『ザ・ドリーム・マネジャー』(マシュー・ケリー)(◯)
友人から頂いた本書。自分のやりたいことともハマった良書でした。従業員の夢を叶えるドリーム・マネジャーという仕事。離職率400%だった清掃会社を12%にまで減少した理由は何だったのか。従業員の夢や従業員の家族を応援し、やがては自社を巣立っていくことも応援できる社風づくり。やる気を突き動かし、それが結果的に業績にも反映していく。従業員と経営の信頼関係をどのように構築していくのかという、アプローチの一つとして、とても参考になる内容でした。マネジャーや経営者向けの一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯離職率と現場の実感
・離職率の高さは士気や作業効率、顧客満足度の低下にもつながる。
・現場の従業員はビジネスについて、経営陣の知らないことを知っている。
・直接金をばらまくことも可能だが、それでは大したインパクトは期待できない。
◯夢のない人生なんて
・一人ひとりが”現在”と”よりよい未来”との間に橋をかけられるよう、手を貸すことはできるはず。夢こそが、その架け橋。ここで働くことが自分の望む未来につながると具体的に示すことこそ、唯一の方法。
・人間を特別な存在にしているものは何か。それは豊かな未来を想像し、未来に希望を託し、その未来に向かって歩む能力。これは人間だけが備えている能力であり、それはまた、夢に向かって前進するプロセスでもある。
・社員の夢を手助けするのが我々の務めかどうかはわからなくても、「お互いの夢が実現できるよう助け合うのが、あらゆる人間関係の大切な基本だとは思いませんか?」と訊かれたらどうですか?
◯ドリーム・マネジャー
・ドリーム・マネジャーは社員の夢について一緒に話し合い、夢を実現するための計画づくりを手伝う。その後、社員は一月に1度ドリーム・マネジャーと会って、進捗状況を確認し、次のステップについて話し合う。
・カウンセラーとファイナンシャルプランナーの両方の要素を持った人が適任じゃないかと考えている。ほとんどの夢には、経済的要素が絡んできますから。
◯人を仕事に引き止めるもの
・人を仕事に引き止めるものは、大きくいってふたつある。やりがいと、確かに自分が進歩し成長しているという実感です。仕事そのものにやりがいを感じるのは難しいかもしれない。だとしたら、後者ふんだんに与えなくてはならない。すなわち、進歩や成長の機会を与える必要がある。自分がその職場で成長していると感じているとき、人は別の仕事を探そうとしないものです。
・彼らの多くは、自分で気づいているかどうかは別として、夢の具現化を手助けしてくれる人を心から求めている。彼らは辞めないよ。なぜなら誰かが自分と真面目に向き合って将来を描く手伝いをしてくれるなんて、ほとんど始めての経験に違いないから。重要なのはドリーム・マネジャーによって、もはや自分の仕事が未来のない仕事で無くなるという点だ。ドリーム・マネジャーの開設は、現在の仕事と夢の実現とをつなぐ架け橋を作ることに他ならない。
◯誰にでもドリーム・マネジャーが必要
・誰にでも必要なんです。ある程度までなら自分でやれるかもしれません。ですが、私たちにはみな、自分の夢を明確にし、その夢に優先順位をつけ、計画をまとめるのを手伝ってくれて、実現のための行動やそれを妨げる行動を定期的に思い出させてくれる人間が必要なんです。
◯夢の効用
・夢によって、人は人生を取り戻す。夢は人をいきいきさせる。夢は人間関係にも職場にも影響を与える。夢を追い求めることによって、そこには情熱や活力が生まれる。
・夢が現実になる文化の中では、仕事への情熱とやってやれないことはないという自信とが無限に生み出される。
・人は夢を見る。夢を見る能力こそ、人間を人間たらしめている大きな特徴の一つである。労働者の多くは、自分は会社に利用されていると感じている。だがもしあなたが従業員のことを本気で考えていることが伝われば、彼らの見方は全く違うものになる。
・夢は、「何が人間を動かすのか」ということについて、実に魅力な洞察を与えてくれる。
◯夢のステップの第一歩
大切なのは、完璧を求めることではなく、”自分が進歩していることに注意を向ける”ということ。
・もしよかったら、その時までに夢リストにもう一度眼を通して、それぞれの夢にタイムスケジュールを設定してみてください。非現実的でなく、かつ自分に甘すぎないように。うまくやる秘訣は、無理しすぎない程度で少しだけ背伸びした目標を設定することです。
・すでに成し遂げた夢が、まだかなっていない夢を追いかける勇気をくれる。一つひとつの夢に目を留めながらゆっくりとページをめくっては、例えばこの夢が叶った時にはどんな気持ちがするだろうと想像してみる。たったこれだけのことが、その夢の実現の力強い一歩になる。
①ドリーム・ブックを用意する
②夢を書き始める
③夢に制限を設けない
④ドリーム・ブックに書き込む時には日付を入れる。
⑤夢が実現したら、その日付も書き加える。
◯12種類の夢のカテゴリー
①肉体
②感動
③知性
④精神世界
⑤心理
⑥物質
⑦仕事
⑧経済
⑨創造性
⑩冒険
⑪後世に遺すもの
⑫性格
自分のやりたいこととも重なる部分が多かったドリーム・マネジャー。求められる素養がファイナンシャル・プランナーとカウンセラーというストーリーもまた親近感。職場を考えることだけでなく、「自分に何ができるのだろう」ということを考える上でも参考になる一冊でした。
ザ・ドリーム・マネジャー モチベーションがみるみる上がる「夢」のマネジメント
- 作者: マシュー・ケリー,大野八生,橋本夕子
- 出版社/メーカー: 海と月社
- 発売日: 2008/10/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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