MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

知的文章術(外山滋比古)

『知的文章術』(外山滋比古

 「文は人なり」。ことばは表現の心であって技巧ではない。技術はあったほうが良いが今順序を間違えてはいけない。本書は文章を80年以上書き続けてきた「知の巨人」ともいわれる著者が、文章を書く時に、どういうことを心がけたらよいか、思いつくままに書き連ねた一冊。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇案ずるより書くはやさしい

 頭の中であれこれ考えていると、次第に書くのが怖くなってくる。まだまだ欠ける状態にない、と思っているうちに、時間がなくなって、浮足立つ。あせる。これではせっかくのいい考えも逃げてしまう。とにかく、あまり時間が切迫しないうちに、考えていることを書いてみる。うまくいかなくてもやり直しがきくと思えば気が楽である。

 

〇読書百編

 文章を書くのに、文章を読むのなど関係がないと考える合理主義者が多いようだが、読まないでは書くことはできない。意味を取るだけなら二度も三度もよく必要はなく、一度で十分。一冊を繰り返し読むという浮世を離れたことをしていられるかと思うかもしれないが、言葉を見に付けるには、そういう一見、不合理なことをしなくてはならないようである。多ければ多いほどよろしいというので、あれこれ種類の違う文章とつきあうと、相殺してまずいようである。一人、二人の文章を集中的に読み込んで、その骨法を学ぶ。これが文章上達のコツで、一番の近道のように思われる。

 

〇古いことば

 新しいことばはすぐに古くなる。ところが、古くから伝わってきていることばはもう古くなりようがない。文章をかくときに、もし、新しい流行りのことばと古くからの耳なれたことばのどちらかを使おうかということがあったら、迷うことなく古いことばを使うようにすべき。

 

〇声を出して読みかえす

 声を出す読み返しをしていて、もし、ひっかかるところ、読み違えをするようなところがあれば、それは文章に、何か欠点のあるしるし。二度、三度読んでみて、おかしいところを発見し、書き直さなくてはいけない。自分の書いた文章がなだらかに読めないようでは、他人が読んで分かりやすいわけがない。

 

〇巧速

 自転車は速く走れば走るほど倒れにくい。ゆっくり走れば走るほど、安定しにくく倒れやすい。初めはそのことが分からず、苦労する。読む場合も似たことが起こる。不自然にゆっくり読むから分かりにくい。思い切って速く読むと、かえってよくわかる。同様のことが書くのにも言える。書くのは大変だ、あまり上手でない。そう思っている人は、時間をかけてゆっくり、丁寧に書こうとする。時間をかければかけるほど、いいものが書けるように考えがちである。これがかえってあだになる。

 

〇同じことば

 同じことばを繰り返さないこと。同じことばがすぐ近くに出てくる文章は読む人に難しいという感じを与えるようだ。

 

〇短文、長文

短いセンテンスが書けるようになるのはかなりの練習が必要だが、それができるようになったら、今度は少し息の長い、しかし、筋の通った文章を書く稽古をする。短いセンテンスと長いセンテンスを適当に組み合わせるとリズムが出てくる。パラグラフも同じで、長いパラグラフの続いたあとは短いパラグラフを入れると、変化が出ておもしろくなる。

 

〇一口に言えること

 書きたいことが十もあったとする。これをひとつのセンテンスにまとめることはできるはずがない。説明しようとすれば延々と話さなくてはならなくなる。このうち、捨てるとすれば、どれかを考える。一つずつ切り捨てていって、二つか三つを残す。これを組み合わせて、一口で言えてはじめて、テーマができたとなる。テーマを絞るとき、考えつくことを全部紙に書き出してみるといいようだ。

 

〇話は中途から

 順序から言うとABCDEということを書こうとする。一番言いたいことがCなら、思い切って、これを冒頭に持ってくる。多少勇気がいる。しかし、相手に強い刺激を与えることはうけ合いである。どこから始めるにしても、文章は円を描くようなもの。まとまりが必要である。書き始めのところへ戻ってきて終ると、読む者も落ち着きを感じる。

 

〇推敲

 書いているときは、半ば夢中。とにかく書くことで頭がいっぱいである。読む人がどう思うだろうか、などということまでは神経を使ってはいられない。書く時は、ひたすら書く。あまり余計なことに気を取られていると、言葉の流れが悪くなる。

 書き上げたら、今度は意地悪な読み手になったつもりで、読み返す。分かりのいい友人のような読み方をしていては、いい推敲にならない。純粋な読者になるためには、書いてからしばらく風を入れたほうがよい。直後だとまだ書きたいと思ったことが頭に残っている。時間がたつとそういう思い込みも消えて、書いてあることが、ありのまま目に入るようになる。

 

 読みやすいいい文章を書きたいなぁと日々思っています。「文章を書くのは料理のよう」。まず食べられないといけない。ある程度腹も膨れて(しっかりした内容があって)、美味しい(おもしろい)もの。そして短い文章は実は難しく、ピリリと辛い存在。いい文章を書く方の書籍を何度も読み返して、身に付けていく方法は、確かにそうそう、思うところがあり、著者の書籍は私にとってまさにそんな存在です。知的文章術~誰も教えてくれない心をつかむ書き方 (だいわ文庫 E 289-5)

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