MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。MBA講座と歩む読書生活。講座関連の書籍、講師お薦め本などを紹介。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキルなど、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

あなたの脳のはなし(デイヴィッド・イーグルマン 大田直子訳)

『あなたの脳のはなし』(デイヴィッド・イーグルマン 大田直子訳)

 本書は、脳神経科学の世界的権威であり、スタンフォード大学神経科学者。人はどうやって決断を下すのか、どうやって現実を認識するのか、私たちは何ものなのか、人生の舵はどうやって切られるのか、何故他人を必要とするのか、自らを御し始めた種として私たちはどこに向かっているのか。きになるテーマがわかりやすく解説されています。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯私たちは何ものか

・幼少期の刈り込み

 脳細胞の数は子供と大人で同じ。秘密は細胞の接続にある。赤ん坊のニューロンはそれぞれ異質でつながっていないが、生後2年間で感覚情報を取り込むうちに、驚くほどのスピードで繋がっていく。赤ん坊の脳内では、毎秒200万もの新しい結合、つまりシナプスが形成される。2歳までに子供のシナプスの数は100兆以上にもなるが、これは大人のそれの2倍である。結合がピークに達するとき、その数は必要よりはるかに多い。この時点で、盛んな新しい結合の形成が神経の「刈り込み」という戦略に取って代わられる。大人になっていく過程で、シナプスの半分が除去される。

・10代の時期

 人間の脳の構築プロセスには25年かかることが分かっている。10代は、本人がどういう人間になりそうかに劇的な影響を及ぼすほど重要な、神経の再編成と変化の時期。

・記憶が本にが期待するほど鮮明ではないのは・・

 ニューロンの数は限られていて、全てがマルチタスを求められる。各ニューロンは別の時期の別の事柄にも関与する。記憶の敵は時間ではなく他の記憶。驚くのは、薄れた記憶は本人にとって薄れていないように思えること。完全なイメージがそこにあると感じているか、少なくともそう思い込んでいる。

アイデンティティ

 過去は信頼できる記憶ではない。それは復元物であり、神話に近い場合もある。人生の記憶を振り返るときは、細部が全て正確ではないことを認識した上で振り返るべきだ。人から聞いた話が元になっている記憶もあれば、起こったはずだと思うことが盛り込まれている記憶もある。したがって、自分は何者かという問いに対して記憶だけにもとづいて答えるなら、あなたのアイデンティティは、現在進行中ですぐに変わるおかしな物語のようになる。

 

◯現実とは何か

・現実

 もし現実をありのままの真の姿で知覚できたら、そこには色も、匂いも、味も、音もないことに、あなたはショックを受けるだろう。あなたの脳の外には、エネルギーと物質があるだけだ。何十万年にわたる進化を経た人間の脳は、このエネルギーと物質を、世界に生きているという豊かな感覚経験へと、うまく変換するようになった。

・内部モデル

 実際には、目やその他の感覚器官から情報を受け取る前に、脳は独自の現実を生み出す。あなたが動いているときでも、外の世界がグラグラ揺れ動いて見えたりしないのも内部モデルのおかげ。

・不完全性

 なぜ脳は完全な像を作ってくれないのだろう?なぜなら、脳はエネルギーを食うからだ。私たちが消費するカロリーの20%は、脳を動かすために使われる。そのため、脳はできるだけエネルギー効率の高いやり方で働こうとするので、世界を渡っていくのに必要な感覚からの情報も、最小限の量だけを処理することになる。

・スローモーション

 なぜ事故はスローモーションで起きていたと回想するのだろう?その答えは記憶の保存のされ方にあるようだ。恐ろしい状況では、脳の扁桃体と呼ばれる領域がフル回転して、脳の他の部分の資源を奪い取り、全てに対して目の前の状況に注意を払うよう強いる。扁桃体が稼働していると、記憶は通常の状況下よりはるかに細かく鮮やかに蓄えられる。補助記憶システムが稼働するのだ。結局、それこそが記憶の目的である。重要な出来事の記録をつけて、同様の状況になったら、生き延びるための情報が脳にたくさん入っているようにするのだ。

 時間の歪みは思い返して起こることであり、現実の物語を紡ぐ記憶のトリックだ。私たちは実際にその瞬間にいるわけではない。脳は常に「今何が起きた?今何が起きた?」と問いかけている。したがって、意識登る経験は、実際には直前の記憶に過ぎない。 

 

◯どうやって決断するのか?

ユリシーズの契約(前もって手配する)

 人は未来の自分が悪いことをできないように今のうちから物事を仕組んでおく。自分を帆柱に縛り付けることで、私たちは現在の誘惑を退けることができる。私たちは違う状況では違う人間であることを認めることである。より賢い決定を下すためには、己を知るだけでなく、あらゆる場面の己を知ることが重要である。

 

◯私たちは何ものになるのか?

・脳の可塑性

 脳の可塑性は、私たちの未来にとってのカギでもある。なぜなら、私たち自身のハードウェアに改良を加える道を開くからだ。脳の半分を除去したことの長期的な影響はどうだったのか?結局、その影響は驚くほど小さかった。脳は自らを変える。脳のこの特性(脳の可塑性)こそが、テクノロジーと生物学の新たな融合を可能にする。

・デジタルの不死

 コンピュータの潜在能力を考えると、私たちはいつの日か、人間の脳のワーキングコンピュータをコンピュータの回路基板に取り込むことができるようになりそうだ。

 

 脳の世界は、最近興味が湧いてきている領域です。コーチングを進めていくと誰もが関心を高めるのかもしれませんが、人はなぜ悩んで、なぜ勇気付けされて、行動を起こせるのか。困難を乗り越える意志、モチベーションの正体は何なのか。自分なりに理解できるようになったらおもしろいなと感じています。来年にかけての追求テーマになりそうな予感です。もう少しこの分野を読み進めてみます。

あなたの脳のはなし 神経科学者が解き明かす意識の謎 (早川書房)

あなたの脳のはなし 神経科学者が解き明かす意識の謎 (早川書房)

 

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