MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

自己評価の心理学(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール)

『自己評価の心理学』(クリストフ・アンドレ、フランソワ・ルロール)(◯)<2回目>

 良書シリーズ。この著者の本は、私のように心理学の素人にもわかりやすく、随所に見られる表形式でのまとめが素晴らしくわかりやすいお勧め本です。本書は、「自己評価の高い人」と「自己評価の低い人」の何が違うのか?日常生活において随所に見られる現象とその改善方法を提言した、セラピストらしい一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯自己評価の3つの柱

①自分を愛する

・3本柱でこれが最も重要。

・無条件に自分を愛することができるからこそ、人は逆境に耐え、挫折を乗り越えることができる。

②自分を肯定的に見る

・大切なのは、その判断に客観的な根拠があるかどうかではない。

・これが自分の長所や短所だ、能力や限界だ、と判断するのにどこまで確信を抱いているか、その方が問題。

③自信を持つ

・自分の決断に確信を持てる。どんな重要な局面でも自分は適切な行動が取れると信じることができるということ。

 

◯自己評価の低い人はどうして慎重なのか

・自己評価の低い人は自分のことを知らないから。すなわち自分の性格や能力を知らないせいで、解決策が自分の中にあるとは思わず、まずは他の人がどうしているかを見極めて、そのやり方に従おうとする。

・社会的な評価を気にしすぎる。自分のことを話そうとする時、ニュアンスまできちんと伝えようとするので、断言することを避けた慎重な言い方になってしまう。

 

◯批判に対する反応(自己評価が高い人の場合)

・わざわざ人に批判を求めるようなことはしない。仮に批判を受けてもあまり深刻には受け止めない。それよりも、自分の良いところに目を向けようとする。

・誰かと話すときにも、批判よりも褒め言葉を信じる傾向にある。ある種のフィルターを働かせて、自分にとって不愉快な情報は通さないようにしてしまう。その結果、批判よりも褒め言葉をもとに自己イメージを形成することができる。

 

◯失敗の予防

・自己評価の低い人は失敗したり、人から批判されるのに耐えられない。

・一番単純で効果的なのは、なるべく行動しないこと。。。

 

◯自己評価と人生への対し方

・自己評価の高い人は成功を望み、低い人は失敗を恐れる。

・自己評価の高い人はいろいろなことに挑戦した結果、いくつかの批判や失敗はあろうが、自分の道を見つけやすくなる。

・一方、自己評価の低い人は失敗のリスクを最小限に抑えようとするため、自分の道を見つけようと思っても選択の幅を狭くしてしまう。

 

◯自己評価が低いことの利点

・人から受け入れられやすい

・謙虚で控えめな態度が好感を持って迎え入れられる。

・批判にも耳を傾ける素直な態度が人に近づきやすい印象を与える。

 

◯自己評価が高いことの不都合な点

・自己評価が高すぎると危険に対する警戒心が小さくなって、思わぬ失敗をすることがある。

・失敗したのは自分のせいではないと考え、いつの間にか反省を忘れ、自分の悪いところを改善する機会を失ってしまう。

 

◯高い自己評価の循環構造

・積極的に行動する→成功→素直に喜ぶ→自己評価は上昇する→高い自己評価→積極的に行動する

・積極的に行動する→失敗→原因や結果を相対化する→自己評価は維持される→高い自己評価→積極的に行動する

 

◯低い自己評価の循環構造

・あまり行動しない→成功→自分の能力によるものだと思わない→自己評価は変わらない→低い自己評価→あまり行動しない

・・あまり行動しない→失敗→自分はダメだと思う→自己評価は低下する→低い自己評価→あまり行動しない

 

◯自己評価を改善する方法

①自分を知る
②自分を受け入れる
③自分に対して正直なる
④行動する
⑤自分の心の中の批判を黙らせる
⑥失敗を受け入れる
⑦自己主張をする
⑧他の人の気持ちや立場を理解する
⑨社会的なサポートを受ける

 

◯自己評価の低さと自己主張の弱さの円環関係

・低い自己評価→自分を主張して人から見捨てられるのが怖い→自己主張をしない→あいかわらず人から見捨てられるのが怖い「自分を主張したら、どんなことが起こってしまうのだろう?」→自己主張してはいけないと考える/自己主張をする習慣が身につかない→低い自己評価

 

  自己評価。すなわち自分自身をどう評価するか。甘め?辛め?すべては自分の中で起こっていること。どちらに偏っても良くない。事象をどう捉えるかという認知に関わる部分でもあります。長い人生を前進していくために歪めることなく、かつ、前進する力が増すように捉え方を訓練する。そんな感覚が湧いてくる「日常に対する意識を高める」ために有効な1冊でした。このシリーズはコンテンツ化してぜひものにしていきたいと思います。

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