MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ジェダイの哲学(ジャン=クー・ヤーガ)

ジェダイの哲学』(ジャン=クー・ヤーガ)

 それまで登場人物たちのセリフを通して断片的にしか見えていなかったジェダイの教えは、1999年に公開された『エピソード1 ファントム・メナス』に始まる新3部作以降、徐々に一つの体系化された思想としての一面を覗かせる。旧3部作ではルークの成長を通して「慈悲」「愛」「許し」が語られたの対し、新3部作では「恐れ」「執着」「欲望」などがアナキンの転落を通して語られた。『スター・ウォーズ』が単純な光対闇、善対悪という構図ではなく、誰もが内面に持つ慈悲と恐れに対してどうやって折り合いをつけて生きていくのか?という、身近なテーマを土台にした物語だったことを示していた。。。本書はこうした『スター・ウォーズ』の心理面に着目した一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯フォース

・フォースには2つの側面がある。①リビング・フォース(今に集中することで繋がることのエネルギー)、②コズミック・フォース(あらゆるものを結びつけるエネルギー)。

・フォースの声に耳を傾け、己の使命をしっかりと認識した者の方がスムーズに願いは実現していくであろう。

 

◯思考の現実化

・自分の発する想念には注意を払う必要がある。純粋な想いは現実化しやすい。思わぬ形で自分に跳ね返ってくることがある。

・心底幸せだと感じれば、全ての景色は色鮮やかで生き生きと見える。やることなすことがうまくいき、君を傷つける人など存在しない。逆に、人生に絶望し、不幸だと感じていれば、世界は冷たく、無機質に感じられるだろう。何をやってもうまくいかず、全ては世の中のせいになる。

・君が与えた喜びが、君自身に喜びをもたらすように、君が抱いた恐れは現実の恐怖となって君の前に現れるだろう。マスター・ルーク・スカイウォーカージェダイの訓練中に自分の恐怖と対峙したことがあった。

 

◯想念を制御せよ

・君も無意識のうちに出している想念がたくさんあるはずだ。これらに気づき、制御できるようになれば、今の自分に何が起きているかをより深く理解できるようになるだろう。現実に対処し続ける人生はこれまでだ。制御だ、制御。制御することを学ぶんだ。

 

◯さまざまな現実

・現実というのは1つではない。人にはそれぞれの現実が存在する。

・あることについて、誰かが「そんなのはウソだ。事実ではない」と否定したとしても、君自身が100%信じるに値する情報だったとしたら、それは君にとって揺るぎない現実なのだ。

 

◯何者になるか

・受け入れる現実によって、人はいかようにも変われる。さまざまな立場になることで、さまざまな視点を得ることができる。この繰り返しで、人は真の自分を見つけていくのだよ。

 

◯失うことへの恐れ

・多くを求めすぎてはいかん。何事も足るを知ることが大切だ。

・誰しも欲望を持っているのは確かだが、そのような感情に溺れないように気をつけることだ。欲望は多くの苦しみを生む種だからな。持たざる者は恐れを知らないが、一度でも持つと失う恐れを知る。この単純な事実は、どんなに清い心を持った聖人にも、無垢な心を持った少年にも当てはまるものだ。残念ながら、ジェダイにもな。

 

◯恐れ

・恐れることは恥ずかしいことじゃない。人は誰でも恐れる。その感情を否定せず、認めてあげるんだ。そうすれば、恐れは解放される。

・危険なのは、恐れを溜め込むことだ。恐れはダークサイドへと通じる。恐れは怒りへ、怒りは憎しみへ、憎しみは苦しみへの道となる。

 

◯ダークサイドの性質

・フォースは大きく2つの性質に分けられるんだ。ひとつは、愛、献身、慈悲といったポジティブな性質のライトサイド。もうひとつが、恐れ、怒り、攻撃性といった、ネガティブな性質のダークサイドだ。

 

◯戦いは最終手段

ジェダイにとって戦いは最終手段だ。やむを得ず戦わなければいけないときは、勝利への執着を手放せ。全てをフォースに委ねるんだ。己の意識は目的への方向付けだけに使うがいい。

・勝利への執着は恐れからくる。負けたらひどい目にあう。相手よりも劣っていることを思い知らされる。もしかしたら、命を絶たれる。この「やるか、やられるか」という強烈な恐れを乗り越えた若者は、当然、大きな報酬が得られる。勝利の快感だ。だが、恐れを原動力とした戦いはシスのやり方だ。

 

◯光と闇

・すべてのものには二極が存在する。例えば、プラスとマイナス、右と左、自と他、善と悪、そして光と闇などだ。これらはみな、コインの表と裏のように、片方の性質のみでは存在し得ない。必ず対極の性質を持ち合わせている。どんなに探しても、この相対的な世界に無極を見つけることはできない。それがこの世界の真実だ。

・光があるところには、必ず影ができるだろう?光で影を打ち消すことができるだろうか?どんなに光を強くしても、影が消えることは決してない。フォースのライトサイドとダークサイドもそんな関係といえよう。

 

◯自由と秩序

・この相対的な世界を生きながら、フォースと一体になるには、我々自身も限りなく無極であることに近づかなければならない。「厳しいが同時に優しい」「繊細だがだ大雑把」「不幸だが幸せ」。正反対だと思われるさまざまな二極との折り合いをつける必要がある。そのために必要なのはバランスだ。

・バランスは、変化し続けるこの世界のあらゆることを受容し、柔軟に適応しなければ保つことができない。極端にどちらか一方に身を置き続ければ必ず歪が生まれてくる。

 

◯正義と悪

・正義は誰にでもある。おそらく世の中のほとんどの争いごとは、人それぞれが「自分に正義がある」と思っているから起こっているといっても過言ではない。

・しかし問題は、「自分に正義があるのだから相手は悪である」という二極的な考え方だ。それは人と人を分離し、極と極に遠ざけるエネルーギーだ。そうなれば、プラスとマイナス、光と闇のように、双方は決して愛入れなくなってしまう。

 

 なかなか興味深い内容です。なんとなく映画を見て思っていたことが言語化されており、はっとさせられます。この映画がヒットするのは、ビジュアル面のインパクトや物語の面白さだけでなく、こうした人の心をぐっとつかまえているからなのかと、認識を新たにした一冊でした。

スター・ウォーズ ジェダイの哲学 :フォースの導きで運命を全うせよ

スター・ウォーズ ジェダイの哲学 :フォースの導きで運命を全うせよ

 

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