『ゼロからのプレゼンテーション』(三谷宏治)
コンサル駆け出しの頃に他人のプレゼンテーションを真似した頃から現在までの成長ステップに合わせて、著者が心がけていらっしゃるエッセンスをまとめた一冊。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯コンサル人生最初の大舞台に向けて
・プレゼンを自撮りし、いかに下手か、どんなにつまらないかを知るところからスタート。
・まず優れたプレゼンビデオを何回も見て、言い回しを全て書き取って、全部真似た。冒頭の入り方、ページごとのセリフ、途中の間の取り方まで全て。それをひたすら覚えて練習した。
・自分のプレゼンは、A4の白紙に赤ペンでセリフを全部書き込み、ジョークも、自分の笑い声も、語尾の一つひとつもすべて。
◯プレゼン進化の3段階
①基本レベル:少人数向けプレゼンテーション
10枚20分。完結にわかりやすく。
②上級レベル:幹部相手の大プレゼンテーション
50枚90分。場をコントロール。
③達人レベル:誰でも、何人でも
言葉に頼らず印象的に。
◯基本レベルの資料
・言いたいことを書き下す:アウトライン機能
・1枚:1文:ワンスライド・ワンメッセージ(短く:1文30字以内)
・表現:色や動きはシンプルに(いずれも3種類で十分)
・全体:マップとインパクト(流れが変わる)
◯基本レベルのトーク
・全部暗記:全部書き下ろして丸暗記する。アンチョコ付き。
・基本姿勢:視線は前、手は斜め上にしてあまり動かさない。1枚2分。
・ポイントのみメモ
・つなぎだけメモ(中級)
◯上級レベルのトーク(場を支配する)
・聴衆はバラバラ⇨場の支配(向きを揃える)⇨期待コントロール(でも立場は違う)⇨つかみとグループワークで意見シェア・参加感アップ。
◯ここの壁を破るために
・まず問題から⇨みんな失敗する⇨正解と手法を伝授⇨もう一回問題に取り組むとできる!
◯スライド化を習慣にする
・すでにある強い習慣(例:メール)⇨長文をベタ打ちしない⇨長文ものはワードでアウトライン機能を使う⇨これがメールのスライド作りの練習になる
◯基本編
①聞いてわかるシンプルな資料
・色、アニメーション、トランジションは、「絞る」「統一する」
・資料を声に出して読んだ時、相手が聞いてわかること
・伝わりやすい文章の極意は「文が短い」こと。文章は1行で。フォントは18ポイント以上。
②トーク内容を書いて丸覚えする
・スライドは1枚2分
・伝えたいことができたら、まずは文章にして書き下す。全部書いて全部覚える。全部書き込む。
③ポイントだけメモする
・スライドで話すポイントだけを紙に書く
・大事な箇所を色付けするルールは、「原則1色、最大3色」「文章全体ではなく、単語か部分」
④流れを示す
・スライドのつなぎ言葉(7つ)
だから、しかし、また、さらに、つまり、もしくは、ところで
・コツはスライドを次に送る前からつなぎの言葉を始めること。前のスライドのノートに書き込んでおく。
・最初に全体像を示す。「その理由は3つあります・・・」
◯アニメーション(基本は3つ)
①テキストは、「ダウン」
②図形は、「フェード」
③各スライドでのまとめコメントは、「カーブ」
◯トランザクション(3〜4種類で十分)
①フェード:基本
②さざ波:若干変わるとき
③キューブ:途中や最後のまとめのスライド
④扉:話が大きく変わるとき
◯プレゼンテーションスライドの役割
報告資料が「本」だとすれば、プレゼンパックは、少なくとも「本の目次」や「要約」ではない。プレゼンパックは、「本の表紙や帯」であり、その結論。潜在的な読者を惹きつけ、手に取らせ、ある意思決定を引き出すためのもの。
◯トレードオフを明確に見せる
・戦略とは捨てること。大きなリターンを狙うということは、大きなリスクを背負うこと。ある方策を選んだということは、他の方策を捨てたこと。
・ピラミッド型の緻密な階層型の組み立てである必要はない。重要なのは、インパクトあるスライドを中核に組み立てるということ。
「1個の数字」
「1枚のグラフ」
「1行のコメント」
◯スタンド・アローン
・プレゼンでは、絶対座らない。立っていることは義務ではなく権利。立っている人間は、自動的に議論のファシリテーターになれる。
・舞台に役者は一人。喋る前から始まっている。あなたの姿勢は、観客に向かって多くのメッセージを発している。確信、不安、集中、余裕・・。
◯場の支配
①まずは社長との雑談から
・今朝の日経新聞ネタでもいいかもしれないが、どこでも役立つのが「今日の受付ネタ」。クライアント先に早めに行って30分。じっと受付(やロビー)周辺を観察してみる。
②バラバラの期待を整理する
・現実より期待を変えるしかない。
・「あなたの立場を教えてください」「次のうち、どれに一番近いでしょうか」
・最初の挙手と宣言。これだけでも「変な不満」はグッと減る。全員の満足なんて追いかけない。そう割り切って伝える方が、全体の満足感は上がる。
◯質疑応答
・質問自体が体をなしていないのに、それになぜただ応えようとするのか。質問者も意図があるならそれをなぜはっきり言わないのか。意図と違う答えが返ってきたら、なぜそこを突っ込まないのか。
・質疑応答は、何のために存在するのか。それは、「発展的議論」のステップ。
当たり前ですが、著者にもそんな若かりし駆け出し時代があったのですねと、ちょっと微笑ましくもなってしまいました。だから自分も今からでも頑張れる。いきなりジャンプアップするものでもなく、工夫と努力の積み重ね。時間も投入しなければいけない領域。思ったことをいかに伝えられるか。1対1のコミュニケーションとは違った難しさがあるがゆえに実力差は結果に直結。説明力、構成力、コンテンツ作成能力、センス、質疑対応力・・そう考えると、コミュニケーションの総合格闘技っぽいですね。
ゼロからのプレゼンテーション ―「ものまね」から達人までの全ステップ
- 作者: 三谷宏治
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2017/09/13
- メディア: 単行本
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