『能力の成長』(加藤洋平)<2回目>(◯)
年初に読んだ本を早くも再読。成人発達理論を用いた能力の成長について、解説されれています。「点」となる一つの経験を得て、複数の経験から共通点や相違点が言葉でつながっていくと「線」になり、そして、2つ以上の経験から最大の学びを抜き出し、それらの共通点や相違点を考えた後に、それらの学びを包括するような持論を形成する「面」になっていく。その面(3次元)自体が一つの点となり、また「線」「面」を作っていくという、「点」→「線」→「面」が雪の結晶のように、どんどん広がって、壮大な能力の広がり見せていき「立体」になる。この「点」→「線」→「面」→「立体」へどのように繋げていくか(バラバラにならないようにするか)という要点をまとめた興味深い一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
今回は2回目なので、各章の終わりに出てくる実践編のワークを抜き出してみます。
◯伸ばしたいと思う能力の列挙
①自分が伸ばしたいと思う能力を列挙し、どのような理由や必要性からその能力を伸ばしたいのか書き出す。
②他者の成長支援に関わっている場合、その人が直面している課題の種類や性質に着目し、どのような能力を伸ばす必要があるのか書き出す。
◯高対能力を取り巻く状況の種類・性質
①能力を見返し、それがどのような状況に基づいて発揮されるものなのかを書き出す。
②考慮すべき状況は、役職やプロジェクトだけではない。コーチング能力や部下育成能力を取り上げたのであれば、コーチングする相手や部下の性格や特徴も狭義の状況に該当する。
◯高対能力に紐づく「課題」の種類や性質
①自分が高めたいと思う能力に関係する具体的な課題を書き出す。
②課題の種類や特徴に応じて、自分が高めたいと思う能力をより細かく分類する。
③分類をもとに、もう一度、自分が向上させたいと思う能力に関係する具体的な課題を設定し直す。
◯身の回りの変動性を観察する
①これまでに取り上げた状況や課題ごとに、自分の感情状態の種類を列挙する。
②先週あるいはこれからの1週間、日々の生活の中での取り組みを「充実感」という一つの感情を通して観察してみる。その時、充実感の度合いを0から10で尺度化し、そのばらつき度合いを観察する。
◯サブ能力の特定
①自分が高めたいと思う能力を構成しているサブ能力を自由に書き出す。
②置かれている状況を考慮して、その他のサブ能力を列挙する。
③取り組む課題を考慮して、その他のサブ能力を列挙してみる。
◯最適レベルを実感した体験を振り返る
①これまでの人生を振り返り、最適レベル(他者や環境からのサポートによって発揮することができる、自分が持っている最も高度な能力レベル)を発揮できた体験を振り返る。
②直感的に思いついた体験に対し、誰からどのような種類の支援があったのかを思い出し、書き出す。
③具体的にどのような課題に取り組んでいたのかを含め、その時の状況をできるだけ具体的に書き出す。
④その時に支援してくれた人の立場に立ち、どのような工夫と意図がそこにあったのかを考え、それらを書き出す。
◯自分の能力と「線・点・面・立体」の成長サイクル
①伸ばしたいと思う能力が、線・点・面・立体になるというのは、それぞれどのような状態なのかを考えてみる。
②1つの能力に対して、線・点・面・立体の成長サイクルを確認することができたら、少なくとも、もう一つの能力を取り上げ、同様の実践をしてみる。
◯5つの成長法則を自分の言葉で説明してみる
①統合化、複合化、焦点化、代用化、差異化、という5つの成長法則のそれぞれを自分の言葉で説明する。
②それぞれの法則に関する自分なりの具体例を書き出す。
・統合化:今自分が持っている複数の能力が結びつき、現在の能力レベルから新たな能力レベルへの成長を説明する法則
・複合化:今自分が持っている能力が現在のレベルの中で組み合わさって、より高度な能力が獲得されることを説明する法則
・焦点化:ある課題をこなすために必要となる能力を、即座に選び抜くことを可能にする法則
・代用化:ある課題を通じて獲得された能力を一般化させて、他の課題に対して活用することを可能にする法則
・差異化:ある能力がより細かな能力に細分化される際に発揮される法則
◯自分が高めたいと思う能力を測定する
①自分が伸ばしたいと思う能力や関心のある事柄に対して、「〜とは何か?」というシンプルな問いを立てる。
②その問いに対して、自分が考えていることを書き出す。
③書き出された回答と、本文のレベル6〜12の説明を照らし合わせ、回答レベルを測定する。
④厳密な測定が難しければ、書き出された回答は、線・点・面・立体のどの形に一番近いかを直感的に判断してみる。
◯変動性を無視したトレーニングに取り組んだ経験
①これまでの人生を振り返り、単調な練習や単調な仕事に取り組まされた経験を思い出す。
②その経験に対し、今の自分であればどのような工夫ができるかをノートに書き出してみる。
③現在取り組んでいる実践の中で、単なる反復に陥っているものはないかを確認してみる。
◯生態学的妥当性が確保された学習
①日々の学びに対して、その知見を活用する具体的な現場を想定し、書き出す。
②日々の何かしらのトレーニングに対して、その生態学的妥当性の度合いを10段階で評価してみる。
◯ニューウェルの三角形(人・課題・環境)を用いた実践プラン
①自分が高めたいと思う能力を1つ取り上げ、その能力に関する自分の現在レベルを大まかに把握する。
②どのような課題に取り組めば、その能力が向上するのかを考え、具体的な課題を書き出す。
③書き出された課題が、難しすぎず、簡単すぎないかを分析してみる。
④その課題を行う最適な環境を設定する。
◯3種類のノイズを考慮したトレーニングを行なってみる
①自分が取り組んでいる課題や実務を1つ取り上げ、3つのノイズのうちどのノイズを発しているのか特定しみる。
②ホワイトノイズを発していることがわかれば課題や環境の変動性を下げるにはどのような働きかけをするのが良いのかを書き出す。
③ブラウンノイズを発していることがわかれば、課題や環境の変動性を上げるにはどのような働きかけをするのが良いのかを書き出す。
◯最近接発達領域を活用した実践
①他者の成長支援をする際に、その人に与えようとしている課題レベルとその人の能力レベルを、その人とのこれまでの経験に基づいて大まかに算定する。
②2つのレベル差が、その人が支援を得ることができれば達成できるのかどうか(最近接領域に入っているのか)を確認する。
③与えようと課題が難しすぎる場合、課題レベルを下げることを検討するまたは支援の種類を変えることを検討する。
④適切な支援を通じて、その人の「can't do」が「can do」に変わり始めてきたら、さらに新たな「can't do」を提供していくことを考える。
能力の成長段階と成長に向けて取り組む又は注意すべき点を意識し、成長イメージを描くだけで、漠然としたものが論理的に目に見えるような感じで、より手触り感のあるものになるなと感じました。あとは、自分自身の具体例にはめて、さらに納得感あるものにしていくきたいと思います。
成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法
- 作者: 加藤洋平
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