MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

フセンで考えるとうまくいく(平本あきお)

『フセンで考えるとうまくいく』(平本あきお)<2回目>

 最近、コーチングで出番の多いフセン。頭の中を見える化するのに手軽に取り組めて、効果も高い。気楽に書けることと、簡単に並び替えられることが大きなメリット。あらためて、フセンの使い方を確認してみようと思い、再読しました。

 著者は、私もコーチングを学ばせていただいた、平本あきおさんです。オリンピック金メダリストやメジャーリーガーのコーチでもある著者。そんな著者が実際にコーチングで使っているフセン術が、①整理、②発見、③協力、④計画、⑤行動の5つの観点でまとめられています。本書を読んでいるだけで、コーチングされているような感覚になります。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯整理編(現状を整理し、やるべきことに優先順をつける)

・頭と心の中を書き出して、悩みやモヤモヤを整理する。

①まず、頭に浮かんだことを洗いざらいフセンに書いて、悩みやモヤモヤを脳の外側に出す。

②すべてを付箋に書き出して「見える化」できたら、その次はフセンを動かして頭と心の中を整理していく。

 

・メリットとデメリットを洗い出して決断する。

①まず、◯◯をした場合のメリット・デメリットをそれぞれフセンに書き出す。

②そして、フセンが大量に貼られた2枚の紙を見比べます。

③さらに、メリット・デメリットの中から、特に気になるフセンを3つずつはがして別の紙に貼り直す。

 

・好きで得意なことを知り、そこで力を発揮する。

①まず初めに、今やっている業務内容をすべてフセンに書き出す。

②次に紙を1枚用意する。そして、好き/嫌い×得意/苦手シート(X軸・Y軸)を作る。

③そして、書き出したフセンを1枚ずつ見ながら、その内容が4つのどの枠に入るか考えながら貼っていく。

④最後にマップを見ながら、自分に問いかける。

「自分が好き・得意だけど周りは嫌い・苦手でこちらから率先して手伝えることはないか?」「苦手・嫌いの枠にあるフセンから周りの人に協力してもらえそうなことは?」

 

・今やるべきことを明確にする

①自分が気になっていることをフセンに洗いざらい書き出す

②紙を1枚用意して、そこに「やらない」「任せる」「先送り」の3つの枠をつくる

③書き出したフセンを1枚ずつ見ながら、「やらない」から順に貼っていく

④最後に残ったものが、あなたが今、「自分でやる」ものとなるが、さらに細分化して書き出して③を行い、効果を高める

 

・未来からイメージしてやることの優先順を決める

①フセンに「やらなきゃ」「やりたい」を洗いざらい書き出す。

②紙を1枚用意して、現在→未来に向かう矢印を書く。

③もうこれ以上思い浮かばないと思ったら、シートにフセンを貼っていく。

 重要なものほど中心のライン上に、優先順位の低いものは紙の両脇に、時間軸の中で直近なものほど手前に、未来ほど奥に書く。

 

◯発見編(好き嫌いなどから、自分の本当の想いを知る)

・好き嫌いを書き出して感情をハッキリさせる

①2色のフセンを用意する(1色は「好き」を書き出す、もう1色は「嫌い」を書き出す)

②日頃の不平不満、ダメ出し・・など、最初は嫌いから書き出して、紙にどんどん貼っていく。

③好き嫌いを挙げ終わったら、それらを読み直し、同じ系統のものを集めて貼り直してみる。

④「私の好きなことベスト3、嫌いなことワースト3」のフセンをピックアップする。

 

・過去を思い出して、自分の価値観と向き合う

①「本当に楽しかったな」と何度も思い出してしまうシーンをフセンに書き出す。

②その場面を思い出しながら、自分がどんな気持ちになっているかを味わい、その何が良かったのか、フセンに書き出す。

③自分にとって何が大事かをフセンに書く。

④「すごく悔しかった思い出」や「すごく悲しかった思い出」も人の価値観に大きな影響を与えているので、別の色のフセンに書き出す。

⑤楽しかった/悔しかったをフセンに書き出したら、自分の気持ちが特に大きく揺さぶられるものを3〜5つほどはがして、別の紙に貼る。

 

・憧れの人、苦手な人から自分の価値観を導き出す。

①憧れの人からフセンに書き出す。

②フセンを見ながら、今度はさらに「なぜその人、その職業に憧れるのか」という理由を書き出す。

③「憧れの人」が終わったら、同様に今度は、「なりたくない人」をフセンに書き出し、フセンを見ながら「なぜその人になりたくないのか」の理由も書き出す。

④「憧れの人」と「ああはなりたくない人」のフセンを見比べながら、自分が「どういう人間でありたいか」を感じてみる。

 

・3週間後の死を想定して、本当に大切なことに気づく

①「何をやらないと悔いが残るのか」を思いつくままにフセンに書き出す。

②ひと通り書き出したら、3週間21日中、どんなスケジューリングで行うとベストかを考える。

③作成した「3週間後の死」のスケジュールを見ながら、これから5つのことを考えていく。

1)今すぐできることはないか?

