『眠れなくなるほど面白い仏教』(渋谷申博)
コンパクトでイラスト多数で、仏教のちょっとした疑問や要点についてコンパクトにまとめられた一冊。入門編というようりも、ちょっと興味があるくらいの方に向いていると思います。かなり気軽に読めるお手軽な点がいいところ。私は、まとめ箇所が読み易くて参考になるなと思って買ってみました。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯縁起の法
・原因と結果(因果)に関わりなく、それのみで存在するものはない。
・諸行無常:「諸行」はすべての現象のこと。すべての現象は常に変化し、不変のものはない。
・諸法無我:「諸法」はすべての事象・法則のこと。不変の実体を持った事物などない。
◯十二支縁起
①無明:真理への無知
②行:正しくない行い
③識:「行」の精神的影響
④名色:「行」の物質的影響
⑤六処:感覚器官に影響
⑥触:影響を感受すること
⑦受:影響が感覚として受け取られること
⑧愛:感覚によって引き起こされる愛着
⑨取:愛着から生じる執着
⑩有:執着を実行に移すこと
⑪生:執着が実行されたことの結果
⑫老死:悪しき行為が悪しき結果を生むこと
◯四諦
①苦諦:生存博であること
②集諦:苦の原因は無明にあること
③滅諦:執着を絶ち苦を滅すること
④道諦:八正道が必要であること
◯主な経典
・阿含経・法句経(紀元前4〜前1世紀に成立):空について説く経典
・大乗経典(1〜7世紀に成立)
①般若経:空について説く経典(『大般若経』『般若心経』『金剛般若経』など)
③法華経:釈迦の永遠の寿命と差別なく衆生を救うことが説かれる。
④浄土経典:西方極楽浄土の阿弥陀如来の功徳を説く(『阿弥陀経』『無量寿経』『観無量寿経』など)
・密教経典(7〜11世紀に成立):仏教の最終段階に成立したお経。呪術的儀礼を仏教教理によって再解釈している(『大日経』『金剛頂経』など)
◯鎌倉新仏教(6宗派)
■浄土宗系(念仏を重視)
①浄土宗(法然:1175年開祖)
・絶対他力
難しい教養を学んだり、つらい修行をしたり、寺や仏像や塔を作らなくても阿弥陀如来は救ってくれる。
・専修念仏
ただひたすら「南無阿弥陀仏」と唱えることが往生するための方法である。
・重視する書物:『選択本願念仏集』『一枚起請文』
・悪人正機
阿弥陀如来は悪人こそを救う対象とする。猟師や武士など戒律を守れない人でも救われる。
・一向専修
ひたすら念仏し、阿弥陀如来の帰依に勤める。この語から、浄土真宗は一向宗と呼ばれることもある。
③時宗(一遍:1274年開祖)
・全国遊行
踊り念仏を行い、「南無阿弥陀仏、決定往生六十万人」と書いた札を人々に配る。
・重視する書物:『浄土三部経』『一遍上人語録』『一遍上人絵伝』
・禅問答
坐戦を組み、師の教える問答を探究することで悟りに到達。
・看語
・重視する書物:『興禅護国論』『喫茶養生記』
・只管打坐
余念を交えず、ただひたすら坐禅を組むことで悟りに至る。
・出家第一主義
世俗に交わることなく厳しい修行を行う。政治権力に接近しない。
・法華経主義
天台宗の根本に基づいて法華経こそが至上の釈迦お教えであるとする。
・唄題
「『法華経』へ帰依します」という意味の「南無妙法蓮華経」と唱和することで救われる。
・重視する書物:『立正安国論』『開目抄』
・中心寺院:久遠寺(山梨県身延町)、本門寺(東京都大田区)、中山法華経寺(千葉県市川市)
仏教の歴史も学生時代に学んだのですが、当時は興味もなく、綺麗さっぱり忘れてしまっているので、概要を頭に入れるだけでもいい復習になります。その上で、自分の関心のあるところをふかぼっていきたいと思います。