MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

藤原先生、これからの働き方について教えてください(藤原和博)

『藤原先生、これからの働き方について教えてください』(藤原和博

 リクルート(フェロー)出身で杉並区立和田中学校長を務められた著者。 10年後も自分の仕事の仕方で通用するのか?どのように時代は変わり、働き方をどう変えていけばいいのか?100年時代を生きていくための「21正規の働き方」について、考える一冊です。私が、著者の講演を拝聴してから、今も何度も思い出し、考え続けている「100万人に1人の存在になる」ための発想法もまとめられています。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯日本人の時給には100倍の差

①「あなたの年収はいくらですか?」

②「あなたは年間何時間くらい働いていますか?」

③①÷②=1時間あたり付加価値(時給)

⇨真ん中は3,000円〜5,000円。80,000円(シニアレベルのコンサルタント)〜800円(アルバイト)まで100倍差。

⇨カギは「希少性」

 

◯100万分の1の希少性

 天才でない人が希少性を高めたければ、キャリアを3つ掛け算する。

・1/100×1/100×1/100=100万分の1

 

◯人生の基礎となる「新任(クレジット)」を形づくるための「三角形モデル」

・三角形の左下・・経済がどうなろうと食っていけるプロの仕事

⇨まず1万時間(20代の5〜10年)で左足の軸を固める。

・三角形の右下・・前者と掛け算すると相乗効果のある仕事

⇨次に、もう1万時間(30代の5〜10年)かけて右足の軸を固める。

(例)「お笑い×美容師」「ツアコン×ドッグセラピー」「経理×税理士資格」「販売×ネット通販ノウハウ」。著者の場合、リクルートで「営業とプレゼン」の練習に1万時間かけ、次に、1万時間かけてリクルート流マネジメントを身につけた。

・三角形の頂点

さらに、もう1時間(40代〜50代)かけて、できるだけ遠くへ踏み出し、三角形の頂点を作って「大三角形」を形づくる。

(例)著者の場合、40歳で独立し、47歳から民間校長を務め1万時間かけて教育改革に取り組んだ。

 

◯情報処理力よりも情報編集力

 状況が様々に異なり変化する、「正解」なき「成熟社会」では、自分の頭の中で知識・技術・経験の全てを組み合わせ、それぞれの状況に合わせて、自分も他社も納得できる「納得解」を導き出す「情報編集力」が求められる。

 

◯正解主義から修正主義へ

 とにかく動き始めてみて、周囲の反応を見る。人の意見をよく聞いたり、お客さんの声を集めたり、マーケットの動きをよく見て、どんどんどんどん修正していく。「とにかく正解を当てたいというマインド」を捨てる、「ミスしちゃいけない」という呪縛から自由になる。そうすると修正主義が身についていきます。この修正主義モードがイノベーションを生む場をつくる。

 

◯情報編集力を鍛える

クリティカルシンキング・・常識・前例を疑う

②イマジネーション・・自由に仮説をつくる

③①+②⇨いろいろな問いについて考える頭の体操を繰り返す

 

ブレインストーミングイノベーションを生むために

・ナナメの関係の人を巻き込むこと

・大切な2つの約束

①絶対に他の人から出た案をつぶさない

②最初はとにかくバカな案を出す

 

◯プレゼンと説明

・プレゼン・・相手の頭の中に関すること

・説明・・自分の頭の中に関すること

(例)「危ないですから駆け込み乗車はおやめください」・・職員事情の説明

⇨「もう次の列車が来ております」⇨「次の電車にすぐ乗れる=間に合う」・・乗客に通じるプレゼン

 

◯自分プレゼン2つのコツ

①自分のキャッチフレーズを使用する

②自分の名前にストーリーを添える

 

◯マイナスモードの自分プレゼンの3つのメリット

①相手の共感を呼ぶ

②話すことで自分自身も癒される

③部下(子供)とのコミュニケーションが良くなる

 

◯相手の世界観にある言葉で話す

ヒアリングして相手の世界観にある情報を徹底的に抽出・収集する

②①を編集し、そこに自分なりのプラスαを加味する

③②について、相手にわかりやすい言葉で、頭の中に像を結ぶように話す

 

PDCA⇨DADA

 仕事全体をスピーディーに進めるため、実行と改善のDADA経営を実践する(PとCを省略)。正解が出るまで100回の会議積み重ねるのはムダ。まずは小さく始めてしまってから、100回の修正を続ける。この姿勢こそ、市場に受け入れられる商品にスピーディーにたどり着く王道。

 

◯シンボルマネジメント

 象徴的な一点を徹底して叩くことで、全ての関係者の意識がたちどころに変わる。

 

 100万分の1にたどり着くための3つの要素。私の場合、今年から作成を始めた、「自分ノート」(自己分析や展望などのまとめ)の1ページ目にこの考え方と自己分析を記載しています。なかなか3つ目をつくるのが大変。多少のジャンプでは満足できないというか、「これでは100万分の1といってもしっくりこないな」という感じです。本書で記載されている発想方法やスキルの先に、自分なりに見出したい「100万分の1の存在」です。

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