2)将来の夢としてできることはないか?

3)形や規模を変えて実現できることはないか?

4)自分にとって本当に大事なものは何か?

5)自分がないがしろにしていることは何か?

 

・すべての制約をはずして、本当にやりたいことに気づく

①なんの制約もなかったら、魔法の杖があったら、何をしたいか?をフセンに書き出す。

②書き出したフセンを直感で、4つのカテゴリーに分けて貼っていく。

③これはぜひやりたいと感じるフセンは、座標の中心点に近いところに貼っていく。

④フセンを貼り終えたら、最後に四隅の枠にカテゴリー名を記入する。

⑤完成したシートを見返す。

 

◯協力編(相手の気持ちを知った上で自分の想いを伝え、やりたいことを応援・虚力してもらえるフセン術)

・心の距離を想像して、人間関係を修正する。

① フセンに登場人物を書き出す。1枚のフセンに1人の名前を書いていく

②フセンを動かしていく。「心の距離」や「心の向き」を思い出しんがら、付箋の位置を変えていく。

③なんの制約もなかったら、どんな配置になったらいいか?をイメージしていく。

④自分を含めたそれぞれの人について、「他の誰もが認める、その人の良いところ」をフセンに書き出す。

⑤フセンに書き出した良いところを、ことあるごとに伝えていく。

 

・相手の気持ちになりきって、想いが重なる部分を探る

①「自分はなぜそれをやりたいのか?」の理由をフセンに大量に書き出す。

②◯◯の立場で、「なぜ△△なのか?」という理由を想像しながら、◯◯の声をフセンに書き出す。

③読み直して自分との共有ゾーンを探す

④お互いの共有ゾーン見つけたらそれを相手に伝える。

 

・自分の言葉の傾向を見極め、伝わる言い方に変える

①自分が相手に思いや要求を伝えたいときにどんな言い方をしてきたか、たくさん思い出してフセンに書き出す。

②書き出したフセンを見ながら、自分は何タイプの傾向があるかを見ていく。

③その上で、自分の思いに向き合う。

④相手が最近頑張っているところ、相手が最近自分にしてくれたことへの感謝をフセンに書き出す。

⑤③④のフセンを踏まえて、自分は相手に何を伝えたいのかを書き出す。

 

◯計画編(想いを行動に落とし込み、成功/失敗のポイントを押さえるフセン術)

・ありたい姿を描いて、想いを行動に落とし込む

①自分らしさ/ありたい姿をフセンに書き出す。

②自分らしさ/ありたい姿を満たす出来事についてフセンに書き出す。

③「資源」をフセンに書き出す。

④「行動」をフセンに書き出す。

⑤「結果」をフセンに書き出す。

⑥できあがったフセンを見直す。しっくりくるようにフセンを動かし、「ちょっと違うかも」と思ったフセンは、大胆に書き直す。

 

・夢の実現をすごろくにして、ゴールへの道を明確にする

①大きな紙を用意する。最初に「ゴールの姿」をフセンに書き出して貼る。

②「スタート」のフセンをつくって、紙のどこかに貼る。そして「スタート」と「ゴール」をつなぐ行動や出来事をフセンに書き出す。

③ひと通り書き出せたと思ったら、すごろくの形になるようにフセンを並べてみる。

④フセンを並べ終わったら、行程を想像しながら、自分の頭と心を使ってすごろくをやってみる。

 

・カレンダーをつくって、スケジュールを確実にする

①大きな紙を用意します。1ヶ月カレンダーのレイアウトをイメージして、日付を書いたフセンを貼ります。

②プロジェクトの作業を洗い出し、カレンダーに貼る。これで完成。

③各案件にスケジュールの変更が生じた場合は、フセンを動かして調整します。

 

