MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

企業戦略論<基本編>(ジェイ・B・バーニー、ウィリアム・S・ヘスタリー)

『企業戦略論<基本編>』(ジェイ・B・バーニー、ウィリアム・S・ヘスタリー)(◯)

 経営戦略本として、MBAなどでは定番の教科書的存在の本書。2003年に『企業戦略論』(上)(中)(下)の3冊が発売され、そちらも購入していたのですが、今回新装改訂版として販売されていたので、買い直してみました。初版との違いは、①読者想定が前作がMBA学生や博士課程の方を想定していたのに対し、今回は経営戦略初学者を想定した記載に変更、②事例が新しくなっている、③ボリュームが3分の2程度に削減(約300ページ→約200ページ)。非常に読みやすくなっている印象です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯全体像

①基本編(1冊目)→今回読んだ本

・戦略及び経営戦略プロセスとは何か

・外部環境分析

・内部環境分析(VRIOフレームワーク

②事業戦略編(2冊目)

・コスト・リーダーシップ戦略

・製品差別化戦略

・柔軟性とリアルオプション

・共謀

③全社戦略編(3冊目)

垂直統合

多角化

・経営多角化に向けた組織体制の構築

・戦略的提携

・合併・買収

 

◯経営戦略プロセス

①企業のミッションの策定

②目標の設定

③外部環境・内部環境の分析

④戦略の選択

⑤戦略の実行

 

◯外部環境の分析

・6つの相互関係

①技術の変化

②人口動態の傾向

③文化的傾向

④経済環境

⑤方的・政治的情勢

⑥特定の国際的事象

 

◯SCPモデル(業界構造ー企業行動ーパフォーマンス・モデル」

・5つの外部環境の脅威

①新規競合(参入)の脅威

②既存競合同士の競争による脅威

③優良・低価格な代替品の脅威

④供給者(サプライヤー)交渉力の脅威

⑤購入者(顧客)影響力の脅威

 

◯業界構造の基本類型

①市場分散型業界

②新興業界

1)先行者優位と技術リーダーシップ

2)先行者優位と戦略的に価値ある経営資源の先制確保

3)先行者優位と顧客のスイッチング・コストの創出

4)先行者劣位

③成熟業界

1)現行品の改良

2)サービス品質の向上

3)プロセス革新による製造コストの削減と品質向上

④衰退業界

1)市場リーダーシップ戦略

2)ニッチ戦略

3)収穫戦略

4)撤退戦略

 

◯内部環境分析(VRIOフレームワーク

①経済的価値(Value

「その経営資源やケイパビリティによって、企業は外部環境における機会を活用し、なおかつ(または)脅威を無力化できるか」

②希少性(Rearity)

「その経済的価値を有する経営資源やケイパビリティは、どれほどの数の競合がすでに同じものを保有しているか」

③模倣困難性(Inimitability)

「その経営資源やケイパビリティを保有しない企業は、それを確保または開発するにあたって、それを保有する企業に対してコスト上、劣位か」

④組織(Organization)

「その企業は、自社の経営資源やケイパビリティが持つ競争上のポテンシャルを100%生かし切れるような組織体制を築いているか」

 

 経営戦略本はたくさんありますが、基本書として内容・読みやすさとも非常に読みやすいのではないかと思います。3冊という文量も読んでいて、内容が薄すぎず、ちょうど頃合いのように感じました。