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MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

乱談のセレンディピディ(外山滋比古)

『乱談のセレンディピディ』(外山滋比古

 セレンディピディ=思いがけないことを偶然発見する力。一人でする読書では得られないものが、雑談の中にはある。そこから新しい発想が生まれる。そんなおもしろい視点で乱談のメリットを抽出した一冊です。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇乱談する仲間

 2人では難しい、3人寄ればかろうじてできるが、4~5人くらいの仲間が欲しい。同じようなことをし、似たようなことを考えている人たちだけでは、行儀がよくて、うまく乱れることが難しい。”同業者”だけでは、なかなか乱談にならない。小さな専門をありがたがり、特殊な知識を誇るような人たちでは、乱談は始まらない。

 

〇異分野の人が集まる効果

 互いにわからないところの多い人間が集まると、妙な警戒心はないから存分におしゃべりできる。その他の人たちに様々な刺激になり、それに触発されて、思ったことを言う。それがまたほかの人を動かし、話して座がにぎやかになる。自分でもそれまで考えたことのないことが、この乱談のスクランブルで飛び出すことも少なくない。

 

〇三人寄れば文殊の知恵

・一人ではいけない。二人でも足りない。それが三人になると知恵が出る。三人の話し合いは、新しい力が生まれる。それぞれが反応するから、言葉が重層的になる。混乱するがエネルギーをはらんだ混乱で、めいめいに強い印象を与える。おもしろい談話が生まれる。そのおもしろさは、本を読んで得られる満足感、気持ちの良い対話をした後の爽快感と違った生産的エネルギーを内蔵する。うまく引き出せば、文殊の知恵である。

・一人の考えはいわば「点」である。二人の話し合いは、線と面を作ることができるが平面的であるのは是非もない。三人寄れば、立体的コミュニケーションが可能になって、点的思考や平面的思考では及びもつかない複雑、混然の豊かさを捉えることが可能となる。

 

〇独学の限界

 独学には限界がある。過去のことを知るには、本を読むのが最も有効である。しかし、即署は、後ろ向きの頭を作りやすい。本を読めば読むほど、人の考えを借りてものを考えるようになる。余計なことは考えず、ただ、浮世離れしたことを話し合っていると、本を読んでいるときはまったく違った知的刺激を受ける。もともと人間はそうなっているのであろう。そういうおしゃべりで賢くなり、未知を切り拓いてきたのである。

 

〇清水に魚棲まず

 乱れてはいけないと思い込んでいるから、一心不乱の考えしか生まれない。一心不乱は論理的ではあり得るが、新しいものを生み出すことができない。複雑と混乱の中から、新しいものは生まれる。発見とまではいかなくとも、おもしろい。脱線を慎むのが美風とされているところでは、創造や発見はない、ということを、真面目な我々は考え及ばないようである。不乱は貧しい。混沌、雑然、失敗の中に新しいもの、おもしろいことが潜んでいるようである。正直でまじめな人たちが不毛に陥りやすいのは、正しすぎるからである。

 

〇よく遊べ

 ”よく学べ”だけでは知的メタボリックになりやすい。”よく遊べ”で減量すれば健康体になる。”遊び”の発見は、成熟した知識社会でないと生まれない。幼い文化社会では、パラドックスは受け入れられない。
 昔の日本が”よく遊べ”を持て余したのは自然のこと。十分に成熟した知識社会であると考えられている現代においてもなお、”よく遊べ”が、”よく学べ”と両立することを認める知性が育っていないかもしれない。

 学びすぎるのは、危険かもしれない。少なくとも知的個性をつくるには、学びすぎるのはよろしくない。よく遊ぶことによって知的健康と知的活力を伸ばすのであろう。

 ”よく学び”、”よく遊べ”は、このように考えると、本を読んだら、仲間と談笑、談合、多くのことを忘れることであると解することが出来る。覚えたら、忘れると言ってもよいし、知識に縛られないで、新しい活動に向かえと言っているようでもある。

 

 著者の著書に『乱読のセレンディピディ』があります。こちらは、乱読による偶然の発見を語った内容です。「乱読と乱談」、「学びと遊び」、いずれにしてもバランスが大事。座右の銘でもある、「よく働き、よく遊び、良く学ぶ」とも通じており、バランスを重んじている私には、とても響く内容でした。

乱談のセレンディピティ

乱談のセレンディピティ

 

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