・過去の成功と失敗を分析して、自分の成功法則を編み出す。

①成功させたいと思うことをフセンに1つ書き出し、「案件」の枠にはる。

②成功例をフセンに1つ書き出す。

③「周りからの影響」と「自分の要因」をどんどんフセンに書き出して貼っていく。

④同じように、今度は◯◯と似た経験の中から失敗例を挙げる。

⑤失敗例の「周りからの影響」と「自分の要因」をフセンに書き出して貼っていく。

⑥成功例、失敗例の各要因の中から、特に自分に影響を与えていると思うフセンをそれぞれ3〜4つピックアップして見ていく。

⑦この気づきをもとに、最後に「自分の成功法則」を何箇条かフセンに書き出す。

 

・人の行動を思い起こし、すぐにできることを見つける

①「案件」の欄に、成功させたいことを1つ記入する。

②「うまくやっている人」「うまくやっていない人」をそれぞれ思い浮かべてフセンに書き出す。

③「うまくやっている人」から考えていく。

④「うまくやっていない人」を考えていく。

⑤「うまくやっている人」の「どういう点でうまくやっている?」で書きだしたフセンの中から「これはまだやっていなかった」と思うものを剥がして、「自分にない点」の欄に貼っていく。

⑥「自分にない点」の欄に移動させたフセン農地、「真似できそうなこと」は何があるかを考える。

⑦今度は「うまくやっていない人」の「どういう点でうまくやっていないの?」で書きだしたフセンの中から、「自分もやっている」と思うものを「自分にある点」の欄に移動させる。

⑧「自分にある点」の欄に移動させたフセンのうち、「やめたほうがいいこと」をさらに移動させる。

 

◯行動編(頭と心を整理して、前進できるためのフセン術)

・自分でできる領域を広げ、コントロール感を増す

①達成したい目標(得たい結果)をフセンに書き出し、「目標」欄に貼る。

②「目標に影響を与えられること」を洗いざらい書き出して、欄に貼る。

③「目標に影響を与えること」の欄に貼ったフセンのうち、自分ですぐにできることを「コントロールできること」の欄に移動させる。

④「コントロールできること」の欄に貼ったフセンの中から、最も効果のありそうなことをいくつか選び、欄の上の方に移動させる。

 

・自分の一貫性をチェックして、本当はどうしたいのかを知る

①「言っていること」「やっていること」「考えていること」「感じていること」「人に期待されていること」のうち、最もフセンに書き出しやすそうな枠をまず1つ選んで、どんどん書き出す。

②1つの枠の書き出しが大体終わったら、次の枠、また次の枠へと進む。

③ひと通り書き出せたら、それぞれの枠のフセンを読み直す。

④ピックアップした5つの枠のフセンを読み比べながら、自分で気づいたことをフセンに書き出す。

⑤④で得た気づきを踏まえて、自分は本当はどうしたいのか?を考える。

 

・弱みや欠点を見つけ、逆に自分の力に変える

①最初のステップは、「例外を探す」こと。それをフセンに書き出す。

②次に「それがあったからこそ良かったことを探す」こと。それをフセンに書き出す。

③「それがあったからこそ誰かの役に立っていないかを探す」。それをフセンに書き出す。

 

・自分の中の異なる意見を聞き、調和させて夢を実現する

「夢見る自分」「ダメ出しする自分」「現実的な自分」

①「夢見る自分」の声をフセンに書き出す。

②「夢見る自分」が書き出したフセンのうち、特に気になるいくつかについて夢を膨らませてみる。

③席を移動し、次は「ダメ出しする自分」の心の声をフセンに書き出す。

④「ダメ出しする自分」が書き出したフセンのいくつかについても、少し想像を膨らませてみる。

⑤「現実的な自分」の席から見て、両者の主張をまとめるようなアイデアを出す。

⑥「現実的な自分」のあなたから見て、「これはいい」と思ったアイデアをピックアップし、実現までの道のりをフセンでつくる。

 

 フセンでこれだけたくさんのコーチングができるの?と思うとびっくりです。いずれも、なんとなく頭で考えていることや感じていることを文字にする過程で、イメージが具体化され、それが次の考えや感情を促すというステップ。そして、普段話しているときは、どんどん話したことが記憶から薄れていきますが、フセンで見える化されていると、ずっと意識することができるので、より次の思考・感情が明確になります。このフセンワーク、カフェなどでも手軽にできるので、重宝しています。また幅が広がりそうな予感です。

フセンで考えるとうまくいく:頭と心が忙しい人のための自分整理術22

フセンで考えるとうまくいく:頭と心が忙しい人のための自分整理術22

 

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