MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

養生訓(貝原益軒、現代語訳:城島明彦)

『養生訓』(貝原益軒、現代語訳:城島明彦

 1713年に刊行され300年以上読み継がれている国民的健康書。著者の出版時の年齢が84歳(徳川家歴代将軍の平均寿命が50歳)、しかも虫歯や抜けたが1本もないことが人気の秘密となっている。日常で実践できることが山盛りの内容です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯内欲をこらえる

 「養生の道」の基本は、大きくいうと、内欲をこらえること。内欲をこらえる上でとても大事なことは、飲食をほどほどにし、過食をしないようにすること。

 

◯養生術の第一は心気を養うこと

 「心気」(目に見えない心臓のエネルギー)を養う。それが「養生の道」の第一歩。心を温和にし、気を穏やかに保ち、怒りは抑え、憂いたり懸念したりする種が少なくなるように努力し、心に苦痛を与えず、気を損なわないようにする。これが心気を養う要道。

 

◯睡眠時間は短く

 「三欲を忍ぶ」。三欲とは、飲食欲・色欲・睡眠欲。飲食をほどほどにし、色欲を慎んで、睡眠時間を短くするのが養生の道。睡眠時間を短くすると無病になる理由は、元気が体内をめぐりやすくなるから。夜が更けてから床について眠るのは問題ないが、昼日中に眠るのは一番害がある。

 

◯起床したらやるべきこと

 朝夕の食後に長く座っていてはいけない。横になって眠るのもいけない。長く座ったり横になったりすると、気が塞がって病気になり、相違ことを繰り返していると短命になる。毎食後には散歩をすること。三百歩は必要だ。

 

◯呼吸の仕方(『千金翼方』)

 いつも鼻から清い空気を吸う入れ、口から濁った空気を吐き出す。入る量を多くし、出る量は少なくする。出すときは、口を細めに開いて少し吐くようにすること。

 

◯緩やかに吸う

 普段の呼吸の要領は、ゆるやかに空気を吸って、丹田まで深く入るようにする。急いでやってはいけない。

 

◯多食を避ける心がけ

 ご飯をいっぱい食べてはいけない。いつも食べる「適量」を決めておくこと。ご飯をいっぱい食べると、胃腸に大きな負担をかけ、元気が奪われる。同じ食べ過ぎでも、ご飯の食べすぎは、他の食べ物に比べて、消化に時間がかかり、害が大きい。

 

◯調味料の役割

 聖人(孔子)は、醤(あえしお)がないと食事をなさらなかった。それが「食養生の道」というもの。醤とは、醤油のことではなく、料理に加える調味料のこと。今の時代でいうなら、塩、酒、醤油、酢、蓼、生姜、山葵、胡椒、芥子、山椒など、それぞれの料理に合う調味料がある。それらを加味すると、料理の毒を制することができる。ただ味をよくするだけではない。

 

◯瓜を食べる時期

 瓜は、涼しい風が吹く日とか、秋の月が冴えわたる肌寒い夜に食べてはいけない。瓜の食べどきは猛暑の頃である。

 

◯火の毒を除去する

 焼き餅とか焼肉は、一度炙ったものを熱湯に浸して火の毒を取り除いてから食べること。そうしないと、唾液の出が悪くなったり、喉をやられたりする。

 

◯豆腐の食べ方

 豆腐には毒があり、「気」を塞ぐ。ただし、新しい豆腐を煮て、おいしさが失われないうちに早く食器に盛り、大根おろしを加えて食べると害はない。

 

◯果物は空腹時には食べない

 空腹時に生の果物を食べてはいけない。菓子をたくさん食べるのも良くない。胃や腸の陽気を奪うからである。

 

◯酒と一緒に飲食してはいけないもの

 酒を飲むときは甘いものを避ける。また飲酒後は辛いものを避ける。筋肉や骨の関節が緩んでしまうからである。飲食後に焼酎を飲んではいけない。あるいは、同時に飲むと、筋肉や骨の関節が緩んで悶え苦しむ。

 

◯東枕で寝る

 寝るときは必ず東枕にして眠り、生気(活力)を受けるようにする。北枕で寝て死気を受けてはいけない。

 

◯横向きに寝ること

 夜、眠るときは、体を横向きにし、脇が下になるように寝ること。仰向きに寝てはいけない。仰向けに寝ると、気が塞がって、うなされることがあるからだ。胸の上に手を置くのも良くない。寝入ってから気がふさがり、うなされやすくなる。この二つを忘れないこと。

 

◯湿気は恐ろしい

 居間や寝室は、いつでも風・寒・暑・湿の邪気を防ぐ必要がある。風・寒・暑は、人体を傷つけるのが激しくて早い。一方、湿気は人体を傷めつけるのが遅くて深い、湿気は人の深いところを傷めつけるので、なかなか治らない。湿気があるところは早く遠ざかることだ。

 

 などなど、上記はほんの一部。耳の痛い訓話が多数。あぁ、自制しないとなぁと思ってしまう一冊でした。自然体ではなかなか自分を戒めて生きるのは難しいもの。先人の教えはきっと科学的な知識がなくても役立つものだと信じながら、気になるところを自分に取り込んでいこうと思います。まずは、とっつきやすい呼吸からかな。

f:id:mbabooks:20170920231512j:plain