MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

すべては導かれている(田坂広志)

『すべては導かれている』(田坂広志)(◯)

 在り方と言えば、このお方。私の大好きな田坂広志さんの最新刊。本書は、「自分の人生は何かに導かれている」という覚悟から起こる人生の変化。そのそのために必要な5つの覚悟についてまとめられています。田坂さんシリーズはいつ読んでも良書揃いで内省が進みます。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯「すべては導かれている」という覚悟から生じる変化

①日々の仕事や生活において起こる出来事を見つめるとき、その「意味」が全く違って見えてくる。その「意味」が極めて肯定的に見えてくる。

②目の前に立ちふさがる逆境を見つめるとき、「勇気」「気魄」が湧き上がる。

③目の前に立ちふさがる逆境に向かうとき、「直感」が閃き、「運気」を引き寄せる。

 

◯「すべては導かれている」という覚悟を定める「こころの技法」

 次の5つの覚悟を順に心に定めていくこと。

①自分の人生は、大いなる何かに導かれている。

②人生で起こること、すべて、深い意味がある。

③人生における問題、すべて、自分に原因がある。

④大いなる何かが、自分を育てようとしている。

⑤逆境を超える叡智は、すべて、与えられる。

 

◯自分の中に眠る、不思議な力と叡智

・ある禅師の言葉。「過去はない、未来もない、あるのは永遠に続く、今だけ。今を生きよ、今を生き切れ!」

・あなたの中には、あなたが想像できないほどの素晴らしい力と叡智が眠っている。ひとたびあなたが、「今を生き切る」という覚悟を定め、「すべては導かれている」という覚悟を定めるならば、必ず、あなたの心の奥深くから、その逆境を越えていくという叡智が湧き上がってくる。あなたの人生において、想像を超えたこと、不思議なことが、起こり始める。

 

◯自分の人生は大いなる何かに導かれている

・縁:「人生とは人との出会いが、すべて」「人生は、人との出会いによって、導かれる」

・人生において起こる幸運に思える出来事、幸せに思える出来事だけが「導かれた出来事」なのではない。不運に思える出来事、不幸に思える出来事も含め、すべての出来事が、「導かれた出来事」。そしてそのことを心の底から信じたとき、「想像を超えた出来事」や「不思議な出来事」が起こる。

・あなたが直面している、その逆境。それもまた「導かれた出来事」であると信じ、歩んで頂きたい。

 

◯人生で起こること、すべて、深い意味がある

・「自分の人生は大いなる何かに導かれている」「人生で起こること、すべて、深い意味がある」という2つの覚悟を定めることができるならば、人生というものが、気まぐれな「偶然」に左右され、不運や不幸な出来事によって翻弄されるものであるという不安や恐怖の感覚から解き放たれ、人生のいかなる出来事に対しても、「この出来事には、大切な意味がある。それはどのような意味か」という肯定的な問いを胸に、正面から向き合うことができるようになる。

・「意味」を感じるために大切なのは「解釈力」

 「この苦労は自分に何を教えようとしているのか」

 「この失敗は自分に何を学ばせようとしているのか」

 「この挫折は自分に何をつかませようとしているのか」

 「この病気は自分に何を伝えようとしているのか」

・何が起こったか。それが我々の人生を分けるのではない。起こったことをどう解釈するか。それが我々の人生を分ける。

 

◯人生における問題、すべて、自分に原因がある

・「引き受け」という心の姿勢。たとえ、自分に直接の責任が無いことでも、すべてを自分自身の責任として、引き受けること。

・「人間は本当の自信がなければ、謙虚になれない。人間は本当に強くなければ、感謝ができない」(臨床心理士 河合隼雄

・「小さなエゴ」は、心の奥深くで「自分は間違っていない」「自分は正しい」と叫び、「自分は変わらなくて良い」「自分は変わりたく無い」と叫んでいる。

・「大きなエゴ」は、心の奥深くで「自分にはまだ大きな可能性がある」「その可能性を開花させたい」「自分はまだまだ成長していける」「もっと成長したい」と願っている。

・「大きなエゴ」が「小さなエゴ」に勝るとき、我々は目の前の課題を直視し、小さな殻を打ち破り、さらに成長していくことができる。

 

◯大いなる何かが、自分を育てようとしている

・この覚悟により「究極の楽天性」が身につく。これが「究極の解釈力」と呼ぶべきもの。

・「だからこそ、この逆境は必ず乗り越えられる」「だからこそ、この逆境を糧として、必ず成長していける」

・大いなる何かがこの逆境を通じて自分を育てようとしている。そして自分を育てることを通じて、多くの人々の幸せために、素晴らしい何かを成し遂げようとしている。

・生命力が満ち溢れてくると、なぜか自分の中に眠っていた様々な可能性が開花し始める。たとえば、「直感」が閃くこと、例えば「運気」を引き寄せること。

 

◯逆境を超える叡智は、すべて、与えられる

・叡智を与える5つの形

①「直観」という形で与えられる

 最も大切な勝負の瞬間や、最も重要な決断の瞬間には、深い「直観」が求められる。しかし、深い「直観」が働くためには、深い「静寂」が求められる。「導かれている」という覚悟は「全託」の境地。「全託」とは文字通り「すべてを天に託する」という覚悟。「全託」の境地になるとき、「小さなエゴ」が静まっている状態。その境地こそが「無心」の境地。

②「予感」という形で与えられる

③「コンステレーション」を感じるという形で与えられる

 人生において起こる、表面的には互いに無関係ないくつかの出来事の間に何かの「関係」を感じ取り、「意味」を見出し、「物語」を読み取ること。

④「シンクロニシティ」が起こるという形で与えられる

⑤「運気」を引き寄せるという形で与えられる

 「意味を感じる力」。偶然と見える出来事の中に「大切な意味」を感じる力。偶然と見える出来事の中に「自分を導く声」を感じる力。

 

◯あなたはすでに逆境を越えている

・「人生をすべて肯定する」ために深く求められること。それは「死」を見つめること。「死」を見つめることなしに、本当の意味で「人生をすべて肯定する」ことはできない。

・「死」を見つめるとは、人生の「3つの真実」を直視すること。

①「人は、必ず、死ぬ」

②「人生は、一度しかない」

③「人は、いつ死ぬか、分からない」

 

 今を生きよう。身に起こるすべてを受け止めよう。その時にどのように解釈するのか、解釈力を磨こう。そうすれば、自分らしく生き切ることができる気がします。そんなことを考えさせてくれる一冊でした。

すべては導かれている: 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟

すべては導かれている: 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟

 

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