MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

永久の哲学1〜ピュタゴラスの黄金詩〜(OSHO)

『永久の哲学1〜ピュタゴラスの黄金詩〜』(OSHO)

 ピュタゴラスといえば、ピタゴラスイッチギリシアの宗教家、数学者、哲学者で、哲学者を名乗った最初の人。輪廻転生から解脱を得るため、特別の戒律を守る新宗教の一派を主宰し、南イタリアで活動したそうです。このピュタゴラスの思想を、20世紀のインドを代表する思想家OSHOが上下巻約800ページのボリュームで講話したものがまとめられた一冊。ピュタゴラスが遺した詩句の解説とQ&A形式といういうものOSHO本スタイルです。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

ピュタゴラスの詩句1

「不死なる神々に礼拝を捧げなさい。次いで、自らの信仰を護りなさい。名高き英雄、偉大なる魂、神に等しき者たちを思い出し、敬愛しなさい。良き息子、公正な兄弟、やさしい伴侶、良き父親でありなさい。友を選びなさい、有徳の友を。その穏やかな助言を聞き入れ、友の生から学びなさい。つまらない不満のために、友を離れてはならない。できるならこれだけでも。この上なく厳格な法則が「力」を「必要性」に縛りつけているのだから」

 

ピュタゴラスの経文は3つに分かれている

①準備:導入段階。それはあなたに大きな渇きを生み出すためにある。

②浄化:切望が生まれたら、次に、多くの不要な荷物を捨てなくてはならない。

③成就:偽物であることをやめ、これまで貯め込んできた毒をすべて落とし、鏡から埃が綺麗に拭われレバ、ひとでに成就は起こる。

・あなたが何を知るにせよ、深い感謝の中で、それを神に捧げ続けること。だが、それを人に言ってはいけない。人に言うと誤解され、その誤解があなたにとっての障害を作り出し、あなたの中に混乱を引き起こす。真理は、何がしかの理解がある人たちにしか伝えられない。

・自分より先に到達したあらゆる人たちを忘れることなく、彼らの思い出を心に抱く。それは旅の途中であなたを助ける。真理に到達したすべての偉大な英雄たちを思い出し、敬愛すること。

・良い息子は、父親あるいは父親的な役割の人が語ることに耳を傾ける。同じ年のすべての者に対して公平であること。妻や夫に対して、優しく、柔和であること。良き父親であることは、今度はあなたの番であり、そうして円は完結する。

・友を選びなさい。そうすれば、最終的に師を選べるようになるだろう。

・全存在は、ひとつの法則に基づいているが、その法則にはふたつの顔がある。ひとつの顔は、無意識な人々のためのもの。もうひとつの、自由や力、計り知れない喜びの顔はあなたが目覚め、光明を得てはじめて起こる。そして、このふたつの法則を、あなたの生において調和させることが、ピュタゴラスの基本的なメッセージ。

 

ピュタゴラスの詩句2

「それでも、それはあなたに与えられる。闘い、あなたの愚かしい情熱に打ち勝つために、それらを征服することを学びなさい。真面目で、勤勉で、純潔でありなさい。あらゆる憤りを避けなさい。公にも、内密にも、あなたにどんな悪も許してはならない。そして他の何にもまして、自分自身を敬いなさい。あなたが熟慮するより前に、語ったり、為してはならない。公平でありなさい。無敵の力が死を定めていることを覚えていなさい。たやすく得られた富と名誉は、失うのもたやすい。運命にともなう災難については、それをありのままに評価し、すべてに耐え、そうした裏切りが和らぐよう、可能な限り励みなさい。神々は賢者を悲惨の極みにさらしてはいない。真実と同様に、過ちを愛する者もいる。哲学者は慎重に承認し、あるいは咎める。過ちが勝つようなら、彼は旅立って待つ」

 

・「あなたが熟慮するより前に、語ったり・・」をあなたが読むと、まずよく考えてから行動すべきだと思うだろう。そうではない。人は鏡でいるべきだ。思案は反映のまさに反対だ。反映とは、考えなしにただ油断なくあること、鏡でいることを意味する。その、映し出すことから行為を生じさせなさい。するとその行為は常に善いものであるだろう。

・考えるとしても、あなたは何を考えるだろう?過去を持ち込み、過去の体験や記憶を持ち込んで、過去から行動するだろう。過去から行動することは、無責任であることだ。それは行動ではなく反応であり、機械的な動きだ。

・「神々は賢者を悲惨の極みにさらしてはいない」、賢人は、実際にはどんな苦悶や地獄にも晒されてはいない。賢人が何に晒されていようとも、それは成長している生の一部だ。挑戦無くして、生は育たない。そして痛みや悩み、苦しみは挑戦をもたらす。苦しみなしに悟ることはできない。苦しみはあなたの中に気づきを呼び起こす。

 

 ピュタゴラスギリシアの哲学者ですが、アレクサンドリアで数年過ごしエジプトを研究し、インドを訪れインド人の人間の内なる世界について学び、チベットから中国にわたり、西洋の精神と東洋の精神を統合した方だということをはじめて知りました。その偉大な哲人の思想をOSHOが解説するというのは、何か大切なものに気づけたように思えます。読んだ人だけが感じ取る、言葉で説明しづらい世界かもしれません。