『志を育てる』(グロービス経営大学院)(◯)<4回目>
久しぶりに読み返してみました。本書は、私の母校の一つでもある、日本最大のMBA、グロービス経営大学院の「志研究チーム」が実施した32人を対象に調査をまとめた一冊。グロービス経営大学院では、①能力開発、②志、③人的ネットワークが3本柱に掲げられています。
その中の一つ、「志」をテーマとした本書。①志とは何か?②志はどのようなプロセスで醸成されるのか?③どうすれば志を醸成することができるのか?という観点から志を体系化。改めて読んでみると、一定期間、人生をかけてコミットする目標である「小志」と、一生涯を通じて達成しようとする「大志」が意味するところがだんだんとクリアになってきました。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯「小志」と「大志」
・「小志」:一定期間、人生をかけてコミットする目標
・「大志」:一生涯を通じて達成しようとするもの
→一般的に言われる「志」は「大志」。本書では、「小志」をテーマとしている。別で学んだ知識と関連づけると、「大志」は「ビジョン型」(未来ビジョンに向けて行動するタイプ)、「小志」は「価値観型」(未来のビジョンは明確ではないが、自分の価値観に合う行動を取るタイプ。その道を歩んでいけば今は明確になっていなくても、自然と未来ビジョンに近づいていく)と整理できる。
◯「大志」はいつ生まれるのか?
①「小志」を積み重ねていく中で、徐々に自分自身の「大志」に気づく
②はじめに「大志」ありきだが、「小志」を積み重ねていくことで、その「大志」の具現化を進めていく。
→30名以上のインタビューから得られた事実として、②「大志ありき」というパターンはほとんど見られなかった。
→通学中、「志迷子」となって「志」を考えることに苦手意識がありました。その後学んだコミュニケーション&コーチングの中で、「価値観型」という考え方に出会ってしっくり感を得て、そして、その後「志」(本書でいう「大志」に気づきそれを言語化するに至るのですが、本書を読み返してみて、「小志」≒「価値観型」と考えると、本書で30名以上インタビューした結果を見て、「なんだ、ほとんどみんな一緒かー!!」と今さならながら、しっくりきて、腹落ちしました。
◯志の醸成サイクル
あるきっかけで目標を持つこと(自分で設定する場合、外から目標が与えられる場合)
①達成への取り組み
②取り組みの終焉
③客観視(他者や世の中との比較)
④自問自答
⑤新たな目標の設定
→再び、①達成への取り組みへと循環し、螺旋階段状に成長していく。
◯志の存在が与える3つの効用
①困難な状況を乗り切り、学び続ける精神的な支えとしての役割
②リーダーシップを発揮し、周囲を巻き込むための旗としての役割
③自分の取り組みが、もともとの目的や目標からずれていないかを測り続ける心のアンカーとしての役割
◯モチベーションが限界を迎えるパターン
①その活動自体が本人の意向の如何によらず終了
②自身(または組織)のパフォーマンスが向上している実感が鈍化(または完全にやり切った)
③別の目標(志)が登場
④最初からコミットする期間を決めている
◯志のサイクルに影響を与える要素
①一時的な体験
・場所の変化
・情報の入手
・事件との遭遇
②持続的体験
・人との関わり
・一定期間の経験
③仮想体験
・哲学や思想・宗教との出会い
・教育機関での知識・スキルの習得
◯志の成長の方向性
・志の積み重なりには、一定の方向性がある
①自律性が高まる
1)誰かの決めた規範に合わせていく(適応)
2)自らで規範を選び、自らをハンドリングしていく
3)自らが決めた規範に、他者を導いていく(指導)・他者の自律性が高まることを支援する
②社会性が高まる
・自分自身のため
・自分の身近な周辺のため
・組織全体のため
・社会全体のため
→プロセスは一様ではないが、自律性が強い場合(自分による自分のための志、社会性が強い場合(誰かが決めたみんなのための志)であっても、最終的には、自立性と社会性のバランスが取れた状態(自分が決めたみんなのための志)に向かっていく。
「志」を言語化できるまで考えることというのは、普段暮らしていると、そんなに必要性を感じないものだと思います。しかし、人生には節目というものがあり、気づかないだけで、何かが変わるきっかけが身の回りにはたくさん存在しています。「志」が言語化できるようになってくると、今まで気づかなかった身の回りに存在するもの(人との出会い、自分に必要な情報のキャッチなど)に気づき、次の行動の選択が変わってきます。時間の使い方、エネルギーの注ぐ対象が変化し、未来像がどんどん変化していきます。やがて、必要な行動を選び取ることが習慣化していくと、時間の大半が自分に必要なものになっていき、ますます磨きがかかります(この時点でステージアップ完了)。言語化が難しいですが、言語化・解説動画化していきたいテーマです。