『大人が変わる生活指導』(原田隆史)
問題を抱えていた松虫中学校陸上競技部を7年間で13回の日本一を輩出するまでに成果を出した著者。単なる技術面や体力づくりだけではなく、挨拶や身だしなみにはじまる態度教育や清掃活動、奉仕活動といった生活改善に根差した人間力の向上に全力を注いだことが生活につながった。これはビジネスでも当てはまること。本書では、日常生活の改善により、意識を高め、人間力を高めることからビジネスにおいて成果を上げる方法についてまとめられています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇未来を切り開く「自立型人間」
夢を描いて目標に変える。目標達成のための方法を考えて、達成しきる。被害者意識がなく心のコップがいつも上を向ている。心・技・体+生活のバランスが取れている。
〇5段階の「心づくり」
①心を使う
「リーチング目標設定用紙」を使って心の中にある思い、考えを文字にしていく作業
②心をきれいにする
心のコップが上を向いている。心の中にある見えないすさみを取り除く。
③心を強くする
どんなに小さい生活習慣であっても「毎日必ずやる」と決めたら、一日たりとも休まない。中途半端で終わらせず、最後まできっちりやり遂げて一日を終える。
④心を整理する
日記を書けば、いつも自分を前向きに保てる。その日にすべきことを日記に書いて、その日の終わりに、できたこと、できなかったことを仕分ける。できなかったことをそのままにせず、明日はどうすれば出来るのかを考えて、翌日の行動計画を立てていく。
⑤心を広くする
自分の長所を活かして他人に貢献したり、持っているものを惜しみなく相手に与えると「ありがとう」の言葉が返ってくる。その際に「心が広くなる」。
〇大人にこそ生活指導を
・奉仕活動で心がきれいになる一つの理由は、感謝の気持ちを実感できること。毎日、家でお皿を洗えば、これまでずっと洗い続けてくれた人の苦労を、身をもって感じることができる。そして、自然と感謝の気持ちが芽生える。感謝の気持ちを強く意識できる人ほど、心から人に接することが出来る。他人に対する細かい気配りができるようになる。
・小さな継続が仕事において意外なほど大きな力をもたらす。仕事や生活習慣の改善で育んだ強い心は、仕事に対する執念や粘り強さといった、予想外の効果を生み出した。
〇理念と目標を掲げる
・人間は期限を切られて初めて、わが身を振り返る。死生観を意識することが、充実した人生を送ることにつながり、仕事や人生の理念を求める出発点になる。
・「自分が知るかぎりにおいて、何かを成し遂げた人間の共通点は日誌だった」(アルベルト・アインシュタイン)
・「考える時間」を自分の生活習慣に採りいれることから始めてみる。その意味でも日誌が大切な手段。
・仕事のこと、生活のことなど、その日の自分自身を振り返りながら、ものを考えるという習慣を重ねていく。自分の理念を模索しつつ、こうした作業を繰り返している間に、仕事や生活でのあるべき姿や価値観、その両方に通じる人生の理念が自然と浮かび上がってくる。
・「できた」「できない」を〇×で仕分けする作業は、自分の頭を仕分けする作業でもある。自分の強みはなにか、そして改善すべきところは何で、どのようにすれば成功できるのかを繰り返すことで、自分自身が見えてくる。
・人生の理念は、血眼になって追い求めなくても、日誌に自分を映し出す作業を重ねるうちに、自然と形づくられてきます。
・目標に対して時間という横軸を定めたのと同様に、達成目標に対しては縦軸を設ける。この縦軸とは、目標に対する難易度で、目標に対して幅を与えて考えてみる。
〇脳と心を鍛えるエクササイズ
・目標400字!脳を鍛える3分間作文(手書きの効果を実感)
⇒①目標を設定、②ここまで書こうという目標ラインをあらかじめ原稿用紙にはっきりと書く、③自分が定めた目標ラインまでの間をさらに三等分する。
・自分の長所をできる限り書き出す
⇒自分の長所をしっかりと意識し、それが行き過ぎぬように自分をコントロールできれば、短所は自ずと改善できる。長所と短所が表裏一体だと考えれば、大きな欠点は、大きな長所にもなる。
・仕事の楽しさをできる限り書き出す
・オープンウィンドウ64(曼荼羅ワーク)
〇やる気を与えるポイント
①有能感(自分はできる、能力がある)
②統制感(できそうだ)
③受容感(自分の居場所が認められていて、自分がなくてはならない存在であること感じること)
原田メソッドは、一度は学んでみたいテーマです。習慣化・継続力については、自分なりに実感できていることもありますが、目標設定、日記による振り返りなどは、自分一人では、なかなか続かなさそう。このあたり、効果が実感できまで伴走者が必要だなと思うところです。