MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

コトラーのマーケティング戦略がイチからわかる本(現代ビジネス兵法研究会) 

コトラーマーケティング戦略がイチからわかる本』(現代ビジネス兵法研究会)<2回目>

 

 MBA系の再読を進めていこうと思って最初に読んだのが本書。「マーケティングを初めて学ぶんですけど、何から呼んだらいいですか?」というご質問をいただいたときに、お勧めしています。内容は、マーケティングの神様、フィリップ・コトラー氏のマーケティング戦略(主にSTPと4P)のエッセンスがまとまった地図的存在。本書で全体像を掴んでから、次の1冊を探すという使い方ができます。マーケティングはとても広い領域なので、読むべき本がたくさんありすぎて大変・・・やがて読まなくなるという流れがあるので、まずは全体像を押さえてから、関わりのある分野や関心の高い分野を読み進めるのが良いのではないでしょうか。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯市場細分化レベル

①セグメント・マーケティング

②ニッチ・マーケティング

③地域マーケティング

④個別マーケティング

 

◯市場細分化変数の例

①消費者市場細分化変数(例)

1)地理的変数

・地域、都市または都市部(人)、人口密度、気候

2)デモグラフィックス変数

・年齢、世帯規模、家族ライフサイクル、性別、所得、教育水準、宗教、人種、世代、国籍、社会階層

3)サイコグラフィックス変数

・ライフスタイル、パーソナリティ

4)行動上の変数

・使用機会、ベネフィット、ユーザーの状態、使用割合、ロイヤルティ、購買準備段階、製品に対する態度

 

②ビジネス市場細分化変数の例

1)デモグラフィックス変数

・業種、企業規模、所在地

2)オペレーティング変数

・テクノロジー、ユーザーの状態、顧客の能力

3)購買アプローチの変数

・購買部門を持つ組織、社内の権力構造、現在のリレーションシップの気質、一般的な購入方針、購入基準

4)状況的要因の変数

・緊急性、特定のアプリケーション、注文の数量

5)組織パーソナリティの変数

・買い手と売り手の類似性、リスクに対する態度、ロイヤルティ

 

◯標的市場の選び方

①市場の全体的魅力

②自社の目的・資源

・標的市場にどうアプローチするか

1)単一セグメントへの集中

2)選択的専門化

3)製品専門化

4)市場専門化

5)市場のフルカバレッジ

 

◯差別化のポイント

①製品による差別化

・形態、特徴、性質・品質、適合性、耐久性、信頼性、修理可能性、スタイル、デザイン

②サービスによる差別化

・注文の容易さ、配達、取り付け、顧客トレーニング、顧客コンサルティング、メンテナンスと修理、多様なサービス

③スタッフによる差別化

・コンピタンス、礼儀正しさ、安心感、信頼性、迅速な対応、コミュニケーション

④チャネルによる差別化

・流通チャネルのカバレッジ、専門技術・専門知識、パフォーマンスのデザイン

⑤イメージによる差別化

・ロゴ、メディア、イベント

 

◯差異のプロモーション

・重要性、独自性、優越性、先駆性、許容性、収益性

 

◯製品ライフサイクル

・導入期→成長期→成熟期→衰退期

 

◯製品ミックス

・幅(製品ラインの数)

・長さ(製品ミックス内のアイテム数)

・深さ(提供されるバリアント(変数)の数)

・整合性(様々な製品ライン間にどれだけ密接な関わりがあるか)

 

◯ブランドにおける6つの意味

①属性、②ベネフィット、③価値、④文化、⑤パーソナリティ、⑥ユーザー

 

◯ブランド構築の戦略

ブランディングの決定

②ブランド・スポンサーの決定

③ブランド名の決定

④ブランド戦略の決定

⑤ブランド・リポジショニングの決定

 

◯新製品開発のプロセス

①アイデアの創出

②アイデアのスクリーニング

③コンセプトの開発・テスト

マーケティング戦略の立案

⑤事業の評価・分析

⑥新製品の開発

⑦市場テスト

⑧商品化

 

◯製品価格を設定する6つのステップ

①価格設定目的の選択

②需要の判断

③コストの評価

④競合製品のコスト、価格、オファーの分析

⑤価格設定方法の選択

⑥最終価格の選択

 

◯チャネルを設計する4つのステップ

①顧客が望むサービス水準の分析

②目的の設定と制約条件

③主なチャネル候補の決定

④主要候補の評価

 

◯チャネル候補の決定

①仲介業者のタイプ

・マーチャント(卸売業者、小売業者)

・エージェント(代理業者)

ファシリテーター(自社管理)

②必要な仲介業者の数

・排他的流通:仲介業者の数を極力限定する

・選択的流通:2〜3社の仲介業者に限定する

・開放的流通:できるだけ多くの業者に開放する

③チャネル・メンバーの条件と責任

・価格政策、販売条件、テリトリー権

 

◯コミュニケーションに必要な8つの要素

①標準的視聴者の明確化

②コミュニケーションの目的の決定

③メッセージの設計

④コミュニケーション・チャネルの選択

⑤コミュニケーション予算の決定

⑥コミュニケーション・ミックスの決定

⑦コミュニケーションの効果測定

⑧統合型マーケティング・コミュニケーション・プロセスの管理

 

 これらを一つひとつ学んで理解していこうと思うと、かなりの時間が必要。実務でマーケティングに携わっていなくても、売上に繋がる部分なので、「全く知りません」では困ってしまうのも現実。そんな中で、マーケティング迷子にならないように、まずは全体像を見て、今どこの話をしているのか意識できるようにしていきたいものです。マーケティングを最初に学んだ頃の「先が見えず大変だったなぁ」という気持ちが蘇ってきました。

なるほど!  「コトラーのマーケティング戦略」がイチからわかる本

なるほど! 「コトラーのマーケティング戦略」がイチからわかる本

 

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