『プロフェッショナル進化論』(田坂広志)
2007年に発行された本書は、Web革命時代のプロフェッショナルは、知の集団であるシンクタンクの役割を個人が担う時代。「7つのシンクタンク力」と「個人シンクタンクへ進化するための6つの戦略」が紹介されています。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇Webがもたらした変化(知識が価値を失う時代)
プロフェッショナルの能力が進化している。
①「言語知」→「暗黙知」
②「分析知」→「統合知」
③「個人知」→「集合知」
④「管理知」→「創発知」
⑤「理論知」→「行動知」
〇シンクタンク機能7つの役割
①インテリジェンス力
必要な情報や知識を集め、分析・統合する力
②コミュニティ力
人々の知恵を集め、新たな知恵を生み出す力
③フォーサイト力
これから何が起こるのかの未来を予見する力
④ビジョン力
これから何を目指すのかをビジョンを提示する力
⑤コンセプト力
これから何をなすべきかのコンセプトを広く伝える力
⑥メッセージ力
未来予見、ビジョン、コンセプトを広く伝える力
⑦ムーブメント力
ビジョンとコンセプトにより変革の動きを生み出す力
〇コンセプトベースの戦略
①Webの世界での「サーチ」と「ウォッチ」を使い分ける
・サーチ(探索):目的意識的な情報入手
・ウォッチ(観察):方向感覚的な情報入手
②「サーベイ」と「フォーカス」の切り替えを身につける
・サーベイ(概観):長期的なトレンド、大局的な構図を知る
・フォーカス(集中):印象的なエピソード、象徴的な物語を知る
③「コンステレーション」と「ストーリーテリング」の力を鍛える
・コンステレーション:夜空の星々を星座として関連付けるように、世の中の情報やキーワードを関連づけて一つの意味や物語とする力
④「師匠」のサイトを見出し「私淑」する
・師匠:発想のスタイル、語りのスタイル、活動のスタイルを学ぶ
⑤先達のプロフェッショナルの知恵を借りる「心構え」を身につける
・心構え:相手に対する礼儀、相手の時間コスト、相手との共感
〇パーソナル・メディアの戦略
①パーソナル・メディアという修羅場を持つ
②最初は「メッセージ発信」よりも「知識ポータル」の戦略に徹する
③批評においては、必ず「ポジティブ・メッセージ」を語る
④「ブロゴスフィア」(目に見えないコミュニティ)メッセージを広げていく
⑤メッセージに「言霊」を込めて発信する
物語、エピソード、寓話、メタファー(隠喩)
〇プロフェッショナル・フィールドの戦略
言葉で表せる知識が価値を失い、言葉で表せない智恵を身につけているかが問われる時代になった。
①自分のプロフェッショナル・フィールドを明確にする
②高度な専門知識を素人にも分かりやすく語る力を身につける
④テーマの知恵ではなく、メソッドの知恵の棚卸をする
〇アドバイザリー・コミュニティの戦略
①読者コミュニティをアドバイザリー・コミュニティにする
②ギブ・アンド・ギブンの精神を大切にする
③共感という言葉の本当の意味を理解する
〇ムーブメント・プロジェクトの戦略
①まず、ムーブメント・コミュニティを生み出す
②コミュニティを学びと成長のコミュニティにする
③アクティブ・キーパーソンをパートナーに迎える
④この社会を変えるための「ビジョンと志」を語る
〇パーソナリティ・メッセージの戦略
①個人サイトやブログでネットラジオ局を始める
②メッセージを「語る」スタイルを身につける
③イメージ・コミュニケーションを重視する
田坂先生の著書はどれも深く考えさせられる内容です。取りあえず項目をまとめるだけでも相当量になりますが、本書では、一つひとつの意味が語られ、それを問われていることを感じながら読むことができます。