『経営者の条件』(P.F.ドラッカー)(〇)(4回目)
もやは殿堂入りの一冊。言うことなしの名著です。今から約半世紀前の1967年発行の本書。今でもバリバリ現役で役立ちます。内容は、成果を上げるために自らをマネジメントする方法についてまとめられています。「物事を為すべき者が成果をあげるには、いくつかの簡単なことを行うだけで良い」「知識の時代においては一人ひとりがエグゼクティブである」と紹介されているように、経営者でなくても今の時代の一人ひとりに役立つと思います。
■ひとことメモ
エグゼクティブの仕事は成果をあげること。
成果をあげる能力は習得できる。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇8つの習慣
(知るべきことを知る)
①なされれるべきことを考える
②組織のことを考える
(成果をあげる)
③アクションプランをつくる
④意思決定を行う
⑤コミュニケーションを行う
⑥機会に焦点を合わせる
⑦会議の生産性をあげる
(組織内の全員に責任感をもたらす)
⑧「私は」ではなく「われわれは」を考える
〇成果を上げるために身につけておくべき習慣的な能力
①何に自分の時間が取られているかを知る
②外の世界に対する貢献に焦点を合わせる
③強みを基盤にする
④優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中する
⑤成果をあげるよう意思決定を行う
〇時間管理の基本
①時間を記録する、②整理する、③まとめる
成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。成果をあげるには大きな塊の時間が必要。総量が大きくとも細分化していたのでは役に立たない。
〇貢献へのコミットメント
成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えること。ほとんどの人が成果ではなく努力に焦点を合わせている。肩書や地位がいかに高くとも権限に焦点を合わせる者は自らが誰かの部下であることを告白しているに過ぎない。いかに若い新入りでも貢献に焦点を合わせ成果に責任を持つ者は、トップマネジメントの一員である。
あらゆる組織が必要とする成果は、直接の成果、価値への取り組み、人材育成。
〇人の強みを生かす
優れた人事は人の強みを生かす。弱いからは何も生まれない。弱みに配慮して人事を行えば、うまくいったところで平凡な組織に終わる。できることではなく、できないことに気を取られ、弱みを避けようとする者は弱い人である。
人に成果を上げさせるには、「自分とうまくいっているか」を考えてはならない。「いかなる貢献ができるか」を問わなければならない。人に合わせて仕事を構築するならば、組織は情実と馴れ合いに向かう。
組織とは、強みを成果に結びつけつつ、弱みを中和し無害化するための道具である。
〇強みに基づいた人事を行う4原則
①適切に設計されているか
組織を評価する基準は天才的な人間の有無ではない。平凡な人間が非凡な成果を上げられるか否かである。
②多くを要求する大きなものか
③その人間にできることか
④弱みを我慢できるか
強みを手にするには弱みは我慢しなければならない。
〇「手放せない」「いなくては困る」
ある人が欠くことができない理由は3つ。
①そのものが実際には無能でありかばってやる必要がある
②弱い上司を支えるために、その者の強みを使っている場合
③重要な問題を隠すため、その者の強みを使っている場合
〇最も重要なことに集中する
成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。
〇意思決定の5ステップ
①問題の種類を知る
・基本的な問題の徴候にすぎない問題
・当事者にとっては例外だが実際には基本的・一般的な問題
・真に例外的で特殊な問題
・何か新しい種類の基本的・一般的な問題の最初の現れとしての問題
②必要条件を明確にする
③何が正しいかを知る
何が正しいかを知らなければ、正しい妥協と間違った妥協を見分けることもできない。
④行動に変える
⑤フィードバックを行う
〇成果をあげる意思決定
そもそも何が事実であるかを確定するには、有意性の規準、特に評価の基準についての意志決定が必要である。これが成果をあげる決定の要であり、通常最も判断の分かれるところである。
エグゼクティブが直面する問題は、満場一致で決められるようなものではない。決定において最も重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行うべきではないということ。
あらためて読み返してみても濃い内容の一冊です。ときどき内省するために読むと良いかもしれません。半世紀たっても大切なことの本質は変わらないんだなということが実感できます。