『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(越川慎司)(◯)
書いてあることの大半は、「そうですね」と納得できますが、「わかる」と「できる」は違うという前提で読む必要があります。タイトルを見たときは、「5%の取り方は?」「母数は?」とサンプリングに問題意識が行きましたが、ここは、25社のクライアント企業の18,000名ということで十分だと思います。本書では、5%社員と95%社員(中には20%社員という切り方もありました)の違いを比較しながら、具体的な行動が示されていますので、比較論をきっかけに自身やチームメンバーの振り返りに使うとおもしろそうな一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯「5%社員」の85%は、失敗を実験と捉える。
・「5%社員」は、「この辛い経験によって学びを得たから、必ず次は失敗しない」と、失敗を自分にとってプラスの材料に変える癖を持っている。
◯95%の一般社員は、作業効率が上がったことに満足する
・95%の一般社員の中には、仕事をたくさんこなすことを「効率がいい」と勘違いしている人がいる。
・「5%社員」は、「必要な仕事を短い時間で終わらせたら効率がいい」捉えられている。
◯新しい挑戦にはデメリットがあることを理解している。
・「5%社員」は、新しい挑戦に対してデメリットがあると答えつつも、「失敗を成功へのステップと捉えるならデメリットにはなり得ない」と捉えている。
・「5%社員」は、失敗の先に成功があることを知っている。
・「5%社員」は、デメリットありきで、メリットの方が大きければ行動する習慣を持っている。
◯完璧を目指さない
・「5%社員」は、「8割」といった精度の目標値や、作業時間を設定し、意図的に完璧を目指さないようにしています。
・「5%社員」に完璧主義者は見られなかった。
◯再現性を大切にする
・「5%社員」は、成功した時に、その手順をまとめていきます。
◯経験学習をする
・何かの仕事をすれば、何かの経験をする。それを別の仕事になった時、全く違ったものとして捉えるか、経験を活かすことができるかもと思うかが、「5%社員」とそうでない社員の大きな分かれ目。
◯完成度が20%で意見を求める
・「長時間労働を生み出す根源はなんだと思いますか?」の問いに対し、95%の一般社員は「朝礼」や「定例会議」など他責にする回答が81%となり、自ら率先して改善していこうという心構えは感じにくいものだった。
・「5%社員」の回答は、「失注」や「凝った資料の作成」など自分の行動を振り返る回答が69%と、一般社員よりも3倍以上であることが特徴的。
・「5%社員」の回答で最も印象的だったのは「差戻し」。
◯「5%社員」がよく使う発言
・「いいね」
・「そうだね」
・「さすがだね」
・「5%社員」はとても謙虚だが、「20%社員」はどこか自信家で1人で仕事を進める一匹狼のような人が多い印象。
本書を読んで思ったのは、「5%人材は積み重ねる時間の質が総じて高い」こと。一つひとつの行動は、言われればわかることだけど、それを意識しなくてもできるレベルで普通に実践している。その総合力勝負みたいなところがあると思います。そして、「自分が一番になる!」といった刺々しい感じではなく、全体をよくするような俯瞰目線とまろやかな対応。単なるスキルだけでは、20%には入っても5%は難しい。この絶妙なノウハウは、これはこれで職人芸っぽい気がします。