『やる気をなくす悪魔の言葉VSやる気を起こす魔法の言葉』(岩崎由純)
ペップトーク(短くて分かりやすくて、相手の心に響き、自信や勇気を持たせ、やる気を引き出す究極のショートスピーチ)の根底にある「心」について深く掘り下げ、日常生活の中で身近に活用できる具体的な言葉に迫る一冊。「やっちゃダメ」「これをしてはいけない」ではなく、なるべく「やってほしいこと」を「ポジティブな表現で伝える」。「廊下を走るな」ではなく、「廊下は静かに歩きましょう」という表現に切り替えるような、言葉の言い換えを学ぶのに適しています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯成功をイメージできる言葉への変換
実行してほしいことを、成功をイメージできる肯定的な表現で伝える。
・ミスするな⇨丁寧にやろう、思い切っていけ、堂々とやろう
・(失敗を)恐るな⇨自信を持ってやろう、自分を信じて、成功を信じよう
・心配するな⇨安心しろ、自信を持て、大丈夫だ、必ずできる
・負けるな⇨絶対勝てる、絶対勝とう、全力でぶつかろう
・逃げるな⇨前へ進め、勝利を信じろ、挑戦しよう
・遅れるな⇨先手を取れ、先を読め、攻めろ
・諦めるな⇨信じ続けよう、最後までやり抜け
◯行動意欲が湧く言葉への変換
発想や表現の着眼点を変える。
・なんでやらないんだ⇨仕事の目的(目標・期限)は分かっているか
・なんでできないんだ⇨どうしたらできるようになると思う?
・そんなこともできないのか⇨何かわからないことがあるのか
・いつになったらできるようになるんだ⇨目標に定めて取り組もう
・早くしろ⇨期限に間に合わせよう、早く処理できるように努力しよう
◯積極的になる言葉への転換
次に何をなすべきかを分かりやすく伝える。
・◯◯しなさい⇨◯◯はもう終わっているかな
・何やってんだ⇨何がしたいの?なんのためにやろうとしているの
・勝手にしろ⇨ルールは守ろう
・余計なことをするんじゃない⇨なんのためにやろうとしたの?
◯挑戦意欲がみなぎる言葉への変換
挑戦する姿勢や改善しようとする態度を褒める
・何をやてもダメだな⇨最後までやり遂げてみよう
・失敗するな⇨やってみよう、チャレンジしよう
・ミスばかりだな⇨失敗から何を学んだ?
・できるわけがない⇨やればできる、努力は報われる
・意味がない⇨努力そのものに意味がある、何かの役に立つ
◯自信を取り戻す言葉への変換
Iメッセージで伝える。
・なんでそんなことをするんだ⇨君ならもっと思慮深く行動できると思っている
・何回同じことを言わせるんだ⇨一つひとつ確実に身につけてほしいと思っている
・いつになったらできるようになるんだ⇨早く一人前になってほしいと思っている
◯好奇心を育む言葉への変換
Whyを使わず、How,Whatを活用する
・やめろ、やめなさい⇨やってみよう、それ何?私にも教えて。
・どうせ無理⇨やってみよう、挑戦してみよう
・時間の無駄⇨きっと役に立つ、無駄なことなんてない
・当たり前だろう⇨調べてみよう
・ダメ⇨どうしてそれをやりたいの?
・馬鹿なこと言ってんじゃない⇨もっと聞かせて
◯思考力を育む言葉への変換
相手の話を最後まで聞き、思考を促す質問を投げかける
・◯◯しろ⇨次に何をすべきか自分で考えてみよう
・できるわけない⇨どうしたらできると思う?
・なめてんじゃない⇨ちゃんと調べたかな
・何考えてんだ⇨もっとじっくり考えてみよう
・ろくな企画がないな⇨視点を変えてみよう
◯プライドを磨く言葉への変換
さらに上を目指すように期待の言葉をかける。
・君には才能がない⇨君にはもっと能力があるはずだ
・これでも◯◯したつもりか⇨君ならもっとうまくやれるはずだ
・だからみんなに嫌われるんだ⇨こうすればもっとみんなから評価されるはずだ
・恥ずかしいと思わないのか⇨恥じることは何もないよ
◯発言意欲を活性化する言葉への変換
自分の考えを伝えることより相手に話をさせ、聞くことを重視する
・言い訳ばかりしてるんじゃない⇨ちゃんと説明してくれるか
・偉そうな口をきくな⇨自信を持ってきちんと自分の意見を述べていいんだよ
・くだらない⇨アイデアも大切だけど、それを説明できることはもっと大切だよ
・そんな話は聞きたくない⇨ミスやクレームの報告こそ大切なんだ
・黙ってろ⇨後でゆっくり話そう
・なんで言わないんだ⇨ちゃんと報告すれば大丈夫
・ちゃんと話を聞いてたのか⇨自分の意見を述べる前に人の意見を聞くことが大切だよ
◯信頼・信用を得る言葉への変換
相手の置かれている状況や立場を理解し、受け入れる。
・失望した⇨期待しているよ、期待に応えてくれると信じているよ
・そんな話は聞いていない⇨私の聞き間違いかな、もう一度話して
・忙しいんだ⇨改めて時間を取ろう
・どれだけ苦労したと思っているんだ⇨君のためなら時間は惜しまないよ
他にも多数の言葉の使い分けがあり、本文には解説がなされています。自分にしっくりくるもの、こないもの。自分の言葉で言い換えられるように、自分用の言葉の対比表を作ってみるのもおもしろいかなと思いました。NGワードと自分が意識したい言葉。最初は頭で考えて対応しないといけないかもしれないけれど、繰り返していれば当たり前に身につくはず。コミュニケーションの問題は、毎日のことだから、「いい習慣」を身に付けたい。今からでも遅くはない。