世界で「どのような人格」を表しているかを、自己観察する
③仕事のできる人が、仕事でどのように「人格」を切り替えているかを、観察する
④自分の仕事において、表に出して活用する「人格」を、切り替える
〇深層人格
深層人格とは、現在は隠れており、表に出てきていない人格だが、置かれている立場や状況が変わったり、意識的な努力をすることによって、自分の中に育ち、表に出てくる人格。
■「深層人格」を開花させる3つの技法
①優れたプロフェッショナルを「師匠」として、その「師匠」から「人格」を学ぶ
②自分の中の「隠れた人格」が開花する仕事を選ぶ
③「日常とは違う場」で表れる「日常とは違う人格」を体験する
〇「多重人格のマネジメント」を実践すると、なぜ「豊かな人間性」が開花するのか
①相手を理解し、相手の気持ちが分かるようになる
②相手の状況や心境に合わせて、適切な人格で対処できる
③自分の中に様々な人格が開花するだけでなく、自然にそれらの人格を静かに見つめているもうひとつの人格、すなわち、静かな観察者が生まれてくる。
自分の中にどんな人格があるのか、まずはそこを意識してみること。そして、その人格を使い分ける部分は、コーチングで学んだ「自分の「〇〇モード」」を意識しておくこと。確かに、すでに自分の中にいくつかの「モード」があり、これは、現在作成中の『自分ノート』に書いておくべし!と思いました。
人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」 (光文社新書)
- 作者: 田坂広志
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/05/19
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