MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

1分間顧客サービス(K.ブランチャード、S.ボウルズ)

『1分間顧客サービス』(K.ブランチャード、S.ボウルズ)

 150ページ弱のコンパクトな物語の中に顧客サービスの大切な部分・・・熱狂的ファンをつくる3つの秘訣が語られています。その3つとは、①自分が何を望むのか決定せよ、②顧客の望むことを発見せよ、③ひとつ余分に実行せよ。その鍵は「一貫性」。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇熱狂的なファンをつくる

 お客様が満足していても十分じゃない。顧客を掴んでいることにはならない。彼らは他にもっといいところを見つけたら、さっさとそっちへ行ってしまうだろう。本当に顧客を「つかむ」ことを望むなら、満足した顧客で良しとするのではなくて、熱狂的なファンを作らなければダメだ。

 

〇自分が何を望むのか決定せよ

 自分が望むものを決めるには、顧客を中心にした完全なビジョンを作らなければならない。自分の考えがもとになる。まず自分が望む完全な世界をつくること。注意してほしいのは、自分が完全である必要はないということ。顧客を中心にした完全な世界を考えなさいということ。一度実際のビジョンができれば、しなければならないことが分かってくるし、それを会社全体にやらせるようになるし、どこに障害があるか分かってくる。

 

②顧客の望むことを発見せよ

 自分自身のビジョンを持っていなかったら、どうして顧客を理解することが出来るのか?自分のビジョンでその足りないところを埋めなければならない。顧客の望みを無視し、必要ならそ要望はどこかほかで満たしてくれと言わなければならない場合もある。いいサービスをしたいと考える人は、すべての人のすべての望みに応えようとしがちだが、それは無理。顧客のビジョンがその範囲を変えるかもしれないが、最初に自分自身のビジョンを持たなかったら、どこで線を引けばいいか分からないだろう。自分自身のビジョンを持つことで顧客のビジョンができるようになり、自分と顧客のビジョンのギャップが埋まり、完全なイメージが持てる。

 

〇聞き方を訓練すること(第二の原則の落とし穴)

 言葉と同じようにその音色に耳を傾けること。人々が本当に望んでいることは、言葉に直接表れないことが多い。落とし穴は3つ。①顧客のいうこととその意味は別、②「けっこうだった」という言葉、③沈黙。

 黙っていたり、笑みを浮かべて「けっこうだったよ」などと言ったときは、耳をそばだてなければならない。問題があるということ。顧客が何も言わないとき時に一番熱心に耳を傾けなければならない。さらに問いかけるしかない。真剣に問いかける。顧客は経験から、あなたが彼らが望みに感じることを本当に知りたがってはいないのではないかと思っている。しゃべってもらいたければ、まず信頼を得ること。時間をかけて話を続ければ、こちらが真剣だということが分かり、答えてくれる。

 

〇ひとつ余分に実行せよ

 「1%余分にビジョンを実行せよ」。一貫性が信頼性を生む。一貫性が熱狂的ファン・サービスを実行する鍵。初めは、効果を上げようと思う分野を限ること。第一にそれで一貫性が保てる。第二に、顧客サービスが最終的に目指すものすべてを一度に導入するよりも、一つの極上の仕事をしようとする方がずっとうまくいく。一度にすべてのことはできない。そういうやり方は無理。重要なのは一貫性。顧客が魅了されて熱狂的ファンになるのは、いつでも期待できると分かったとき。期待に応えるのが第一、それ以上のことをするのは第二。その実行を保証するのがシステム。

 

 『星野リゾートの教科書』で星野社長が教科書通り実行していると紹介されているうちの一冊です。3つの秘訣により熱狂的ファンを作ること。自分が望むことをはっきりさせないと、顧客と自分の線引きが出来ないという点が印象に残りました。すべてを満たそうとするのは無理だと。顧客に意識が向きすぎて、見落としがちな点ですね。

1分間顧客サービス―熱狂的ファンをつくる3つの秘訣

1分間顧客サービス―熱狂的ファンをつくる3つの秘訣

 

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