『サービスが伝説になる時』(ベッツィ・サンダース)(◯)
サービスマネジメントの代表的企業のひとつ。ビジネススクールのケーススタディはお馴染みの米国高級百貨店ノードストローム社の事例本です。著者はノードストローム社にパートタイムの販売員として入社。その後女性初のストアマネジャー、7年後には副社長へと昇りつめた方です。ここまでやるの?というサービスの数々は、普通の人が入社して、どうしてお客様のためにビジネスをすることが自分の夢のように考えて一生懸命になれるのか?まさに今も生きる伝説のような企業の経営者がどのようなことを考えているのかがまとまった一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯唯一の目標
・毎年、経営会議において、我々はサービスに対して甘えが生じているのではないか、という懸念を語り、厳しく議論をしてきた。ノードストロームの顧客サービスを、来年はもっと劇的に向上させよう、そのために必要ならなんでもしよう、というのが、我々が常に求めてきた唯一の目標。
◯サービスの段階
①素敵なサービス(fabulous)
・普通の人が普通のことを一所懸命にやれば実現される。
・人に奉仕しよう、人に親切にしようと努力することは、誰もがベストを尽くしたくなるような状況を作り出す。
②賞賛されるサービス(renowned)
・日常を超えた特別なことが目の前で起こったら、人はそれを誰かに話したいと考える。
・そのサービスの対象になった自分に対しても誇りを感じる。
③神話となったサービス(mythical)
・「この企業の顧客なるということは、こういうことか」「この企業と取引するということは、こういうことか」
・企業は独自のパーソナリティを持つようになる。
④伝説のサービス(fabled)
・それを受けた顧客が企業を宣伝してくれる。顧客がサービスについて話す事柄が、リーダーにとっては目指すべき目標となるように、企業内全ての人にとっての行動の基準となる。またそれが、業界やときには産業全体の指標となることもある。
・サービスのレベルがこの域にまで達すると競争優位が発生し、ライバル企業が真似をしたり、ましてや追い越すことなどできなくなる。
◯なぜ伝説のサービスが締約しないか?
①顧客満足に対する基本的な取り組みの姿勢の欠如
②サービスをビジネスの本質と考えない姿勢
③サービス・リーダーシップに対する理解不足
◯お客様が我々のビジネスの唯一の存在理由である
・自らの存在を顧客に奉仕するためと考えている企業では、顧客をより一層大切にするために、特別な経営資源の開発をしている。それは、従業員とのパートナーシップである。
・伝説のサービスを目指す第一歩は、サービス向上の鍵を握るリーダーシップ。顧客サービスをする上で、テクニックを見習うということはない。具体的なテクニックは、リーダーの姿勢が自然と生まれてくるものである。
◯エクセレント(卓越した存在)になる
・エクセレントになることほど、手間のかからないことはない。エクセレントになるためには、エクセレントになりえないことをするのをやめることが一番手っ取り早い。
・サービスが伝説になるのは、普通の人が普通のことを並外れたやり方で実行したときだということを忘れてはならない。
・サービス・クオリティ向上の旅においては、進み続ける以外に目的地にたどり着く方法はない。永続的なサービス向上は、応急手当てからは生まれない。魔法の公式も存在しない。サービスの向上は、何度もなん度も、毎日毎日繰り返すところから始まる。そのために必要なのは、決然たる姿勢と真剣な取り組み、そして楽観主義。エクセレントになるということは、到達できる目標ではなく、進捗状況を知ることもできないもの。
◯苦情の実態
・不満を持つ顧客のうち苦情を言うのは4%に過ぎない。あとの96%はただ起こって2度とこないだけである。
・苦情が一件あれば、同様の不満を持っている人は平均26人いる。そのうち6人は非常に深刻な問題を抱えていると推定される。
・苦情を言った人のうち56〜70%の人は、苦情が解決された場合、その企業と再び取引したいと考える。その比率は解決が迅速に行われた場合、96%にまで跳ね上がる。
・不満がある人は、それを平均9〜10人に話す。13%の人は20人以上に話している。
・苦情が解決された顧客は、そのことを5〜6人に話す。
◯顧客サービスビジネスのためのHOW-TO
・顧客が自分たちについてなんと言っているのかに耳を傾ける。
・顧客サービスのプロセスに全社で関与する。
・顧客は愛着を持っている企業を引き立てる。その判断を尊重しよう。
・勝者(顧客が選択したもの)を手本に自社を見直す。
・顧客がよく行くところに行ってみる。
・顧客が自社の製品やサービスを利用している様子を観察する。
・自分自身の経験を顧客の立場に照らして考えてみる。
・顧客の声に注意を払うことを考える機会を設ける。
・従業員の中に顧客の視点を植え付ける。
上記でだいたい本書の半分くらいです。
私は、ノードストロームのお店に行ったことがないのですが、こうやって書籍を読むと、いつか行ってみたくなります。旅行の目的がノードストロームに行くこと。こういう気持がノードストロームに行ったことがない人に生じていること自体が、まさに伝説のように思います。そうしたお店づくり、企業づくりを実現していきたいものです。

