『新1分間リーダーシップ』(ケン・ブランチャード他)
1分間シリーズを読み進めています。本書は、1981年に出版された『1分間リーダーシップ』の改訂新版です。『新1分間マネジャー』で1分間目標・1分間称賛・1分間修正を身につけた主人公がリーダーシップについて学び成長する物語です。①目標設定、②診断、③マッチングという3つの切り口から解説されており、ボリューム的にも約150ページと読みやすい一冊です。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇状況対応型リーダーの3つのスキル
①明確な目標を立てること
②それぞれの目標ごとに相手の発達レベルを診断すること
③相手が何を必要としているかによって、さまざまなリーダーシップスタイルを使い分けること
〇パフォーマンス管理の3つの側面
①パフォーマンス・プランニング
→目標設定は、パフォーマンス・プランニングのカギとなる部分
②日々のコーチング
→ほとんどの会社が積み残す課題
③パフォーマンス評価
〇SMARTな目標設定
①Specific(具体的)
・この目標・タスクは、正確にどのようなものか
・この目標・タスクはいつまでに達成しなければならないか
②Motivating(動機づけ)
・この目標・タスクは個人的にやりがいのあるものか
・この目標を目指すことで、能力ややる気が高まりそうか
・この目標を目指すことで、エネルギーが高まりそうか、それとも消耗しそうか
③Attainable(達成可能)
・この目標は現実的で合理的で達成可能か
・この目標は自分でコントロールできる範囲内にあるか
④Relevant(関連性)
・この目標・タスクは組織にとって意味のあるものか
・この目標・タスクは組織の目標やチームの目標と連携しているか
・この目標・タスクは他の目標よりも優先順位が高いか
⑤Trackable(追跡可能)
・それぞれの発達レベルにおいて、良い仕事とはどのようなものか
・進捗状況や結果はどのように測定し、追跡する予定か
〇「かもめマネジャー」にならないために
目標を設定しっぱなしで、日々のコーチングを怠るリーダー。かもめマネジャーは目標設定を終えると部下を放ったからしにして、ミスをするとすぐに飛んできて、ぎゃぁぎゃぁと騒ぎ立て、誰彼構わずに叱りつけたあげく、さっと飛んで行ってしまう。
〇発達レベル
・D1〔意欲満々な初心者〕:技能‥低、意欲‥高
・D2〔期待が外れた学習者〕:技能‥低~中、意欲‥低
・D3〔慎重になりがちな貢献者〕:技能‥中~高、意欲‥不安定
・D4〔自立した達成者〕:技能‥高、意欲‥高
〇4つのリーダーシップスタイル
・S1〔指示型〕:指示型行動‥多、支援型行動‥少
→瞬時に解決しなければらならない、緊急度の高い状況に適合する
・S2〔コーチ型〕:指示型行動‥多、支援型行動‥多
→いったん意欲を失ったらもはや指示を与えるだけではダメ。支援したり、励ましたりする。
・S3〔支援型〕:支援型行動‥多、指示型行動‥少
→経験豊富な人は話しを聞いてもらい、支援してもらうことを望む
・S4〔委任型〕:支援型行動‥少、指示型行動‥少
→トップパフォーマーは、自分や部下のやり方は正しい、チームも高い実績を上げていると思っているので、指示や支援はいらない。
〇部下を伸ばす5つのステップ
①部下に指示を与える
②やって見せる
③実践させる
④パフォーマンスを観察する
⑤進歩を認める(進歩が見られなかったら目標を修正する)
〇目標達成のための6つの対話
①意識合わせ対話
部下の目標や発達レベル、あるいは目標やタスクごとにどんなリーダーシップスタイルを選択するか、お互いに合意しておくための対話
②~⑤ S1~S4の対話
意識合わせで決めたリーダーシップスタイルを実践に移す。
⑥1対1対話
定期的に行い、リーダーとチームの連携を高める。
〇「誰もがハイパフォーマーになる潜在力を持っている。人によってほんの少し誘導が必要というだけである」
「誰もが成長を望み、その可能性を秘めている」。そう考えると、その人を支え、導き、環境を整えるリーダーの役割・責任は計り知れなく大きなもの。そんな自覚をあらたにまたリーダー自身も成長していくというような、プラスの循環を目指したいものですね。振り返れば素晴らしいであったとお互いに言えるような関係を作り続けていきたいと思える一冊でした。
- 作者: ケン・ブランチャード/パトリシア・ジガーミ/ドリア・ジガーミ,田辺 希久子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/05/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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