MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

コーチング・マジック(平本相武)

コーチング・マジック』(平本相武)(〇)

 コーチングを学ばせていただいた、平本あきおさんの著書で、ビジネスコーチングのフレームワークのひとつである、「4つのレベルの自分軸発見」を丁寧に解説した一冊です。4つのレベルとは、①案件レベル、②現職レベル、③キャリアレベル、④ライフレベル。例えば、目の前の仕事(案件レベル)で価値観が満たされないとしても、現職(今の会社)で、、、それが無理でもキャリアレベルで(転職も含めて考えるなら)、、、それでも満たされないなら、仕事以外も視野に入れて考えれば?と、考える範囲を変えてみて自分軸が満たされることを発見するアプローチ。4つの段階がどいうものなのか、実際どういう会話で進めていけばよいのか、かなり具体的に書かれています。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇What(何が大事、どうなりたい?)がコーチングのスタート

・何の制約もなかったら、明日から1週間、世界の①どこに行きたい?②どうしてそこに行きたい?

⇒たぶん、いろいろ出てくるはず。これを、人生に喩えるなら、、、

・①どんな人生を送りたい?(目的地)、②どうしてそんな人生を送りたい?(理由)

⇒仕事に喩えるなら、、、

・①この会社で何がしたい?この会社で自分はどうなりたい?(目的地)

・②どうしてこの会社に入った?この会社での自分のこだわりは?(理由)

⇒自分らしさ(価値観)やありたい姿(ビジョン)が自分の判断や行動基準になる。これは頭ではなく身体や感情に染みついているもの。一般抽象的な概念ではなく、自分の過去に焼き付いた個別体験から引き出されるもの。

 

〇4つのレベルの「What」

①案件レベル:パフォーマンスを上げる

②現職レベル:会社でオンリーワンになる

③キャリアレベル:天職を見つける

④ライフレベル:仕事以外のワクワクを発見する

 

〇平本流ビジネスコーチングの骨格

①Whatには、自分らしさ(自分にとって何が大事?)とありたい姿(本当はどうなりたい?)がある。

②そのWhatには4つのレベル(案件、現職、キャリア、人生)がある。

③とにかくWhat(何が大事?どうなりたい?)からHow(そのために何ができる?)に落とす。

④上司は部下のその時の意識レベルに対応して、まずWhatを引き出し、Howに落とすことでやる気、能力、やり方を発揮させられる。

⑤部下にWhatを実現させる場として今の会社をとらえ直させ、会社の業績に落とし込む。

 

〇案件レベル

①この案件での「こだわり」:この案件で何が大事?

・この案件での基本方針

・この案件への態度やスタンスは?

②この案件の「完成イメージ」:この案件が最終的にどうなっていればいい?

・この案件於出来上がった姿は?

・どうなっていればこの案件が完了する?

③アクションプラン(具体的な行動)

・何ができる?

・何を始める?

・何が必要?

・いつ?どこで?

・誰に?何を?

 

〇現職レベル

①現職での「自分らしさ」:今の仕事で何が大事?

・今の仕事でのこだわり

・今の仕事で何が好き?嫌い?

・今の仕事でのやりがいは?

②現職での「ありたい姿」:今の仕事がどうなればいい?

・どんな社員になりたい?

・どんな会社になって欲しい?

・上司・部下・顧客とどんな関係を持ちたい?

・この会社で何がしたい?

・この会社で何を得たい?

③アクションプラン(具体的な行動)

・何ができる?

・何を始める?

・何が必要?

・いつ?どこで?

・誰に?何を?

 

〇キャリアレベル

①キャリアでの「自分らしさ」:自分のキャリアで何が大事

・キャリアでのこだわり、譲れないもの

・仕事で何が好き?何が嫌?

・仕事でのやりがいは?

②キャリアでの「ありたい姿」:どんなキャリアを持ちたい?

・最終的にどんな仕事がしたい?

・定年までにはどんな仕事をしていたい?

③アクションプラン(具体的な行動)

・何ができる?

・何を始める?

・何が必要?

・いつ?どこで?

・誰に?何を?

 

〇ライフレベル

①自分らしさ(価値観):自分にとって何が大事?

・感情的に譲れないもの、こだわり

・理屈抜きで大切なもの

・自分は何が好き?何が嫌?

・生きがいは?

②ありたい姿(ビジョン):本当はどうなればいい?

・どんな人生を送りたい?

・本当は何がしたい?

・本当は何が欲しい?

③アクションプラン(具体的な行動)

・何ができる?

・何を始める?

・何が必要?

・いつ?どこで?

・誰に?何を?

 

〇4つのレベルを進める順番

・コーチ:ライフ⇒キャリア⇒現職⇒案件

・上司:案件⇒現職⇒キャリア⇒ライフ

 

〇共有部分

 必ずしも現職レベルで、本人の望む自分らしさやありたい姿が100%実現するわけではない。会社が個人のやりたいように、すべて自由にさせていたら、会社としてのまとまりがなくなってしまい、組織が生産性のために集中した戦略や方針を立てることはできない。

⇒現職レベルで、今の仕事において「何が大事」「どうなればいい?」と考えているのかを基準にしながら、会社や上司の価値観やビジョンとの共有部分を見出してく(詳細は本書本文へ)。

 

 平本さんからビジネスコーチングを学んだことがある方だと、「あぁ、あれか!」と読みながら講義を思い出せる+さらに深堀して頭を整理できる内容です。この本は、自分なりに理解・整理して、パワポ化したいと思える一冊でした。 

コーチング・マジック

コーチング・マジック

 

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