『ちいさなことにイライラしなくなる本』(大嶋信頼)
気づかぬうちに帯電した怒りは、自分の持つ空気を変えてしまう。特にちいさなイライラは、ちいさなことだからこそ放置されてしまう傾向がある。これは、イライラが表に出さない方が立派な人に見られるという価値観が世の中にあるから。また、自分でも、怒っていないと思い込み、怒りを蓄積させてしまっているケースもある。
本書は、怒りの正体を明らかにし、イライラを正しく発散させ、脳への帯電を防止するための対処法をまとめた一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯イライラの原因は一つではない
・怒りの原因は決して一つではない。まして、ちいさなイライラは、生活の様々なシーンで、1日の中でも両手では数え切れないほど頻繁に発生していくから原因も多様。
・怒りを感じるしかるべき理由は、怒りを感じた場面の数だけある。
・怒りを鎮めるためには、まずその原因を正しく把握することが必要条件。
◯怒りの原因
①不必要な情報も拾ってしまう。
・情報にフィルターがかけられていないとき。
→矛盾や理不尽を感じたときに怒り、違和感が解消されるまで、頭の中で延々と「なぜ?どうして?」を繰り返す。その疑問はいつまでも解消されないので、ずっと頭の中から消えずに溜まってストレスになり、やがて「矛盾は自分を苦しめるもの」という認識に変わっていく。
②計算ができない
③脳の電気発作が起きる(音・言葉・視線など)
④人の気持ちを受け取ってしまう(共感)
・自分がひどい目に遭うよりも、ひどい目にあっている他人に共感する方が、より強いストレスを感じる。
◯ちいさなことにイライラする人の3つの特徴
①後から「ああ言えばよかった」と後悔する
②記憶力には自信があるけれど、なぜか忘れ物が多い
③ひとつの手順にこだわってしまう
◯怒り発見器(指を使えば簡単に怒りの原因がわかる)
①利き手の肩の力を抜いて、手首の柔軟体操のようにブラブラと手を振る。
②怒りの原因として考えられることを頭で思い浮かべる。
③その原因が「当たり」なら、指がちょっと引っ張られるような感覚になったり、ピリピリとしびれた感じになったり、指が内側に曲がったりする。
④「ハズレ」なら指が反応しないので、他の原因を思い浮かべながら、手を降って次から次へと確かめてみる。指が反応したら、それが「原因」。
⑤普段から指を振って、「私は何に怒っているの?」と確認するのを習慣にしていルト、脳の指を動かす部位と言葉を使う部位が刺激され、活性化する。そして、怒りの本当の原因に繋がりやすくなる。
・怒りの本当の原因をが思い浮かんだとき、「怒りを吐き出したい」と思っている言葉を使う部位が「それだ」と反応する。その時に近くにある指を動かす部位が影響を受ける。これが怒り発見器のしくみ。
・正しい原因が思い浮かべば、「怒りがことばに変換された」ということになり、怒りの感情は解消の方向に向かうはず。
◯怒りが消えないと寿命が縮む
・実際に怒っている時にレントゲンを見てみると、胃が縦に伸びている。つまり、怒りは臓器に影響する。
・怒り続けると緊張ホルモンが出続ける。緊張ホルモンとは、「糖質コルチロイド(グルココルチロイド)」のこと。怒りという危機に対して、「体をすぐに動かせるようにしておこう」と備えるのがこのホルモンの役目。
・緊張ホルモンが出ると、体内の血糖値は上昇する。つまり、怒り続けるということは、「ずっと砂糖漬け」の状態になっているのと同じ。
・その結果、糖尿病のリスクが上がったりして寿命が縮む。
・ホルモンのバランスが崩れると、免疫力が低下してガンなどのリスクも上がる。
◯怒りが収まらない理由
①怒るタイミングが遅い
・「どうしてあの時ガツンと注意できなかったんだろう?」「どうしてはっきり断れなかったんだろう」と後悔する。
②世の矛盾が受け入れられない
・正義感が強い。頑固。
→生きていれば、理不尽なことがたくさんあるという、世界の矛盾を受け入れるしかない。
◯怒りの不完全鎮火と再燃
①その場で怒りを出さなかったから
②相手の矛盾を自分のせいにしてしまったから
③自分のストレスが、周囲に感電しているから
◯怒りの火を消すには「水を飲む」
・感情の伝達に塩分が関係している。「塩分を取りすぎると怒りっぽくなる」という話は、全く根拠のない話ではない。逆に考えれば、水分補給で体内の塩分濃度を下げることによって、怒りをコントロールしやすくなる。お茶でもコーヒーでもなく、水を飲む。
◯質の良い睡眠で、怒りを翌日に持ち越さない
・質の良い睡眠を取るために大切なのは、22〜23時ごろに布団に入ること。
◯怒りの連鎖の止め方
・相手の言うことを真に受けるのを止め、相手は自分(もしくは誰か)の怒りに感電しているだけだと考えてみる。
◯怒りの感染からの防衛術
・「自分がこの人の怒りをなんとか収めなくてはいけない」と思ってしまうから、どんどん相手の怒りに感染してしまう。
・怒りとは正しく対処すれば、一瞬で収まるはずのもの。怒りっぽい人というのは、それが発散できずに脳に帯電している人のこと。
・怒りをためている本人が、怒りの原因を誤解している可能性がある。つまりなぜ怒っているのか本人もわかっていない。
・そんな状況をなんとかしてあげようとしても、訳のわからない怒りの矛先を自分に向けてしまうだけなので、さっさと距離を置きましょう。
◯怒りを認めることの大切さ
・怒りとは本来、「自分を守るための感情」。怒りが湧く時は、自分の存在が脅かされている可能性がある。
・その怒りを認めないということは、「自分自身を大切にしていない」ということになる。
やはり、怒りは認めるところから。まずは認めることでぐっと楽になる。そして、果たして自分が怒る問題なのか?と考えてみる。それでも怒りが収まらならない時は、時間を置いてみる。私は、イラっとしたら、それが周りに累が及ばないように、一旦席を外す、トイレに行くなど、時間を強制的に開けてから次の仕事に臨むようにしています。それでも、イライラは次々発生しますが、また同じ対処を繰り返して、うまく怒りを逃がしてやるしかないですね。