MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

現代の帝王学(伊藤肇)

『現代の帝王学』(伊藤肇)

 1979年に刊行されたものを新装版化した本書。「原理原則を教えてもらう師をもつこと」「直言してくれる側近をもつこと」「よく幕賓をもつこと」の3つの切り口からまとめられています。特にページの2/3は、「原理原則を教えてもらう師をもつこと」に割かれており、歴史上の人物、著名経営者のことばが満載され、トップとして大切な心構えが詰め込まれています。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇人を見る明

①人相の見極め‥根幹は「福相」か「凶相」か

②応待辞令の妙‥きびきびと処理し、自分の考えを表現していく

③出処進退の爽やかさ

 

〇己を修め人を治める

 学問は人間を変える。人間を変えるような学問でなければ学問出ない。そしてのその人間とは他人のことではなく自分のこと。他人を変えようと思ったら、まず自分を変えること。

 

〇経営者の人生観

・「企業経営を論じていけば、結局は経営者の人生観の問題である」(松下幸之助

・上に立つ者が必ず身につけていなければならない資格

①使命感、②無私、③詩人(人間の器量は余裕から)、④現実処理能力

 

〇国が重い病気にかかる四患

①「偽」‥国政において嘘が多くなる

②「私」‥国家社会という公を忘れ、皆が、私利私欲に走り出す

③「放」‥国鉄(当時)労組のスト権ストなど、法律を無視した放埓

④「奢」‥実力もないのに贅沢だけを覚える

 

〇亡国の3つの兆し

①何事によらず、黒白がわからなくなる。

②善良な人々が、ますます遠慮がちになり、くだらぬ奴らが、いよいよでたらめをやる。

③問題が深刻になると、あれももっとも、これも無理からぬと、何でも容認してしまい、どっちつかずの痛からず、痒からずというような訳の分からぬことをしてしまう。

 

〇国に五寒あり

①「政外」‥政治がピントはずれ

②「機密が漏れる」

③「女厲(じょれい)」

④「卿士を礼せず」

⑤「内を治むる能わずして外を務む」

 

〇人生への問いを持つ

 邂逅には条件がある。必ず、人生いついての「問い」を持っていること。この人生をいかに生くべきか、という決して簡単には解決できない「問い」を胸中深く秘めての邂逅だからこそ一筋の貫くものがあるだろうし、それが相手に響く。「問い」を持たぬ邂逅は単なる社交にすぎない。

 

〇学問的鍛錬を欠く人間が陥る6つの偏向

①仁を好みて学を好まざれば、その弊は愚

②知を好みて学を好まざれば、その弊は蕩(単なる物知り)

③信を好みて学を好まざれば、その弊は賊

④直を好みて学を好まざれば、その弊は絞(迷惑をかける)

⑤勇を好みて学を好まざれば、その弊は乱

⑥剛を好みて学を好まざれば、その弊は狂

 

〇任怨分謗(にんえんぶんぼう)

・任怨:何か思い切った新しい仕事をやる時には、きまって誰かの怨みを買う。だがそうした怨をいちいち気にしていたんでは、とても新規事業はやり遂げられない

・分謗:怨に任じて敵の攻撃を一身で支えている人間を周囲の連中が放ったからして逃げてはいけない。一旦志を共にした以上は、「分謗」、つまり一心同体になって、その怨を分けて受ける気概がなくてはならない。

 

〇品性(ドラッガー

 経営者がなさねばらなぬ仕事は学ぶことができる。しかし、経営者が学び得ないが、どうしても身につけていなければならない資格が一つある。それは天才的な才能ではなくて、実にその品性である。

 

〇神と対話せよ

 神は存在するか?仏性はあるか?その問いを我々も一生に一度は真剣に問うてみる必要がある。それは、同時に「人間とは何か?」との問いであるから。

 

〇大臣にも一等から六等まである

①まったく私心がなく、作為というものがない。何とはなしに人々を幸福にし、禍はいまだ来らざるうちに消してしまう。

②いかにもしっかりしていて、テキパキと問題に取り組んでいく。剛直、直言、まっすぐに堂々と本当のことが議論できる。

③ひたすら事なかれ主義

④自分の地位、身分、俸禄を守るのに汲々としている。

⑤我欲、私心の塊で、公儀を無視し、国政を乱してはばからない。

⑥野望をほしいままにし、天下に動乱を来たす破壊的人物。

 

〇友情にも一期、二期、三期という四季みたいなものがある

①一期

 青年時代は、互いに前途の希望を語り、各々成功を期して助け合い、励まし合うようにする。つまりその頃は、相手の弱点をつつかず、長所を長所として自覚するように務めること。

②二期

 四十から五十の壮年時代に入ると、仕掛けた仕事にも目鼻がつき、成功の域に近づいたときだから、今度は欠点や短所を遠慮なく戒め合い、仕事のやり方も厳正に批判する。

③三期

 老境に入ると、不思議と皆から褒められたくなる。このため、近づく連中は、ことごとく甘言を呈するようになるし、そうでない者は遠ざけてしまう驕り高ぶった気持ちになる。そこで最も必要になってくるのが、真実の苦言を呈してくれる友人知己である。

 

 国を治める立場であって、企業を経営する立場であって、チームを牽引する立場であっても、組織の大小にかかわらず、心得ておきたい先人たちの声。書物から学ぶ良さがあらわれている一冊だと感じました。リーダーたちの内省の書とも言えます。

【新装丁版】 現代の帝王学

【新装丁版】 現代の帝王学

 

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