『リーダーになる』(ウォレン・ベニス)(◯)
リーダーシップの本質は、自由で豊かな自己表現にある。リーダーシップ論の世界的権威である著者の最高傑作と称される一冊。本書は、1989年に刊行された原書を2008年に増補改訂版として再発行されたものです。リーダーは生まれつきのものではなく、リーダーになることができる。リーダーになるためには、どのような観点が必要なのかが全10章に分かれてまとめられています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯現状を打破する
・変革への第一歩は、他人に動かされることを拒み、人生の家事を自分の手に取り戻すこと。
・リーダーにとって最も重要なのは、目標を思い描き、それを明確に表現できること。
◯基本を理解する
・リーダーは、フォロワーでありリーダーである。
・リーダーの基本要素
①指針となるビジョン
②情熱
③誠実さ
④信頼
⑤好奇心と勇気
・マネジャーではなく、リーダーになる。リーダーとマネジャーの違いは、現状を打破した人間と現状に屈服した人間の違い。
◯自分を知る
・子供時代の景観や家族、仲間などが、今の自分にどんな影響を与えているのかを理解する必要がある。
・内部指向型の人は、自分の内部に羅針盤を持っている。それは、幼い頃に年長者によって埋め込まれたもの。彼はこの羅針盤に従って、一般化された役割を果たそうとする。
・他者指向型の人の羅針盤は、同時代の人々(知人、友人、マスメディアを介して知った人)。他人の感覚を人生の指針とする姿勢は、幼児期に植え付けられる。他者指向型の人は、常に何かを得ようともがいている。
◯世界を知る
・創造性を補う方法
①不足を補う
②自分の枠を広げる
③友人と師を持つ
④逆境に学ぶ
◯直感に従う
・重要なのは、リーダーになることではない。自分自身になること。そして習得したスキル、才能、エネルギーをすべて使って、自分のビジョンをはっきりと示すこと。何も抑えてはならない。最初に思い描いた自分を目指し、そのプロセスを楽しむこと。それに尽きる。
◯自分を広げる(体当たりし、すべてを試みよ)
・マズローのいう「自分の表出をゆるす」とは、リーダーシップの本質をなすものであり、自分への存在を誇示するのではなく、自分自身を表現するために、存在する自分から、行動する自分へ一歩を踏み出すこと。
・「自分が求めているもの」と「自分の能力の可能性」を知り、両者の違いを認識する
・「自分を駆り立てるもの」と「自分を満足させてくれるもの」を知り、両者の違いを認識する
・「自分の価値観と優先順位」と「自分が俗する組織の価値観と優先順位」を知り、両者の違いを認識する
◯混乱をくぐり抜ける
・リーダーシップを学ぶことは、ある面では変化に対処する方法を学ぶこと。リーダーは自分の哲学を組織に押し付け、組織文化をつくりあげる。あるいは、つくり変える。
・組織はリーダーの哲学に従って行動し、そのミッションを遂行する。やがて組織文化は一人歩きを始め、「結果」ではなく「原因」になる。しかし、リーダー自身が成長をとめ、外部の変化に適応できなくなれば、組織は遅かれ早かれ立ち行かなくなるだろう。
◯人を味方につける
・言葉によるリーダーシップを支えているのは、信頼。
・信頼を生み、それを維持するリーダーの特徴
①一貫性
②言行一致
③頼りがい
④誠実さ
◯リーダーを助ける組織、くじく組織
・最終的に勝利を勝ち取る企業の共通点(『経営革命』(トム・ピーターズ))
①組織の構造がフラットで、あまり階層化されていない。
②部門の独立性が比較的高い
③付加価値の高い製品やサービスを提供しようとしている
④品質管理が行き届いている
⑤サービス管理が行き届いている
⑥反応が早い
⑦イノベーションのスピードが速い
⑧柔軟である
⑨手と頭の両方を使うことができる、高度な訓練を受けた熟練労働者がいる
⑩組織のあらゆる階層に、マネジャーではなく、リーダーがいる
◯未来をつくる
・未来をつくる10の要因
①リーダーは、夢を育てる
②リーダーは、ミスを抱擁する
③リーダーは、反省を促す反論を歓迎する
④リーダーは、意見の違いを歓迎する
⑤リーダーは、「ノーベル賞要因」(楽天性、信念、希望)を持っている
⑥リーダーは、「ピグマリオン効果」を理解している
⑦リーダーは、「グレツキー要因」(ある種の「知覚」)を持っている
⑧リーダーは、長期的に考える
⑨リーダーは、ステークホルダーを平等に扱う
⑩リーダーは、戦略的提携やパートナーシップを生み出す
33年前に書かれた本ですが、その後も多くのリーダーシップ論について書籍が出版されていますが、本質的なことは本とんど変わっていないなぁと思います。古い書籍と最近の書籍1冊ずつ読んで共通点を探してみると気づき・発見があるかもしれません。