『LIFE DESIGN』(ビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス)
「ライフデザイン」〜スタンフォード式最高の人生設計〜。店頭で表紙を見た印象としては、100年時代の中、どのような人生設計を描いていくのかという、グランドデザインについて書かれているのかなと思いました。しかし、いざ読んでみると、「人生のデザインが完成したら、難所を越えて、あとはうまくいく」という発想ではなく、「人生のデザインに終わりはない。人生とは永遠に築き続けるデザインの旅」というように、動きながらデザインし直し、プロトタイプ的にちょっとお試しして、また進んでいくというような繰り返しを柔軟にできるように、そんな考え方とコツを紹介した内容でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯デザイン思考のマインドセットとライフデザイン
①興味を持つ(好奇心)
②やってみる(行動主義)
③問題を別の視点でとらえ直す(視点の転換)
④人生はプロセスだと理解する(認識)
⑤助けを借りる(過激なコラボレーション)
◯どういう人生をデザインするのが理想的なのか
・①あなたの人間性、②あなたの考え方、③あなたの行動の3つがピタリと揃う人生(一貫性)
・デザイン思考では、問題解決と同じくらい問題発見も重視する。
・問題発見+問題解決=理想のライフデザイン
◯重力問題
・解決できようのない問題にいつまでもこだわらない。問題がどれだけ立派でも、適切な問題(あなた自身の問題)でなければ意味がない。
・重力問題には二種類ある。絶対に対処できない問題(重力そのものなど)と、実質的に対処できない問題(詩人の平均給与が低いことなど)
・対処不可能な問題は問題と呼ばない。それは状況であり、環境であり、現実だ。
◯ワーク・ライフ・バランスの4分野
・仕事があなたの残りの要素とどう絡み合っているかを理解しなければならない。
・①健康、②仕事、③遊び・楽しみ、④愛(家族・友人) の4つの円グラフのバランスは?
◯人生のコンパスを作る
・ライフデザインとは、永遠の疑問に対して、あなたなりの答えを見つけること
「私はなぜここにいるのか」
「私は何をしているのか」
「それがなぜ重要なのか」
「生きる目的は」
「人生は何のためにあるのか」
・コンパスを作るのに必要な部品は2つ「仕事観」と「人生観」
「仕事は何のためにある」
「なぜあなたは仕事をするのか」
「良い仕事とは何か」
「人生に意味を与えるものとは」
「人生に生きがいや価値を与えるものは」
「あなたの人生は、家族、地域社会、世界とどう関係しているか」
「お金、名声、目標達成は満足できる人生とどう関わっているか」
「経験、成長、充足感はあなたの人生にとってどれくらい重要か」
◯熱中できる道を探す
・人生に唯一の目的地はないので、できるのは目の前の手がかりに注目し、手元にある道具を使って最善の道を選ぶことだけ。手がかりは、「熱中」と「エネルギー」
・遊びの本質は、結果について絶えず気を揉んだりすることなく、目の前の活動に没頭し、楽しむこと。フロー状態の時はまさにそれが起きている。
・グッドタイム日誌
①行動記録(熱中している状況、エネルギーに満ち溢れている状況を記録する)
⇨「熱中度」と「エネルギー」で点数化する
②考察(行動記録からわかることを考察する)
⇨行動記録を振り返る視点(活動、環境、やりとり、モノ、人)
◯行き詰まりから抜け出す
・「優れたアイデアが多ければ多いほど、その中からより良いアイデアを選べる」「最初に思いついた解決策を選ばない」
・マインドマッピング
①テーマを選ぶ
②マインドマップを描く
③いくつかの単語をピックアップして混ぜ合わせ、コンセプトを導き出す
◯イカリ問題
・そこに居座り続け唯一の解決策にこだわりすぎると解決が難しい問題だが重力問題とは異なり解決は可能
・イカリ問題の本質とは、単に現在のやり方が間違っているということだけではない。その根本には実は恐怖がある。
・プロトタイプ(小さなテストを繰り返す)は不安を和らげ、面白疑問を想起し、あなたが起こそうとしている変化の成功の可能性について、データを与えてくれる。
・イカリ問題を抱えて身動きが取れなくなったら、ひとつの奇跡的なステップで巨大な問題を解決しようとするのではなく、様々な可能性を探り、あなたが起こそうとしている変化のプロトタイプ〜変化の安全なミニチュア版〜をいくつか試してみよう。
◯人生プランを描く
人生につまずいてしまう人々は、きちんとした人生設計さえ立てれば、あとは順風満帆に行くと思い込んでいる。適切な選択(唯一最善の正しい選択)さえすれば、未来の自分、行動、生き方の青写真が手に入ると。まるで、「ここをこの色で塗れば必ず美しい絵が完成する」という塗り絵みたいな人生観だが、現実の人生はむしろ抽象画に近い。絵はひとつでも、何通りもの解釈ができるものなのだ。
◯今後5年間の3通りの冒険プランを書き出す
①可能性を描く
・資源・・距離・時間・お金
・一貫性・・その人生があなたの人生観や仕事観と一致する度合い
・自信・・あなた自身がその人生を送れると思うか
・興奮度・・あなたにとってその人生はどれくらい望ましいか
②冒険プランの描き方
・図やグラフを使って5年間の時系列表を作る
・その人生の本質を表すような短いタイトルをつける
・ダッシュボードにゲージを書き込む(スケーリング)
・考えるポイント
場所(どこで暮らすことになるのか)、得られる経験や知識、その人生を選んだ場合の影響や結果、どういう人生が待っているか、あなたが属することになる役職・業界・会社。
◯プロトタイプを作る
・思考実験とは異なり、必ず物理的な実体験が必要。
①的確な疑問を掲げる
②実体験する
③自分自身の思い込みを暴く
④早めに失敗し、失敗を前進の糧にする
⑤未来にそっと近づいてみる
⑥自分自身や他者への共感を築く
・ライフデザイン・インタビュー(会話する)
「どういう経緯でその仕事をすることになったのか」
「どうやってその専門知識を手に入れたのか」
「実際のところどういう仕事なのか」
「その仕事の好きな点と嫌いな点は」
「1日はどういう感じで進むのか」
◯人生は「無限ゲーム」
・有限ゲーム:勝利するためにルールに従ってプレイするゲーム
・無限ゲーム:永遠にプレイし続けるためにルールをいじっていくゲーム
⇨ライフデザインは無限ゲーム。無限ゲームに敗者はいない。無限ゲームを常にプレイしていると覚えておけば、絶対に失敗し得ない。
「無限ゲーム」とはわかりやすい表現!「そうか、今取り組んでいる、コーチングやコンサルティングは、将来のためにプロトタイプ(小さな実験)をやっているのかもしれない」と、妙に肚落ちしました。常に、前進して、その都度、ライフデザインを画き直してみる。怖いから、ちょっと試しながらまた前進。そんな繰り返しだけど、コンパスがあるから、変なところにはたどり着かず、方向性への安心感はある。ライフデザインは私にとってそんな感じです。
LIFE DESIGN(ライフデザイン)――スタンフォード式 最高の人生設計
- 作者: ビルバーネット,デイヴエヴァンス,Bill Burnett,Dave Evans,千葉敏生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/09/07
- メディア: 単行本
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