『ORIGINALS』(アダム・グラント)(◯)
『GIVE&TAKE』でも有名な著者。本書は、「誰もが人と違うことができる時代」というサブタイトルのとおり、誰もがオリジナルになれるのだということをまとめった一冊。オリジナルな人とは、「自らのビジョンを率先して実現させていく人」のこと。ここでいうオリジナリティとは、完全にオリジナルな人のことではなく、「ある特定の分野において、その分野の改善に役立つアイデアを導入し、発展させること」です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯本当のリスクとは?
・オリジナリティには徹底的にリスクを冒すことが必要だという定説を覆し、オリジナルな人たちは私たちが思うよりずっと普通の人だということを、本書では示している。
・ある分野で危険な行動を取ろうとするのなら、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを弱めようとする。
・ある分野において安心感があると、別の分野でオリジナリティを発揮する自由が生まれるというメリットを逃している。
・失敗することよりも、やってみないことの方が後悔する。
◯大胆に発想し、ちみつに進める
・オリジナリティを正確に評価するには、自分自身で判断しようとしたり、上司に意見を求めたりするのではなく、同じ分野の仲間の意見をもっと求めていくべき。
・「幅広い経験」と「深い経験」が独自に組み合わされることで、創造性は発揮される。今や直感は、新しい物事に対処するヒントとしては頼れなくなっており、だからこそ「分析」がより重要になっている。
◯無関心を情熱へ変える方法
・ある考え方に10〜20回繰り返し触れると、好感度は上昇し続ける。
・満足のいかない状況に対処する方法は4通り
①発言
②離脱
③粘り
④無視
・粘りは、長期的には無視と同じく現状を維持するもので問題の解決には至らない。状況を変える現実的な選択は、発言か離脱。
◯賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ
・先延ばしは「生産性の敵」かもしれないが、「創造性の源」にはなる。クリエイティブな仕事には特に有益。
・オリジナリティを大いに発揮する人は、大いに先延ばしもするが、全く計画をしないわけでもない。戦略的先延ばしをし、さまざまな可能性を試し、改良することによって、少しずつ進めていく。
◯誰と組むかが勝敗を決める
・「人に影響を与えて動かしたいなら、まずは、「なぜ」を自身に問うべき。アイデアの背景にあるビジョンや製品を紹介する目的を伝えられれば、人が群がってくる」(サイモン・シネック)
・オリジナルな人が成功するには、「節度のある過激派」になることが必要。
・「なぜ」から「どのように」へと焦点を移すと過激さが和らぐ。
・最高の味方になるのは、初めは反対していたが、次第に味方になってくれた人たち。
・他者の価値観を変えさせるのは難しいが、自分たちの価値観と相手が既に持っている価値観の共通点を探し、結びつける方がずっと簡単。
◯はみ出す人こそ時代を作る
・「どう行動すれば最高の結果が得られるだろうか」と「結果の論理」に従う人が多い。だが、常に現状に異議を唱えるような人は「結果の論理」ではなく「妥当性の論理」を使う。
・つまり、「私のような人は、こういう状況ではどうするべきか」と考える。外側を見回すことで結果を予想するのではなく、内側、つまり自分のアイディンティティと向き合うのである。
・「結果の論理」に基づいて決断をしていると、リスクを負うべきではない理由が必ず見つかる。一方「妥当性の論理」に基づくと、自由になれる。
本書は、自分の思考パターン、行動パターンと照らして読むと、興味深く読めると思います。一人ひとりに、必ずや何かを生み出せるオリジナリティがあるはず。それがうまく発揮されていないとなると、思考や行動に何らかの発揮できないパターンがあるので、それを見つけて変えることができれば、未来がさらにワクワクしたものになるのではないでしょうか。