『未来の年表』(河合雅司)
未来への警鐘、日本でこれから何が起こっていくのか。人口から見た日本の未来を描いた一冊です。年ごとにトピックスとなる出来事を取り上げている構成がおもしろく、とても分かりやすい内容です。基本的には、人口減少と高齢化社会で暗い話題が中心。『LIFE SHIFT』を読んで、こちらも読むと、自分の将来がひしひしと具体化され、統計的にはそうかもしれないが、その中でどのように生きたいかを考えるきっかけになると思います。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇2017年:「おばあちゃん大国」に変化。
日本人女性の3人に1人がすでに65歳以上。高齢者がより高齢化する時代に。
〇2018年:国立大学が倒産の危機へ
18歳人口が急減し始め、定員割れは当たり前。学生の募集を停止する流れが加速する。
〇2019年:IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
社会インフラの老朽化も進む。だが、それらを支える技術者の後継者がいない。
〇2020年:女性の2人に1人が50歳以上に
「出産できる女性」激減する日本。少子化はさらなる少子化を呼ぶ。
〇2021年:介護離職が大量発生する
団塊ジュニア世代が50代に突入し、企業は管理職の人材不足に悩む時代が来る
〇2022年:「ひとり暮らし社会」が本格化する
独居世帯は3分の1超。ひとり暮らしをする貧しい高齢者の急増が大問題に。
〇2023年:企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
労働力人口が5年間で約300万人も減る一方、団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代に突入。
〇2024年:3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
全国民の6人に1人が75歳以上、毎年の志望者は出生数の2倍。老々介護がのしかかる。
〇2025年:ついに東京も人口減少へ
息子や娘を頼る高齢者が、若者の代わりに地方から東京に流入し始める
〇2026年:認知症患者が700万人規模に
「認認介護」が急増。介護する側もされる側も認知症患者という現実が待ち受ける
〇2027年:輸血用血液が不足する
輸血用血液はその80%が、がんなどの外科手術に使われる。手術ができない事態も。
〇2030年:百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
生産年齢人口が極端に減り、全国の都道府県の80%が生産力不足に陥る
〇2033年:全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
増大する「老いる家」のせいで街の景観は崩れ、治安も悪化していく
〇2035年:「未婚大国」が誕生する
男性の3人に1人、女性は5人に1人が生涯未婚。
〇2039年:深刻な火葬場不足に陥る
国内死亡者数が約168万人とピークを迎え、霊園不足という難題も降りかかる
〇2040年:自治体の半数が消滅の危機に
〇2042年:高齢者人口が約400万人とピークに
就職氷河期世代が老い、独居高齢者が大量に生まれる2042年こそ「日本最大のピンチ」
〇2045年:東京都民の3人に1人が高齢者に
東京圏でも限界集落が続々出現。東京郊外はゴーストタウン化していく
〇2050年:世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
日本が人口減少する一方、相変わらず世界人口は増え続けて約100億人に。
〇2065年~:外交人が無人の国土を占拠する
現在の居住地域の約20%が「誰もすまない土地」になってしまう。
〇日本を救う10の処方箋
■戦略的に縮む
①「高齢者」を削減(高齢者の線引きを65歳⇒75歳)
②24時間社会からの脱却(過剰サービスの見直し)
③非居住エリアを明確化
④都道府県を飛び地合併
⑤国際分業の徹底
■豊かさを維持する
⑥「匠の技」を活用(目指すはイタリアモデル)
⑦国費学生精度で人材育成
■脱・東京一極集中
⑧中高年の地方移住推進
⑨セカンド市民制度を創設(定住人口ではなく訪問者である交流人口を増やす)
⑩第3子以降に1,000万円給付
対策は議論百出でしょうが、高齢者の定義を65歳→75歳へ引き上げるということは、定年も年金も医療も、さまざまなことを自前で努力してやりなさいということでもあり、日本の財政状態と今後の人口、人口構成を考えれば、これは十分あり得るなと思います。人生100年時代と日本の現状。リンク度合いが高く、他責、他人任せではやっていけないなという実感があります。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/14
- メディア: 新書
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