MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

空海「弁顕密教二教論」(加藤精一)

空海「弁顕密教二教論」』(加藤精一)

 一度他の書籍で本書を読んで、全然頭に入って来ず「難しい本だな」と思ったので、本を変えて読んでみたら「やっぱり、難しい本」でした(笑)。本書は、空海密教顕教の違いを様々な経典を根拠に解説したもので、大半は参考文献(経典)の言わんとしていることの解説です。内容が理解できないときは「まだ読むのが早かったんだな」と思い、また周辺書籍を読んだり、YouTubeを見たりしつつまた戻ってこようと思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

密教顕教

空海は自身が中国で受けてきた教えを密教と称し、その他の教えを顕教とした。

空海が言う密教とは、大日如来から嫡々相承したいわゆる真言密教のことを指す。護摩を焚いたり、真言を唱えたり印契を結んだりと言う、形の上では密教という同一の範囲に入るのかもしれないが、真言密教とその他の密教とでは内容が全く異なっており、全く別のものと考えた方が正しい。

空海によって大成した真言密教は、空海の頭脳によって構成された「十住心思想」という比較思想体系に裏付けられた密教であり、あえて言えば、空海によって認知された密教なのである。

・本書の題名の意味は、「顕教密教の2つの教えを明確に区別する論書」

 

◯『菩提心論』より

・『菩提心論』にいう「諸仏・諸菩薩は、かつて修行しておられた時に、仏を目指して努力する心(菩提心)を発し終わって勝義心、行願心、三摩地心の3種の菩提心を一時も忘れることなく戒として持ち続け修行された。これが肝要である。そうすれば即身成仏は成就できる。これは真言密教においてのみ可能なもので、三摩地の菩提心を特別に重要と考えるべきである。即身成仏の思想は真言密教以外では説かれていないのである」。

⇨勝義心とは自分が最も優れた教えを選ぶという研究心、行願心とは他人の願いを自身の願いとしてその実現に努める心、三摩地心とは仏・大日如来と一体となることを目指して三密行(手に印を結び、口に真言を唱え、心に大日如来を観ずる修行)に努める心。

 

 多く書いても難しそうなので、まずは一つだけをピックアップしてみました。壮大な領域なのですが、私にとってはそれが楽しいです。

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