『社員の力で最高のチームをつくる』(ケン・ブランチャード他)(〇)
帯に惹かれて購入しました。あの星野社長が惚れこんだ本書は、「1分間エンパワーメント」というサブタイトルのとおり、社員に能力をいかんなく発揮してもらうための取り組み方法について書かれています。「星野リゾートはこの本がなければ存在しなかった。私の経営者人生で最も影響を受けた」と言わしめた、良書です。しかもコンパクトで読みやすいです。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇まえがきより(星野リゾート 星野佳路社長)
エンパワーメントを成功させるためのコツは、書かれている内容を一言一句、そのまま実践すること。つい導入しやすいところだけを試してみて、部分的にしか行わないことが多い。しかし、これでは成果を上げることはできない。本書にも書かれているように、途中でうまくいかなくなる場面に必ず遭遇する。だが、そこであきらめずに、じっくりと腰を据えて取り組んでいかなければならない。本書のとおりに実践できるかできないかは覚悟の問題だ。
〇エンパワーメントの3つの鍵
①正確な情報を全社員と共有する
正確な情報を持っていなければ、責任ある仕事をすることが出来ない。正確な情報を持っていれば、責任ある仕事をせずにいられなくなる。
・会社の現状を知らせ、ビジネスの状況について理解を促す
・情報の共有によって信頼関係を築く
・自分の仕事ぶりを自己観察できる可能性を高める
・失敗を学習の機会とみなす
・階層組織の思考を廃し、全員がオーナー発想で行動することを助ける
②境界線を明確にして自律的な働き方を促す
自律した働き方を促進する6つの境界線
1)目的‥われわれの事業は何か?
2)価値観‥事業を進めるにあたっての指針は何か?
3)イメージ‥どんな将来像を思い描くのか?
4)目標‥何を、いつ、どこで、どう達成するのか?
5)役割‥誰が何をするのか?
6)組織の構造とシステム‥仕事をどう位置付け、どう支えるのか?
・全体図と部分図を明確にする
・ゴールと役割を明確にする
・行動の根底にある価値観とルールを定義する
・エンパワーメントを支えるルールと手順を定める
・必要な教育訓練を行う
・結果に対する説明責任を社員に持たせる
③階層組織をセルフマネジメント・チームで置き換える
上司に頼らないで仕事ができるようになる方法を部下に教えることからエンパワーメントが始まる。
・チームの方向付けを行い、スキルアップの訓練を実施する
・チームに変革のための支援と励ましを与える
・メンバーの多様性をチームの財産として活用する
・コントロールを徐々にチームに引き渡す
・困難に襲われることがあると覚悟しておく
〇エンパワーメントとは
・人にパワーを与えることではない。与えてもらわなくても人はもともとたっぷりのパワー(知識・経験・意欲)を持っていて、立派に自分の仕事ができる。エンパワーメントとは、「社員が持っているパワーを解き放ち、それを会社の課題や成果を達成するために発揮させること」
・問題は社員にベストを尽くす意志や能力がないことではなく、ベストを尽くすことを怖がっていること。ほとんどの組織は、社員を励まして正しい行動を促すのではなく、間違いを見つけて懲らしめることばかりに意識が向いていること。
〇上司の役割
エンパワー・マネジャーとなった上司の新しい役割は、部下の業務のコーディネート、経営資源の確保、戦略的プランニング、顧客対応、コーチングなど、様々なものがある。何をするにせよ、部下が才能とエネルギーを伸ばすことを助け、彼らが会社のゴール達成に向けて効果的に働けるように支援すること。つまり、部下たちのパワーと組織の目標をつなぐのが連結ピンの役割。そうなると、もはや部下が上司のために仕事をするのではなく、上司が部下のために仕事をするということになる。
〇エンパワーメントはマジックではない。それを実現させるのは、いくつかのシンプルなステップと、やり抜くための強い意志である。
理論の分かりやすさと、実行の難しさの相反するところを星野社長の言葉で繋いでいる感覚がとてもいいバランスのように思います。自分を振り返るとできているところ、できていないところ、いろいろと考えさせられます。マネジャー側に怖さ・恐れといった気持ちがあることは間違いなく、星野社長がおっしゃるとおり、最後は「覚悟」の問題なんだろうなと思います。
社員の力で最高のチームをつくる―――〈新版〉1分間エンパワーメント
- 作者: ケン・ブランチャード,ジョン・P・カルロス,アラン・ランドルフ
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/02/27
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る